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第一種:刃拳爪牙









一部より大変なことになっている

―前作最終話終盤より・総統室―


「遂に、始まってくれたのね…。

長く七面倒臭い道を通って来た甲斐があったものね…」

回転椅子に座った長いブロンドを棚引かせた女は、静かに、しかし楽しそうに、そう呟いた。


側に立っていた側近らしき人物は、女―不二子・コガラシに告げる。

「古藤教授からのご報告に寄りますと、只今『心臓』と『本体』の融合が進行中との事です。

蘇生完了予定時間は本日16:47:13との事ですが、時と場合によりけりだそうで」


「そう…17時には確実に突撃できるという事ね。

十分だわ。寧ろ早いくらいよ。


…待っていなさい、大日本帝国首相・鳩谷幸満(ハトヤユキミツ)…。

貴方の化けの皮なんてね、勢いよく引っぺがしてあげるから…」


―完全に同時刻・沖縄県某所の首相別荘―


「!?」


別荘でくつろいでいた内閣総理大臣・鳩谷幸満は、急に寒気のようなものを感じ取って飛び起きた。


「…何だったんだ…?


まぁ良い。

どうせ気の所為だ」


しかしこれがどうにも気のせいではなかったりするのであった。


―数分後・総隊長室他―


直美&鉄治対ヤールー&ホロビの闘争は適度に熾烈を極める者であった。

四人が刃拳爪牙を交えるような事は無く、直美とヤールー、別室に戦場を移した鉄治とホロビがそれぞれ戦っていた。


まずは直美対ヤールー。


ズガォゥン!

バゴォゥン!


虎の獣人となって辺りの壁を殴りまくる直美。

ヤールーは八本の脚で壁面を走り回り、それらを軽々と避けていく。

こんな事がもう二十分以上続いているから、総隊長室は鉄やコンクリの瓦礫だらけである。

しかしヤールーも逃げてばかりではなく、長い舌で瓦礫を絡め取って投げつけたり、口から何やら怪しげな液体を吐いたりして対抗する。


「いやはや、最初見た時から君は虎のようだと思っていたが、まさか本当に虎の異形だったとはな!

どうりで強そうでエロいわけだ!」

「そりゃどうも!

貴方こそ、ヤモリだけに壁面じゃあ敵無しねッ!

その目玉でッ、色々な角度からにらまれてるんじゃぁッ―」


直美は電子レンジを片手で投げながら言う。


「おちおち着替えもしてらんないわッ!」



ドゴァ!



「ゥァッ!」


電子レンジはヤールーの背中に直撃するが、彼が負った傷はそこまで深くないようである。

賺さずヤールーは舌を伸ばして鉄パイプを直美へ投げつける。


ヒュン!


直美は咄嗟に避けようとしたが、如何せんその速度が早過ぎた。

槍のように投げられた鉄パイプは、直美の腹に突き刺さる。


ドシュ!


「…く」


内蔵は傷付けられ、口からは血の滴が垂れていた。

無論、鉄パイプは完全に彼女の腹を貫通している。

しかし、そこは猛虎の異形・香取直美。

肉体派の能力を持った異形故に、その生命力は計り知れない。


彼女は余裕の表情で腹に突き刺さった鉄パイプを掴み、一気に引き抜いて投げ捨てた。

地面に転がる鉄パイプ。


「…素晴らしい…。


ンヴォァハッ!!」


ヤールーが直美目掛けて口から吐き出したのは、蛍光インクのような緑色の粘液。

それは彼が独自に作り出した「ヌタ」であり、長く伸びる舌同様一般的なヤモリには出来ない芸当である。

そもそもヌタとはその名の通り原始的な脊椎動物にして盲目の無顎類・ヌタウナギが自身に危機を感じた際に皮膚から分泌する無色透明の粘液であり、スライムにしか見えないその正体は非常に細かい繊維質の集合体である。

ヌタウナギは身の危険を感じるとこのヌタを皮膚から分泌し、相手の身動きを封じ、その間に逃げ出すのである。


放物線を描いて直美飛来するヌタ。

それに大して直美は避けるでもなく、かなり高級品と思われる椅子を投げつける。


ベシャ!

ドッ…バキ!


椅子とヌタとが激突し、台無しになった椅子は地面に落ちてその脚が一本折れた。


賺さずヤールーは舌を伸ばし直美を投げ飛ばそうとするが、それより早く直美は飛び上がり、ヤールーの背へと爪を飛び掛からんとした。

と、その時である。

ヤールーの背にあった目玉の内四つが、一斉に直美を睨み付けた。


そして次の瞬間。



―ッフォアン!!



奇妙な高い音と共に、目玉から紫色の光のようなものが発せられる。

波動が直撃した直美は、灰も残さず消え去ってしまった。


そう、これこそヤールーの能力「眼力」であり、それは彼の全身に存在する高性能な十三の眼球そのものである。

この眼球は純粋に視力が高いだけでなく、温度感知・透視・光源・レンズ・発火・発電等多種多様な機能を持っており様々な用途への使い分けが出来るのである。

先程は数ある機能の中でもかなり攻撃的な部類に入る「レーザー光線」を用いての攻撃であり、接触した物体全てを一瞬にして焼き尽くすというものである。

この光線に直撃した直美は当然もうこの世を去った筈なのだが、ヤールーの表情は寧ろ不快であった。



「(どういう事だ…?


何が起こっている?




光線は奴に直撃した筈だ…だが、手応えがない……。


つまり奴はどういう方法を使ってだか兎に角あの光線を回避し、今も生きているという事…。




しかし…しかし何処に、どうやって隠れた…?)」



ヤールーは全身の目玉を使って辺りを見回すが、通常の視覚はおろか温度感知機能を使っても直美を見つけ出すことは出来なかった。

と、その時である。




「MNYGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」


年老いて妖怪化した凶暴な雌猫のような鳴き声がしたかと思えば、ヤールーの左から身体が煙で構成されたような巨大な虎が大口を開けて飛び掛かって来るではないか。


「(…何!?

霧散(エアゾール)化…だと!?)」



煙のようであった虎は完全に実体を成し、ヤールーの左腹に噛み付き、投げ飛ばす勢いでその脚と肉を食いちぎる。



ブヂリッ!




ズドォアン!!



「グォエァッフ!!」



壁に叩き付けられ、血反吐を吐くヤールー。

しかし彼も負けては居ない。


「…これしきの事ォ…」


ヤールーは傷口に力を込める。



グジョリ…ヌボゥリ…ブギョボッ……




肉が脈打ち、筋肉が動き、失われた部位がプラナリアさえ逃げ出す程の速度で再生していく。


その光景を見て、食い千切った爬虫類肉を食べている虎―直美は行った。



「うろ覚えなんだけど、複雑な動物の細胞ってそう簡単に再生しないんじゃないかしら?」

「…っハ!お前も古藤様の異常な技術力は知っているだろう?

あの御方に掛かれば、高等動物の細胞に細胞全能性を付加する等容易い事だ」

「そういえばそうね。この左腕も玄ちゃんに作って貰ったんだったわ」

そう言うと直美は、懐かしそうに左腕を見つめながらさすった。



さて、読者諸君。

「動物細胞と植物細胞の決定的な違いは何か?」と問われたとして、何と答える事が最も正しいかお分かりだろうか?

模範解答としては、「葉緑体の有無」や「細胞壁の有無」というのが有るが、それらは決定的とは言い難いものである。

何せ葉緑体を持つ動物というのも存在するし、細胞壁なんて問題も些細なことだからだ。

ではその答えとは何か?それはずばり「細胞全能性の有無」である。

結局有無の問題かよ、とか突っ込むのは止めて欲しい。物事の違いなんて大体そういうもんである。

んで、細胞全能性の話だが、これは聞くほど難しくなく、寧ろ非常に簡単な話である。

小学校の理科の教科書や子供向け化学系書籍などで有名なネタに、根菜のヘタを切り落として水を与え続けると、葉の部分がそのまま育ち続けるという有名なネタがある。

要するに植物は、例え断片であったとしてもそれにちゃんと水と栄養を与えて培養すれば一つの植物として生きる事ができるわけである。

これが細胞全能性という奴である。

しかし動物細胞ともなればこうも行かなくなってくるのが現実という奴である。

確かに、動物細胞も自己修復機能や全能性は持っている。

その証拠に、プラナリアは驚異の再生能力を誇り細切れになってもその分増殖するし、ミミズやゴカイの再生能力も非常に高い。

両生類は手足を失っても再生するし、トカゲの尻尾も時間は掛かるが一応再生する(但し莫大な量のエネルギーを消費しなくてはならず、しかもちゃんとした尻尾にはならないので尻尾を切るという行為は命がけである)。

しかし、爬虫類以上の高等動物ともなればそうは行かなくなってくる。

つまり人間の肉一片を培養したとしてそれが人間になる訳が無く、只の肉塊にしかならないのである。

これは高等動物ほど身体のシステムが複雑になり、一片から再構築させるような事が段々と難しくなってしまう事によるもので、これを「細胞全能性が無い」或いは「低い」という。

よって近所の幼女の肉片を取ってきてそれを培養したところで、自分だけの幼女にはなってくれないのである。

よってロリコン紳士諸君はクローン幼女なんてバイオロジカルに無茶で金の掛かる作戦など考えずに、幼女をケミカルに洗脳したりフィジカルな装置で気絶・感電させて捕獲したり死体を楽しむ等、ストレートな作戦を実行した方がずっと効率的かつ効果的であろう(但しそういった作戦の殆どが我が国日本では大抵の場合違法なので絶対にやめて頂きたい)。


と、此処でヤールーの長い尾が直美を襲う。


ガゴァッ!



鋭く強靱な鞭のようにしなり、床を叩いたヤールーの尾は、先程まで直美の足下であった場所に大きな溝を作った。

直美はその攻撃をまたも素早く避けており、ヤールーの頭の後ろに回って彼に飛び掛かる。

しかしその方向もまた目玉によって筒抜けであり、ヤールーは直美の方向へ再び舌を伸ばす。


そして舌が直美の右腕に絡み付こうという瞬間、舌は彼女の腕を一瞬通り抜けてしまう。

「!?」

有り得ない出来事にヤールーが驚いている瞬間、直美はその右拳でヤールーの腹を殴り付けて叩き上げる。




ドゴァ!




更に直美は叩き上げられたヤールーを、跳び上がって追跡する。

そして空中で、猛烈な蹴りが叩き込まれる。


グドッ!

ガッ!

ドッ!

ガッ!

ド・ガッ!

グドゥ!


吹っ飛ばされたヤールーの巨体は勢いよく壁に衝突。

鉄製の壁に大きな凹みを作った。



ボガシュォン!



ヤールーは暫くして、体勢を立て直し、言った。



「…そういえばそうだ。思い出したぞ。

お前が何故、私の光線や舌を避ける事が出来たのかが…。


その答えとは…お前のようなタイプの異形が共通して持つ『霧散化』によるものだ」


「ご名答。流石はあの玄ちゃんの義子ね」


「褒め言葉か?有り難く受け取らせて貰うとしよう」



直美のような異形―「一種類の動植物への変身」という能力を持つ異形全て―は、全身を霧状に変化させ、回避行動や移動を行う「霧散化」という技を何故だか持っていたりする。

五話にてその場にいなかった松葉が突如磨綾を喰い殺したのも、この能力によって奇襲を仕掛けたとすれば納得がいく。というか納得して貰えねば困る。



「…では、行くか」


ヤールーは舌を伸ばし瓦礫を絡め取り、鉄球の要領で直美に叩き付ける。


バゴァ!


当然瓦礫は直美によって砕かれ、ヤールーは舌を引っ込める。

その後も暫くヤールーは直美に瓦礫や鉄板や家具を投げ続けたが、全て直美の拳や蹴りによって阻止されてしまう。

と、ここでヤールーはいったん引き下がり、腹を膨らませる。


「(…またあのヌルヌル吐く気ね…しかも今度のは相当な大玉…)」

避ける準備に入る直美は、ヤールーがヌタを吐いた瞬間跳び上がり、そのまま素早く跳び蹴りを食らわせてやろうと考えていた。


と、ヤールーが直美にヌタを吐く。


ポゥッ!


それは怪しいくらい少量で小さな、手榴弾サイズのヌタであった。

直美は怪しく思ったが、とりあえず跳び蹴りをかます為、壁沿いに跳び上がる。

と、その時であった。

ヤールーの背中の目玉が、一斉に跳び上がった直美の方向を向く。

見れば彼の腹は未だヌタで膨らんでいた。


直美は思った。

「(ま…まさかッ!?)」

そして直美の嫌な予感は的中する。



ンボヘァッ!



上を向いて直美を睨み付けたヤールーの口からは、巨大なヌタの塊が吐き出される。

しかも尋常でないのは量だけでなく飛来する速度でもあり、それは直美が避けたり防いだりする間も無く、彼女を壁にへばり付かせて拘束した。

辛うじて右腕が自由に動くものの、強力な粘性を持ち、乾燥することで更に強度を増すヤールーのヌタから片手で抜け出すのは、幾ら怪力の彼女であっても無理だった。

ヤールーは無言で笑みながら全身全ての目玉に緑色の電力に似たエネルギーを溜め、その瞳孔を直美の脳天へと向けていた。


「(全く…仕事中は細かいこと考えないからって、してやられたわ…。


まぁ、こっちにもちゃんと作戦はあるんだけどね…)」


そう思う直美の右手は、何故か失われていた(・・・・・・)

ヤールーの目玉は怪しく光っており、今にも何かを発射しようとしている。




そして数分後、運命の瞬間が訪れた。





――ィィィィュゥゥゥゥゥ…ツィドドドドドドドドド!!



轟音と共に連射される緑色の光球。

それらは確実に人肉を焼いていた。


レーザーで内部から熱せられ、体内の水分が沸騰し爆ぜる頭。


パゴュ!



その音と手応えを察知したヤールーは、ひとまず攻撃の手を緩め、土煙の晴れるのを待った。


シュゥゥゥゥゥゥゥゥ―…



そして晴れた煙の中に居たのは、焼かれ砕かれ、血肉をしたたらせ内臓を撒き散らし、骨を剥き出しにされた悲惨な女の死体―







―の、首を掴んでヌタから脱出し、天井に張り付いている直美であった。



そう、死体は直美のものではなかったのである。


人の姿に戻りながら、直美は言った。

「惜しかったわね。

私の手を自由にしておくなんて、貴方がしでかしたとは思えないミスじゃないの」


「…成る程。

腕を霧散化させ、別室にいる他の機関員を捕まえ、そいつを盾として使ったのか。

流石はシンバラの異形だ。

更に翠電光が直撃し乾燥しきった私のヌタが脆く崩れ易い事を利用して、ついでに脱出していたと」


「まぁ、自分では年増だと思ってても、他人からは若い若いってよく言われるアタシだってこう見えてもう200年も生きてるのよね。

赤の他人を見捨てたり盾にするなんて朝飯前なのよ。それも人禍の機関員なら本望よ。


それと、御免なさいねェ盾にしちゃったりして。一応貴方の同僚だったんでしょう?」


するとヤールーは答えた。


「同僚?まぁ、肩書きの上だけではな。

だが私はそんな廃棄物如きを同僚などとは思ってなど居ない。


事情を知らないお前にも解りやすく教えてやる。

お前が今盾にし、私の翠電光(スイデンコウ)を喰らって死んだその女の名は鳩谷礼(ハトヤレイ)と言う。

現内閣総理大臣・鳩谷幸満の実弟にして、去年政権を奪われた賛民党サンミントウ議員の鳩谷国良(クニヨシ)の次男が浮気相手との間に作った娘だ。

産まれて直ぐに厄介者扱いされて捨てられたところを、何者かが拾い上げサイケでカオスな教育を施した結果野郎専門の変態にされてしまった哀れで馬鹿な女だよ。


奴ら曰く、何でも自分達は宇宙を創造せし女神サァ・グナ・フツィの神託を受けた聖なる天使にして聖戦を生き抜くべき選ばれた戦士。

そして唯一絶対神サァ・グナ・フツィの教えの元に、人類の男性を創造の際全ての生物の内唯一身勝手な欲望に走った汚れた存在として裁きを下すのが己の使命だと言う。

しかし女神は慈悲深い存在であるため、人の男を殺す等という非道なことはせず、男の中でも特に汚れた者の汚れの象徴―つまり生殖器を除去する事で汚れた魂に裁きを下し、呪われた精神から肉体を解放し、人類を救う事が義務づけられているそうだ」


「はぁ…何なのよそれ…。

出版されても絶対売れないどころか、企画会議にすら通らないじゃないの…」


「まぁ、その女に関しては頭が可哀想だったとでも思っておいてくれ。

コガラシ総統が古藤様に与えられる異形兵の材料となる人間とは、大抵そう言うものなのだ。

世の中から捨てられてしまった、世の中から棄てられなければならないような、そんな人間ばかり拾ってくる。

総統曰く『ゴミは上手く再利用してやれば素晴らしいものになる』らしいが、古藤様曰く『小沢のギャラや奴が浪費した金の埋め合わせをするため予算を削減しようとしている』とかだそうだ」

「如何にもリアルな話ね。

…っていうか、私達こうして暢気に話なんかしてて良いのかしら?」

「多分、駄目なんじゃないだろうか?」

「そう…なら、もいっちょ行っちゃう?」

そう言って再度獣化する直美。

「良いな。賛成だ」

「それじゃあ一つ、気前よ―「レェェェェェェェェェェェイッ!!」


戦闘態勢に入ろうとした直美とヤールー。

しかし、その気分は突如総隊長室に乱入してきた一人の女によってぶち壊された。


「「……」」


「礼!礼!?

何処にいるの、礼!?」


苛立つ二匹を尻目に好き勝手叫び回り、走り回る女。

そしてボロ雑巾の如し礼の死体を見るなり、悲鳴を上げて泣き出した。

しばらくして、悲しみから立ち直った女は、キッと二匹を睨み付ける。


「貴方達ねッ!礼を殺したのは!

我らが唯一絶対の造物主たるサァ・グナ・フツィ神の神託を受けし天使にして選ばれた戦士の一人である礼を殺した貴方達の罪…。

この世で人間が犯すあらゆる大罪の中で最も重いと知りなさい!」

何を言っているんだコイツは。

そう思った直美は、女に訊いた。

「…失礼、どちら様?」

すると女は大声で答える。

「貴方、私達を知らないの!?

だとしたら、今の今迄相当さびれた辺境地に住んでいたのでしょうね!

でなければ私達を知らない筈無いもの!」

「いや、私ここ数十年くらい東京暮らしで―

「安心して。強がる必要性なんて無いのよ!

田舎者だからって差別するなんて、汚れ呪われた男共くらいしかしないわ!

良いわ、教えてあげる。

私の名前は菅舞(スガマイ)!又の名を『ゴッディエンジェルビューティマイ』よ!

普段はごく普通のOLなんだけど、それはまた仮の姿で―



―廃人説明中―




「つまり私と彼女、礼はいつでも二人で一つって訳なの!

どう?

私達のこと、少しは解って――バゴシュ!



投げつけられた大型プラズマテレビ。

骨諸共惨たらしく叩き潰された舞。


投げつけた張本人の直美は、笑顔で言った。

「さぁ、邪魔するものは何もなくなったわ。

続きとしましょう!」

返すヤールーの表情も希望に満ちあふれている。

「あぁ。そうだな!」



戦闘態勢に入る二匹。

そろそろ彼らの闘争も佳境であろう。


次の話では、「一方その頃」的な感じで鉄治VSホロビの戦いをお送りしよう。

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