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好きな人が義妹になった  作者: 西織
好きな人が義妹になった
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 家の中に見知らぬ母娘がいることには慣れないものの、部屋に閉じこもれば関係がない。

 風呂に入ったあとに寝る用意をして、あとはずっと部屋で過ごしていた。

 彩花もそう滅多に部屋を出ようとはしないだろうし、不要な接触もそれほど多くはならないだろう。 

 プライベートスペースがあることにつくづく感謝する。


 そして、今は夏休み。

 特に何かやっていたわけでもないのに、なんとなく過ごしてしているうちに深夜だった、なんてこともしばしば。

 午前二時に差し掛かり、さすがに寝ようか、と理久はあくびを噛み殺す。


 その前にトイレに行っておこうかな、と腰を浮かしかけたが、物音が聞こえた。

 カチャ、キィ、パタン、という静かな音。

 どうやら、彩花が部屋を出て行ったようだ。

 まぁ時間的に考えたらトイレだろう。


「………………今のもよくないな」


 ぷるぷると頭を振る。

 女子に対してトイレとかどうとか、そんなことを考えるのは非常に良くない。

 トイレの頻度やタイミングを把握されているなんて、気持ち悪すぎる。

 かといって物音は聞こえてしまうし、今度からイヤホンで音楽でも聴こうかなぁ、としばし考えながら、トイレが空くのを待っていた。


「……遅いな」


 しばらく待ってみたが、彩花が部屋に戻ってこない。

 耳を澄ますなんてこと、本当はしたくないのだけれど、理久だってトイレを我慢している身だ。

 早く帰ってこないかな、と意識するとより行きたくなる。

 だというのに、待てども待てども全然帰ってこない。

 ……鉢合わせになることは避けたいのだが。


「……俺が聞き逃しただけかなあ」


 頭をぽりぽり掻きつつ、扉を開く。

 廊下は真っ暗で、人の気配はない。物音もない。

 向かいの扉を見るが、中に人がいるかどうかは見た目だけじゃわからなかった。


 仕方なく、理久は階段を降りていく。

 父親たちを起こしたくはないので、静かに家の中を進んでいくと、台所から明かりが漏れているのが見えた。


「……飲み物でも飲んでるのかな」


 トイレじゃなかったらしい。

 そう結論付けて、理久はトイレに入っていく。


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