立場
「マリアンヌ様?よろしいでしょか?」
「あら!アンナどうしたの?」
「今日は真面目なお話しです。」
「あらあら雨でも降らなきゃ良いけど。」
「もう、テオちゃんの事です。」
「お嫁さんになるの?」
「そりゃ~テオちゃんが良ければ?って、違います。」
「フフフ、相変わらず面白いわね?」
「もう、いつもからかう!マリアンヌ様?本当に真剣なお話しです。」
「あら!もうおしまい?ハイハイわかったわ。なんなの?」
「セバスさんともお話ししたのですが、テオちゃんの事、襲われた日の本当にあった事をお伝えします。知って貰わなければいけない事です。」
「セバスと?承知しました。」
「マリアンヌ様も薄々ご存知でしょうが、このポーションはテオちゃんが作った物です。5歳の頃から医局へ卸して貰ってます。それと高度の回復魔法を使えます。また、魔力量が膨大です。剣の才能も秀でてるとセバスさんが御認めです。」
「まあ!」
「1番驚いた事はあの日、光魔法で賊を倒し、空間魔法で移動して、雷魔法の広範囲魔法であたり1面吹き飛ばした事です。本人は覚えて無いのですが。それと、瞳が左目が碧色、右目が金色でした。魔法はセバスさんの見立てです。」
「盛り沢山ね?」
「冗談では無いのですよ?」
「だから?」
「もう、凄い事なんですよ?」
「だから、お嫁さんになりたいの?」
「ふざけないで!」
「フフフ、やっぱりアンナは面白いね!」
「一大事なんです!」
「わかったわよ、ごめんなさいね?つい面白いから。」
「そりゃテオちゃんの事好きですよ?」
「ありがとう。でも正直、テオが凄いだのどうでもいい事よ。あの子は私の子、それだけだから。」
「それはわかりますけど┅」
「あなたもセバスも心配なのよね?オーギュストの事が。でも大丈夫よ。テオがちゃんとするから。」
「ちゃんとって?」
「あの子は理解してるの。自分の立場を。」
「立場?」
「心配無いわよ!今まで通りにしてね?」
「今まで通り?」
「そう、テオとイチャイチャしたりふざけたりね?」
「あばばっ!イチャイチャしてません!」
「アンナ?あなた┅処女でしょ?経験無いでしょ?」
「ええっ?今、それ?」
「あなたの匂い乙女なのよね?」
「もうもうもう!真面目に話してるのに!」
「テオの事、お願いしますね!」
「どうしたんですか?急に。」
「あなたやセバス、サラもあの子の事になると目の色を変える。この屋敷のみんながあの子を守ってくれてるのが分かるから安心なの。」
「マリアンヌ様。」
「テオは女の子が好きみたいだから年上でも大丈夫よ?何人のお嫁さん持つのかしら。フフフ」
「もう!いいです!大事な事は伝えましたから。失礼します。」
〖フフフッ、私は知ってたわ
あの子が生まれる時に教示があったから
異世界からの転生した子だって
この短い命を神さまが救ってくださった
子を持つ喜びを
もう永くは無い命
あの子の邪魔はさせない
例え誰であろうと
私が守る、命に代えても〗
「セバスさん?マリアンヌ様にはお話ししました。でも、相手にされませんでした!これまで通りにしてってお願いされました。」
「オヤオヤ!何を怒ってるのですかな?」
「人が真剣に話してるのにふざけて。」
「ふむ。奥様は知っていたのかも?テオ坊の秘密を。」
「う~ん┅良く考えたらなんかそんな感じもする。だって、心配してくれてありがとうって!あの子がちゃんとするからって!」
「深読みでしたかな?奥様もテオ坊も考えがお有りの様ですね。」
「じゃあどうしましょ?」
「今まで通りと言う事で、何かしら注意だけはしましょう。」
「ええ。」
タニアがキョロキョロと怪しげに何かを探してる。
「あっ!ロド爺!テオはどこ?」
「タニアか?坊はまた湖の方だと思うがな。」
「わかった!ありがと。」
駆け足で走る。
(どこどこ?)
いつもの船着き場には居ない。
見渡す。
(いた!もう、あんなとこで何してんの?)
船着き場の床をバタバタとならし湖の奥へと走る。
「見つけたぁ!」
パーンと飛び付いた!
いきなり抱き付かれたテオはよろけてタニアにしがみつく形になった。
すると何を思ったのかタニアは涙を溜めてテオに強く口づけした。
「バカバカバカ!テオの馬鹿!
「なんだよ?」」
「だって母さんとキスしたじゃない!」
「あれは┅そのぉ。」
「私、見たんだからね!いやらぁしぃ!スケベ!変態!バカぁ!」
「変態って!」
「だってそうでしょ?私の母さんにだよ?」
「ウウ~ン┅」
「なに?テオは女なら誰にでもキスするの?それが私の、私の母さんでも!」
「ウ~ン、誰にでもしたいけどぉ┅できるなら、ハハハッ。」
「なにそれ?バッカじゃあ無いの!」
「はい、馬鹿です。」
「もう、母さんの事、どうするの?」
「どうするって?」
「だってキスしたんだから責任取りなさいよ!」
「責任って?」
「責任は責任よ!キスしたなら結婚しないといけないじゃない!」
「ぷっ!ハハハッ!なにそれ?」
「だってそうでしょ?男の子と女の子がキスしたら赤ちゃんができるかも知れないじゃない!」
「なんの事やら?キスしたくらいじゃ赤ちゃんは出来ません!それに今、タニアとキスしたじゃ無い!」
「赤ちゃんできないの?」
「できない!結婚だってサラにはジャンがいるじゃ無いか?」
「あっ!そうだ父さんがいた!でもぉ?」
「俺はサラとキスしたの悪いって思って無いから!サラが好きだから!」
「はん!ヌケヌケとぉ!私がいるでしょ?わ・た・し・がぁぁ!」
「タニア?」
「だだって!テオのお嫁さんは私でしょ?」
「はっ?タニア、なに言ってるの?」
「ず~っと一緒だったじゃ無い!それに┅好きだから!」
「好きだからって!まぁ、俺も好きだけど妹みたいだから。」
「妹?妹!」
「そうさ。妹みたいでかわいいし、世話が掛かるし、見てないと危なっかしいし。」
「妹じゃないもん!お嫁さんだもん!」
「はいはい。じゃあ大きくなってそれで好き同士になれたらお嫁さんも有るかな?」
「うう~っ┅大きくなって┅お嫁さん┅今じゃ駄目?」
「ダメ!」
「テオの馬鹿!」
するとまた強くキスした。
「母さんに負けないもん!綺麗になるもん!おっぱいだって大きくなるもん!」
「大きくって?おっぱいじゃなくて大人になるって事だけどね!」
「私、大人だもん!赤ちゃん産めるようになったもん!今だっておっぱいあるもん!」
「えっ!そうなの?」
「母さんが言ってた、もん大人だね?って、赤ちゃん産めるねって、でも、まだ赤ちゃんは早いって、おっぱいがでる様になってからだって。」
「そっかぁ┅」
多分、生理が始まったのか?と理解した。
タニアはもう一度長いキスをして逃げるように屋敷へと走って行ってしまった。
(確かにタニアは美人になるだろうなぁ
かわいいし、足も長いよな?最近のおっぱい具合は早くは無いかい?背丈も俺よりでかいし、俺って前世みたいにチビなの?
『告 165cmでした』
そう言うのいいから!
(はぁ、見られたのマズかったかな?
ジャンに言うかな?
やっぱマズいよなぁ
ハア~ッ
お嫁さんかぁ
一夫多妻制だよなぁ
何人も良いんだよなぁ┅何人もぉ┅)
風が走る
木の葉が湖面に踊る
木々が揺れ空気が張りつめたように冷たく感じる
光の粒が道を作るように森の中へと誘う
ゆっくりとあの池がある森の中へと歩いて行く
妖精達が飛び回り精霊達が大樹に並ぶ
ふわりと1人の女性が舞い降りる
テオに両腕をかけ抱き寄せる
顔を近づけ囁く
『やっと会えましたね?』
あなたは誰ですか?
『精霊王のシルフィードです』
シルフィのおかあさん?
『精霊に親子はないの』
親子がない!
『あの子はまだ進化前の子、精霊は進化
を重ねて成長するの、でも大精霊に成
るのは大変よ』
進化ですか!
『名前も進化によって変わるのよ
次にあの子が進化したらシルファっ
て変わるの』
シルファに┅
『テオ?あなたに加護を与えたのは
あなたが妖精と精霊に選ばれたから
あなたの魔力が私達を魅了するから
最初は弱々しかった耀きが
次第に大きく優しく世界を
包んだの
その耀きは選らばれし者の証
だから
私達はあなたを守る立場にある
この世界が邪悪に包まれないように
神々も同じ
あなたを守る立場にあるの
この世界に調和をもたらす者
転生者のあなただから』
シルフィードはそっと口づけて舞い上が
ると、手を降りながら微笑み
『愛する選らばれしテオ!あなたに
祝福を!そして恵みを!』
そう告げると消えてしまった
精霊達や妖精達も一緒にいなくなった
ぼんやり大樹を見ると大樹が金色の光に包まれ白い花を咲かせた
満開の花は桜を思いださせ目から涙が滲んだ
桜かぁ┅もう見る事も無いと思ってた
また来ようと思いながら大樹の池を後にした
『解 この大樹は精霊樹です この世界には他に世界樹が有り世界の魔力の元、魔素を供給しています 世界樹の実は万病の薬 再生の実とも言われます あらゆる病を治し蘇生も可能 精霊樹の花は数百年に1度咲くと言われ見た者は幸福になると言われてます 実は進化の実、生き物に進化 大地には豊穣 精霊達に進化をもたらすと言われてます』
じゃあ今度、皆でお花見に来よう!
『告 テオ様?実が成ったら食して下
さい 進化致します』
進化するの?俺が?
『解 テオ様は精霊王の御子です 精霊と同じ進化します 私も┅フフフッ』
やれやれ