フォレスト教会
「でもここの料理は美味しいわね。」
「そうそう、朝、昼、夜ってみーんな美味しくて豪華、太るのが心配。」
「マーサ 太る バイコーンの餌 静かになる」
「なんだってー!ウルティマァー!」
「マーサ うるさい 静かに食事」
「あんたがぁ!あんたがぁ言うかぁ!」
「ハイハイ、それで?マリアは病院ヘ行くの?」
「ええ、お年寄りが腰とか足が痛いと来るので。」
「サラが居ないから仕方ないかぁ、ミーリァ達はレベル上げ頑張ってるかしら?」
「シャルレさんが必死になってるみたい、早くここでミーリァと一緒になれる様にって。」
「従者って大変ね、シャルレさんってずっと一人身で良いのかな?」
「う~ん、ミーリァが嫁いだら付いてく感じ?かな。」
「なんだか寂しい生き方ね?結婚とか考えて無さそう、多分あれは男を知らないわよ。」
「うぷぷっ、センセはもう!でもウブなおばさんを恋の虜にするのも面白い。」
「マーサ シャルレさんおばさんじゃない まだ若い」
「えっ!ホント、じゃあ幾つなの?」
「確か24歳だったと?」
「そうです、ミーリァが教えてくれました、24歳でミーリァが産まれた時からお世話してると。」
「あちゃぁ!じゃあ生粋の箱入り娘と過保護の侍女さん、駄目よ!それはアキマヘン、引き離さないと悲しい運命がぁ~」
「なに馬鹿な事を言ってるの、そんな事より薬事研究所にあった薬草を調べるの!」
そんな事を話してると壁からヒロ達が前触れもなく現れた。
「やぁ!みんなやっと来たみたいだね?」
「良かったぁ、無事に来たのね。」
それを見た途端、アンナ、マーサ、マリア、ウルティマが泣き出す。
マーサはヒロに飛び付きマリアはサラに抱き付く、ウルティマはオロオロとヒロとサラを行ったり来たり、アンナは只泣くだけ。
「いやはや、さぁ泣かないで、サラも泣かない!」
「バカバカ馬鹿あー!テオちゃんのテオちゃんのバカァ┅」
「サラさん、会いたかった┅本当に┅」
「私もよ、元気で何より、さぁ顔をあげて。」
「ヒロ~!なんでこんなにしたのぉ~?なんでメチャクチャ~」
「ハハッ、兎に角!落ち着いて、えっとセバスとギル爺は大丈夫そうだね。」
「坊よ?大丈夫では無い、話したいことは山程ある、じゃが歳の功じゃ。」
「テオ様、私達も来てしまいました、勝手ですがお側に置いて下さい。」
「ふぅ~、初めに言っておくけど!テオドールは死んだ!これからは一切その名は口に出さないで!今、俺の事を知ってる人達はヒロ・タチバナとしてお付き合いしてる、テオドールの名で呼ばれても返事も何もしないから良いね!」
「そんなぁ┅そう簡単には行かないわよ、馴染んだ名前を変えるって難しいのよ?」
「駄目!甘い事を許すと何時までもダラダラなる、サラはローレンスを出た日からヒロと言ってくれた、サラに出来て皆は出来ないのかな?そんなに駄目な人達だったかな?」
「私は前から言われてたから、それとここではゴーレム達や他の人達が困ると思うよ?テオドールって知らない名前だから。」
「ううっ、それはそうね。」
「ウルティマ 簡単 ヒロ ヒロ 呼びやすい」
「あんたはスカポンタンで鈍感だからよ、繊細な乙女には簡単じゃ無いの。」
「マーサ バイコーンの餌 ぞんざいの間違い」
「グヌゥ、あんたは!表にでろおー!」
「ハハッ、仲良しだな、でもウルティマの喋り方?」
「そうなの、旅に出てからあんな片口になって、マーサちゃんとは姉妹みたいになって。」
「俺達は帰ったばかりでちょっとやる事があるんだ、片付けたら話をしよう。」
「クラーケンとかシーサーペントと遊んでカレン義母さんにエビを渡したら喜んで貰って直ぐに来たから汗臭いわ。」
「カレン義母さん?どうして?」
「ああ、スティーブ義父さん達はここにも来たしカレン義母さんは良く来るよ、マーガレット姉さんは近々結婚するかも知れないから暫くは来ないかな。」
「はっ、それは?どうしてそうなってるの?姉さんが結婚?母さんが良く来る?なんで?」
「まぁ後で詳しく話すよ、風呂に入ってくるから。」
そう言ってサラと調理場ヘ行きその後部屋へと行ってしまった┅
残された皆はポカ~ンとして顔を見合わせた。
時間はある、じっくり話せば良い。
ウルティマとマーサは外で追い駆けっこ?
フィルが静かに見守る。
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「討伐依頼、無事に終わりました。」
「うわっ!またかい、ビックリさせないでくれよぉ、公爵様はどうだった?」
「はい、何の問題なく済みましたよ。」
「カレン義母さん、おみやげがあるんですよ、これです、あちらに出しますね。」
「まぁ、何でしょ?サラちゃんありがとうね。」
いそいそと奥へ行った。
「アンナ達が着いたみたいです、お義父さんも2、3日したら来て下さい、皆で話し合いましょう。」
「そうだね、マーガレットも結婚が近いしアマンダ様の事も心配だ。」
「アマンダさんは無事に魔力を上げてもう訓練は必要無いですよ、でもダンジョンに入るから怪我はしてるみたいです。」
「おいおい、それが心配なんだ、本当に大丈夫だろうね。」
「大丈夫ですよ、それよりマーガレット姉さんが結婚するって?」
「実は王宮からのお達しが来て君が言った通りだったがオルレアダンジョンを言って来た、何でも今の代官を男爵にしてダンジョンの町を領地にするとね、オルレア領内には変わりがないがダンジョン街を男爵領地として治めさせろだってさ。」
「ふむ、国としてはオルレア領はフォレストと仲良し、迂闊に手を出せない、ならばダンジョンだけでも国の統治下にする為に爵位を与え建前でも領地としておく?と考えたのですね。」
「そのようだ、ヒュードル領を失って国も財政を心配したんだろう、オルレアダンジョンは人気があってまだ層覇されて無い、町は潤っている。」
「それで姉さんも結婚しやすいと?」
「貴族ってのは面倒くさいんだ、平民と結婚するのは特にね。」
「まぁ、姉さんが幸せになるならそれで良いんじゃ無いかな?」
「あの男は信用も信頼もできる、マーガレットには勿体ないくらいだ、安心してる、それで何だけど公爵からの依頼費はどうするかね?」
「ヒュードル領に使って下さい、それじゃあアンナ達が待ってるんで。」
「わかった、カレンと行くから宜しくね。」
ゲートで帰ったのだった。
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風呂から上り食堂で軽く遅い昼食を済ませ、皆が待ち受ける居間へ行くとやはり質問責め┅
セバスが間に入り順番に答えた。
「じゃあ私から、ローレンスを出てどれくらいでここに着いたの?騎士団が出来た経緯とサラが変わってしまった事も教えなさい!」
「サラが変わった?」
「そうよ!別人、まるっきり綺麗になって髪も銀髪、スタイルも違う、それに能力が半端無いじゃ無いの!」
「それは┅サラに答えて貰うかな┅」
「そうねぇ、変わったって自覚はあるわよ、ここの空気と食べ物、それと┅ヒロに愛されてるから┅」
「うわっ、何言ってるんだ、そりゃ愛してる┅よ、でもそれはみんな同じだから、やっぱり空気と食べ物だよエヘヘ。」
「グヌゥ、やっぱりそうなのね!私達がいないからいつでもって事ね!」
「なに言ってるのかなアンナ?それより、騎士団はね、前のラウル王国の王国騎士団で騎士団長のサミュエルは英雄だったんだ、あのダンジョンに300年も居てスケルトンでいたんだ、それを召還して配下になったと言う訳。」
「坊よ、そのラウル王国の騎士団達の正式な名前はわかるかな?」
「うん、サミュエル・ドルトムンド団長、カーギル・ハモンド副団長、クロード・バーミリア分隊長だよ。」
「オオーッ、それは、セバスよ間違い無い、あの伝説の英雄達じゃ!」
「そうだな!間違い無い、しかし行方不明になったと伝わっている、まさかフォレストで亡くなっていたとは┅」
「セバスさんギルバートさん?あのスケルトンさん達って有名人?」
「そうじゃ、王都の王立博物館に鎧や剣、兜が飾ってある、伝説も伝説でな?今の王国が成り立ったのも彼らの騎士団が有ったからじゃ、名はラウル王国じゃがルーデンス王はラウル王と兄弟だった、ラウル王亡き後ルーデンス王が引き継ぎ今に至っておる、サミュエル団長は剣聖と言われカーギル副団長は槍の王でなクロード分隊長は影の支配者と伝えられておる、王立博物館に行って見ると良い。」
「そんな英雄達を配下にして5000の騎士団だとは┅」
「それで?何時来たの?」
「ああ、ローレンスを出て大体3ヶ月くらいかな?」
「う~ん4ヶ月だったわよ。」
「はっ?たった3、4ヶ月で?」
「うん、途中から空を飛んで来たしドリィに乗っても来たから早く来れたよ。」
「もう!ソレソレ!なによ!神獣にグリフォンの進化者?」
「ああっ、シロはフェンリルでそれが前の世界で俺が飼ってた犬だったんだ、転生してこの世界ヘ俺より50年前に来てたんだってさ、それで召還して進化して、ドリィはサラが出会って召還して進化したよ。」
「じゃあここに来る前に出会ったのね。」
「ドリィだけじゃ無いよ、リィネにゼアにグリフォン軍団もだよ。」
「ハイハイ、やらかしてるのね、ここに来てから何してたの?」
「初めは魔物退治をしてこの屋敷を建て拠点作り、お遊びでゴーレムを作ったらサラがはまって、ハハッ、精霊樹の種を植えたら直ぐに大きくなって妖精や精霊が来るようになり精霊がダンジョンを教えてくれて入ったらスケルトン達が居たって訳。」
「ふう、何となくわかった、それで思い付きで色々やらかして拡がったと!」
「やらかしって?落ち着いたら紹介しようと思ってるけど面倒くさいから今にするかな、サラもそれで良い?」
「良いんじゃ無いかな。」
「じゃあ、みんな出て来て!」
ブワ~ン 白い煙りの中から現れた4人
「大精霊の皆さん、風の大精霊シルフィード、水の大精霊、ウンディーネ、火の大精霊、サラマンダー、土の大精霊、ノームだよ。」
「「「「「「大精霊ー!」」」」」」
ウーン パタリと気を失う、もう驚きが限界みたいです。
大精霊達はそれを見て大きく笑いヒロとサラに拍手してる┅
皆を放って置き、話し出した。
「実は創造神からこの領地に教会を建てろと言われた、それで町の広場に建てる事にしたんだ。」
『そうか、創造神様も本腰をお挙げになったと言う事ね』
『だろうね、ヒロちゃん達がとっても頑張るから創造神様が手助け為さるんでしょ』
『それに何やら不穏な空気も有る、この国も他の国も騒がしい』
『まぁヒロが教会を建て神々と近しい関係になれば儂等も住み易くなる』
「なんだよ、ここに住むのかよ?」
『ハハッ儂は既に住んでるけどな。』
「まったく、酒ビタリで、体壊すぞ。」
『精霊は不死、体も壊さん、酒のお陰でもっと元気じゃ、美味しい酒を教えてくれるからなぁありがとう』
『そうよ、ヒロの珍しいお酒は私達の楽しみ、感謝ヨ~ン』
『それで?新しい計画が有るんでしょ?』
「それは決まってから話すよ、それとシロをありがとう、助けてくれて。」
『良いのよ、神獣は私達が加護者、守るのが役目よ』
「シロはシルフィの加護持ちだったね、でもありがとう。」
『それよりどうする?起きないみたい、私達あっちに行ってようか?』
「又、改めて紹介するとしよう、みんなありがとう。」
『良いのヨ~ン、ヒロちゃんに久しぶりに会えたからお姉ちゃん嬉しい』
『ハイハイ、あんた段々マーサだっけ、似てきたわよ』
『グヌゥ、あんな小娘に似てなんか無いわよ、私はヒロちゃんを愛してるのヨ~ン』
『しょうがない奴だ、じゃあな』
『儂は醸造所へな?』
「ありがとう。」
さて?困った┅
1号に任せて早速教会を建てにサラと町の広場ヘといく。
役場のゲートに出ると直ぐにドノバンさんが来た。
「御領主様、お帰りなさいませ。」
「ドノバンさん、お疲れ様です、これから教会を建てようと来ました。」
「おおっ!それはありがとうございます、唯一足りないものがやっと出きるのですね?」
「えっ!そんなに必要でしたか?」
「ええ、みんなが望んでいました、拠り所ですから┅」
「ヒロは信仰心が薄いからわからないの、普通は町に教会があって安心するものなの。」
「ハハッ、これはウッカリだなぁ、そうですか┅」
ちょっと寂しかった、暮らしに困らず生きて行けても将来の不安は有るのか┅
前世では神や仏を信じる事に無意味だと思っていた、この世界ヘ来ても神が身近過ぎて無頓着になってたんだと改めてわかった。
「今の暮らしがあるのは勿論、御領主様のご尽力ですが、その恩恵に巡り会えたのは神のお導き、感謝したいのですが教会がなく各々の家で祈っても┅」
「私も思うよ、ヒロに出会えたのは神さま、創造神様の導きだって、だからちゃんと感謝したいからその場所は必要なの。」
「ハハッ、そうなんだ、そんな事もわからないなんて領主失格だなぁ、ご免なさい。」
「いえいえ、御領主はお忙しい御方、どうかお気に為さらずに。」
「ありがとうございます、それで、中央広場のどこかにと思ってるんですが?」
「其れならば広場の真ん中、中央など如何かと、何故なら全体を見られてる様で安心です。」
「そうですか┅真ん中┅」
「とても素敵、教会を中心に広がる町って創造神様に守られた町みたいで。」
「ええ、神に守られし楽園って、ハハッ我ながら良いアイデアだと思います。」
「ちょっと癪だけどそのアイデア、有り難く使わせて貰います。」
広場の真ん中ヘと立ち、ドノバンさん達役所の人達が暫く広場ヘの立ち入りを止めてくれて安全に取り掛かれる。
考えたイメージをサラと話し合い、教会の姿形を決める。
両手をかざしイメージを広げる、そのイメージが金色に輝き大きくなる。
眩い光りで周りで見ていた人々は何も見えなくなる。
ゴゴーッ! ガシーャン! ガンガン
大きな音が響き段々と光が治まって来ると見えて来た。
銀色の建物?少しおかしな形?だが神々しい┅それ程大きくは無くどちらかと言えばこじんまりと┅
其れから内装を確認、どこにでも有る教会の配置とは違い長椅子が四方に向かって並んでいる。
「真ん中にシロ爺の像を建てようと思う、この四方へ向かって向いてる様に4体、入り口も四方に4ヵ所と入れる様に神官が居ないから礼拝堂だけにしたんだ。」
「話してた通りね、四方に向いて4体有る創造神様に向かって祈れるし、長椅子もちゃんと四方に配列されてる。」
「じぁあ一緒にシロ爺を造ろう。」
そう言ってサラと向かい合わせに像を造って行く、流石に慣れた物でミスリルの銀色が輝く創造神の姿がリアルに建って行く。
サラと話したのは4体の像が同じに成らないように造ろうと、姿はリアルに形は違いを出して飽きない様にしようと、素材も少し変える。
ミスリルだけじゃなく緋色金、魔鉱石、魔硝石と色も変え造りあげる。
何とか出来て後は壁や天井の装飾を仕上げ外周りを広場に合わせ小さな噴水を四方に造る。
噴水周りで子供達が遊べる様にカップル、夫婦が語らいの場になるようにと仕上げると出来上がった。
何時の間にか大勢の人達が集まりじっと息を潜めて見守る中、二人で声を上げる。
【フォレスト教会】完成だーあー!
すると大歓声が挙がる。
各々に喜びを叫び、中には泣いてる人も┅
グリフォン軍団が教会の上空でぐるぐると旋回して祝っている。
驚きより教会が出来た事に喜び、その教会の素晴らしい姿に見とれ崇めて歓喜の声を叫んでいる。
そんなに教会が喜ばれるなんて思っていなかったヒロはその歓喜の声を不思議に思いながら見ていた。
「御領主様!ありがとうございます!ありがとうございます!なんと素晴らしい教会を┅ありがとう┅ございます┅」
ドノバンさん?そんなに教会がほしかったの?泣かないで┅
「自由にお使い下さい、マリアが神官をしていたので病院と教会は彼女に任せましょう。」
「おお!マリア様は神官女様でしたか、治癒のお力が有るのも納得です、教会の事はマリア様のお預かりとしますね。」
「病院はアンナとマーサが担当になるので安心です、彼女達は薬師ですし医者でも有ります。」
「おお!ますますフォレスト領は安泰ですな、では?学校もどなたか?」
「学校も適任者が居ますし学校の仕組みを考えています、其れが出来たら手助けお願いします。」
「勿体ない事です、手助けでは無く私の仕事ですから。」
出来たばかりの教会ヘ大勢の人達がお祈りにと入って行き出て来ると皆、涙を流して笑顔で帰って行く。
これがこの世界の普通なんだと思い知った。
初詣を思い出した、寒い夜中、人々が神社や寺院、教会と集まり祈る。
其れが人の願いと拠り所┅
不安、悩み、幸福、人の願いはどこも同じそして同じ様に神に祈る┅




