ミハエル・ドルトムント・ミンガル公爵
「お前達は何者なんだ?┅しかし助かった、ありがとう。」
「シュレーダー君、その二人が討伐したのかね?」
「公爵、まったく驚きましたぜ、フラリと現れて簡単にやっつけちまうなんて。」
「そうか、ではお前達は冒険者なのか?」
「公爵?」
「私はこのミンガルの領主ミハエル・ドルトムント・ミンガルだ。」
「そうですか、私はヒロ・タチバナ、こちらが妻のサラです。」
「サラと申します。」
又、社交礼儀の作法でチョコンとスカートの裾を持ち礼をする┅(どこで覚えたのか?お気に入りだもんなぁ┅)
すると公爵が慌てて馬から降り礼を述べる。
「感謝する、この度の討伐で我が町は平和を取り戻した。」
「いやぁ、オルレア子爵から聞いてクラーケンとシーサーペントの肉が食べれると喜んで来ました。」
「なんと!クラーケンを食べると!そ、それにオルレア子爵?」
「公爵様から討伐依頼が出され子爵から頼まれたんです。」
「そうなんですよ、それにミンガルの港には美味しいお魚や魚介類が豊富だと聞きました、是非食べたいと。」
「いやはや、観光目的でクラーケン退治か、恐れ要ったぜ。」
「それではオルレア子爵へ頼んだのをお二人が?」
「はい、それに魔人が絡んでましたから。」
「おう!それだ、魔人はどこに居るんだ?」
「魔人達は私の配下が片付けました、尋問をしてる最中です、もう少しで事の全容がわかります。」
「片付けた?配下?一体?┅」
「では私の屋敷で詳しい話を聞かせてくれないか?」
「それは良いのですが、出来ればクラーケンの肉を頂きたいのです、それとシーサーペントの肉と皮もです。」
「それは良いがクラーケンなんて解体した奴が居ねえ、魔石だけなら┅それにシーサーペントの肉と皮だけで良いのか?素材はどうする?」
「あのですね?クラーケンは解体を手伝います、シーサーペントは肉と皮を一部だけで良いです、デカイですから、魔石と素材は要りません、町の復興と被害に遭われた人達ヘお見舞いとして下さい。」
「なんだとぉー?それだけで良いと?」
「いやはや、大したお方だ、あっさりとあの魔物を討伐してその素材等を寄付するとは┅」
「解体には魚関係で出来る人がいると思うんですが?」
「おう!任せろおー!俺達漁師がやってやるぜぇー!」
「本当にこれを食べんのか?しょうがねえなぁ。」
「皆さんが知らないだけです、タコは美味しいんですよぉ!」
「おじちゃん?これも食べるの?」
「オオー!これこれ、タコだタコだ。」
「そんなもんゴミだ、何時も捨ててるぞ!」
「勿体ない!では教えましょう!タコの素晴らしさを!そう言う訳で公爵様?話は後で。」
「フフッ、公爵様?諦めて下さい、ヒロが夢中になったら何も受付けませんから。」
「そうか┅しかし私も少しは興味がある、あのタコを食べるのを┅」
「公爵さんよぉ、変な奴だが言った事はまちげぇねえから見て見ましょうぜ。」
それからは大きなクラーケンを漁師、冒険者ギルドの解体師、魚市場の皆と解体する。
ヒロが指示を出し漁師がデカイ包丁?ナタみたいな物で足をスパッと切る。
8本の足を切る時に先の細い部分は切り捨てる。
その足は素早く次元収納へ放り込む。
体を開き魔石を取り出すと一気に海水と内臓、飲み込んだ物が流れ出す。
それには珊瑚やら壊した船の残骸と一緒にお宝もあった、海水で内側を洗いシャッシャッと手頃に切り出す。
もう大丈夫とさっきの小さいタコを手に取ると魚市場と漁師さんに調理法を教える。
まず、生きてるけど塩でタコとクラーケンのヌメリをゴシゴシと揉んでは水で流し何回か繰り返す。
ヌメリがなくなりタコもぐったりしてるけどグラグラと沸騰したお湯に浸す。
お湯には塩を少し入れて茹でダコにする。朱く色が変わり火が通ると水に付け締める。
これで完成。
茹でたタコの足を切りそれに串を刺し火に炙り魚醤をかけるとほのかな匂いが口の中を唾液で一杯になる。
クラーケンの肉はステーキにして焼く。
フライパンに油を滴し刻んだニンニクを油に馴染ませる。
そして肉を置き蓋を被せ焼く。
香ばしい匂いと弾ける音を聞きサッと裏返し焼く、頃合いよくなり白ワインをかけ蒸すと出来上がり。
ヒロがガブリと噛ると満面の笑みでウマーイと口走る。
「さぁサラ、食べてみて。」
「うん、食べる。」
パクリと噛りモグモグ┅その姿を皆が見てる。
「なにこれ!スッゴク美味しい!もっと焼いて!」
一堂が歓声を上げると、戦姫様がタコを食べた!美味しいと言った!と叫び俺にも私にもとせがまれる。
魚市場の何人かが真似て同じようにタコを焼き皆が食べる。
公爵とギルマスも恐る恐る口にすると唸る。
「美味しいでしょ!タコはもっと美味しい料理があるんです、煮ても焼いても美味しくて、でも必ずヌメリと塩茹でをしないと駄目です。」
「旦那?このタコはこの辺りでは沢山取れる、他の地域は食べてるのか?」
「大陸では食べられて無いようですね、残念です、日干しも見た事が無い。」
「えっ!タコの日干し?」
「そうですよ、タコを干して焼いて食べるとエールに合って旨いんです。」
「ゴクッ┅そ、そんなに旨いのか?」
「タコもイカも干したのは極上です、あのクラーケンの肉も色んな料理を楽しめると思うと。」
「なぁ悪いが、俺達漁師と魚市場の奴等にタコの料理を教えて訓ねえか?厄介者が商売になるみたいだしよう。」
「良いですよ、公爵様との話が終わったら教えましょう、考えがありますし。」
「ありがてぇ、頼んだ、それで?なんか用意とか要るか?」
「出来るだけ多くのタコとイカもあれば、大きな鍋にお湯を沸かして塩も多く用意して下さい、後、魚醤と砂糖、小麦粉に野菜もキャベツをお願いします。」
「承知した。」
約束して公爵と騎士団に連れられ屋敷と言う城へ向かった。
ジェイソン達はヒロ達が戦っている時に岬の先の小屋に潜んでいた魔人達を血祭りに上げていた。
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❴クククッ、愚かな者共、我が君のご命令です、観念して下さいね。❵
「何をほざく、たった2人で我らを倒せると思っているのか、その慢心を嘆くなよ!」
火魔法が飛んで来るのを指で払う。
どんな魔法も指1本で払われ魔人達は驚き一斉に飛び掛かる。
スッと消え背後に現れてスパーンと後頭部を叩く。
ジャックは指揮官らしい魔人と戦っている。
魔人が剣を構えるとジャックはニヤリと笑い何の真似か?と問う。
魔人がいっちょ前に剣士の真似をするのがおかしかったのだ。
ジャックの長い爪がヒュンヒュンと右から左からと攻めドンドン下がる。
遂にその長い爪が魔人の腹に無数のキズを付け血が飛び散る。
すかさず後頭部を叩き気を失わせて腕に隷属の腕輪をはめる。
ヒロから与えられた物だ、改良した物で尋問に適した威力があると言われ聞き出したら始末するよう指示されている。
ジェイソンは5人の魔人を海上へ連れて行き事も無げにバラバラにする┅
指をパチンーと鳴らすと首から腕、足、胴体と飛び散る┅
海へ落ち海面に血が漂うとバシャバシャと魔物達が食ってしまった。
ジャックの元へ現れると尋問をする。
❴目的を話しなさい。❵
「う~んうっ、魔物で町を襲い┅困らせ┅公爵一族に成り済ます┅」
❴では?その命令は誰がしたのですか?❵
「それは┅」
❴ジャック❵ 隷属の腕輪が鈍く光ると激しく痛みが走り苦しくなる
「やめてくれ┅話す┅帝国の王に言われた┅」
❴それは人間の王ですか?❵
「帝国王は┅もう人間では無い┅はぁはぁ┅」
❴貴方は帝国から来た、それで間違い無いのですね?❵
「俺達は┅皇国から┅来た┅裂け目から┅落ちて┅皇国だった┅」
❴そうですか、では皇国には魔人が沢山いると?❵
「はぁはぁ、そうだ┅裂け目から┅大勢落ちた┅今頃は┅皇国は┅」
❴帝国と皇国が手を組むのですか?❵
「わからない┅俺には┅わからない┅」
❴王国の事はどうですか?❵
「わからない┅はぁはぁ┅俺達は┅この地で暮らす為に┅」
❴暮らす?何故です?魔国ヘ帰れないのですか?❵
「うう~帰れない┅誰も帰れない┅だから┅グヌゥ、たのむ殺してくれぇ┅苦しい┅」
❴これまでですか、仕方ない、腕輪は返して貰います、ジャック、後は。❵
ジャックはコクンと頭を下げ魔人を掴み飛んで行った。
ジェイソンはヒロの影から事のあらましを報告すると消えた。
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城へ着き二人は豪華な居間へ招かれ公爵妃と息子、娘に紹介された。
「妻のアーニャと息子のゲイル、娘のアンだ。」
「初めまして、ヒロ・タチバナです、妻のサラです。」
「ところで討伐依頼を受けたと?」
「オルレア子爵から呼ばれ話を聞きました、それでこちらに着いたばかりです。」
「そうだったのか、しかし、見てたがいとも簡単に片付けたのだな。」
「私の所にはあれより強い魔物が沢山居ますからハハッ」
「それは?」
「フォレスト領です。」
「なんだって?フォレスト領は人外魔鏡の地、君は行ったのか?」
「フフッ、ヒロはフォレスト領の領主ですよぉ、領民も沢山います。」
「そんな馬鹿な、私を担がんでも良い、あの地は国から棄てられた土地、地図にも無いでは無いか、それを領主などと。」
「それはネルソン王にも話してます、あの地を私が治め人々を幸せにすると、そして誰も手を出さないと約束してくれました。」
「ま、まさか!それは本当なのか?」
「ええ、ここに来る前に王宮で話して来ました、それとフォレスト侯爵があの地で暮らす為に向かって来てます、全て本当の事ですよ。」
「ふう~信じられない、私も1度フォレストヘ足を踏み入れたがあまりに魔物が多く退散したのだが┅それで君は何故フォレストヘ行くとしたのだ?」
「あの地は母の故郷と言うか幼い時に暮らした土地でして遺言で又暮らせるようにと託され来ました。」
「そうか、母君が┅確かに昔は素晴らしい所だった、でもわからん、何故君が領主で王が許すのか┅」
「まぁ兎に角、依頼は済みました、私達は町の人達にタコの食べ方を教えなければならないので行きます。」
「まぁ待ってくれ、クラーケンとシーサーペントの素材と魔石は本当に先程の事で良いのか?」
「ええ、被害者の方々に手当てして下さい、残りは公爵様が納めて町の為に使って下さい。」
「う~ん、あっぱれな事だ、感謝する。」
「では失礼します。」
そう言って城を後にした。
港では大騒ぎ、珍しい料理と聞いて集まっている。
すぐにシュレーダーが来て解体に時間が掛かる、シーサーペントの肉と皮は明日まで待ってくれと言われた。
漁師達も明日の昼には魚が揚がり市場に品が揃うしタコやイカも取って来ると言われたので宿を取り港町を楽しむ事にした。
タコ料理を漁師の奥さん達、市場関係者と一緒に作る。
たこ焼きがしたいがプレートが無いのでお好み焼き風にした。
小麦粉を溶き玉子が有れば入れかき混ぜる。
それにキャベツのミジン切りとタコを小さく切った物を入れ混ぜ鉄パンで焼く、タレは魚醤に砂糖、塩、酒が無いからワイン、フライパンで水分を飛ばしドロドロになったソースを掛けると出来上がり。
サラダはタコをスライスして甘酢、酢が無いのでワインビネガーと砂糖、塩を混ぜ浸ける。
マリネにした。
タコの串焼きは塩味と魚醤味、甘だれの三種、タコの煮付けは大根と里芋、魚醤で味付け香草をパラパラ。
お好み焼きに岩海苔の乾燥したのをパラパラと振りかけると皆が聞いたので岩海苔の事を話した。
いわゆる浅草海苔を作る工程を教えるとこれ又喜ばれた。
磯の香りがぷ~んとして美味しく韓国海苔みたいに味付けするとこれ又エールに合うと教えた。
みんなに喜ばれ満更、誇らしく思った。
料理してる間、サラは治癒院へ行き怪我と病気の人達を治療していた。
サラの人気は凄く、教会隣にある治癒院へ歩いていると道の脇に手を併せ拝まれる。
戦姫様ありがとうございます!
戦姫様ありがとうございました。
戦姫様!戦姫様!
称えられ恥ずかしく、逃げる様に治癒院へ入りパッパパッパと患者を治して行く。
それを聞き付けた人達が町の病気や怪我した人達を連れて来て行列が出来た。
それをお構い無しに治療して総ての人を治し終えるとニコリと微笑んでヒロの所へ向かって足早に行ってしまった。
残された神官と司祭が大声で叫ぶ。
戦姫様!聖女様!お慈悲をありがとうございました!と┅
それを見て人々が同じ様に崇め称える。
┅┅┅┅┅┅┅
ヒロ達が帰った後に中央広場と教会前に戦姫の銅像が建てられ教会では聖女の銅像が建てられた。
もちろんサラの姿、パンチラの戦う戦姫像と慈愛に満ちた姿のサラだった。
┅┅┅┅┅┅┅
料理会は大盛況におわり、とても感謝された。
タコをミンガルの特産にしてミンガルのご当地料理として広めようと決めたようだ。
それを見て考えた、タコは岸に寄って来る、子供でも網で捕まえられる、それに塩揉みは重労働だ、でも子供達が大勢でやれば出来る、貧しい子や孤児がやれば仕事になる。
タコ漁も少しは子供で出来、小遣い稼ぎにはなる。
ギルマスのシュレーダーに話し、ついでに漁師達にはタコ壺漁を教えた。
漁師達は真剣に話を聞く。
「タコは穴蔵ヘ入る習性が有りじっとしてます、そこで壺のような物をヒモで繋げて海へ沈め一晩置くと引き上げた壺の中に居るので簡単に沢山の漁ができます。」
そう言うと壺の大きさや材質とか水深は?とか聞いて来るのを答え凄く喜ばれた。
シュレーダーも孤児や貧しい家の子に仕事が見つかったと感謝された。
気掛かりだった塩作りも改良点を話した。
この世界の塩は茶色く粗い、天日干しだけで満足してる。
かつての日本も赤穂の塩がそうだった。
天日干しだけだと海水のアクと言うか汚れやニガリが取れてない。
海水を汲んで撒くのだが手間がいる、案の上、海水は直に海から流し込み塩田を作り干からびさせる作り方。
大量に作れるが美味しくない、釜茹でして煮詰め結晶を作り天日干しが白くて雑味がなくほんのり甘い塩が出来ると教えた。
結晶の上澄みがニガリだと教えそれは毒になるからしっかり取り除く事も教えた。
ニガリは豆腐に必要だからちゃっかり海水も収納している。
シュレーダーは試して見ると言い、またまた感謝された。
町一番の宿に泊まり翌日の朝はギルドでシーサーペントの肉と皮を受け取り、昼から魚市場に並んだ物を総て買い取り市場の人達も喜んだ。
貝や海老に見慣れた魚やオススメの魚を大量にゲット。
サラも嬉しそうに見た事が無い貝やエビを掴み楽しんでいる。
満足した港町訪問を後にして帰った。




