ルーデンス王国王都
「あれが城門ね?」
「さすがに長い行列だな、横は貴族専用と許可された者、仕方ない、並ぶか。」
「中に入ったらどうするの?」
「サラは初めてか、俺も町を見るのは初めてだから良く分からないなぁ。」
「じゃあ広場にでも行ってから考えましょ。」
「目的は明日にする?」
「そうね、もうお昼を過ぎたしこの行列、お腹も空いたから食べてたら遅くなるわね。」
「宿を取る?」
「ねぇ、王都の高い宿ってどんなかな?」
「多分凄く豪華だと思うけど、サラは泊まりたいの?」
「興味はあるわよ、だってそんなには来れないでしょ?」
「じゃあオルレガさんの所に行って話そうか?」
「それが良いわ、何か教えてくれるかも。」
国王に会う為に2人は王都へと来ていた。
しかし、物見の観光客みたいにはしゃいでいる。
サラはウキウキして長い行列も珍しくしげしげと眺めていた。
意外と早く自分達の順番が来て王都に入った。
多くの人が行き交い、大きな建物。
城門から真っ直ぐに行った先に中央広場が有った。
広場から近いオルレガ商会ヘ行くと大きな店構えに暫く見とれた。
「凄いなぁ、こんなにデカイとは┅」
「さすがに国一番、豪華ね。」
すると店から1人の女性が走って来た。
「久しぶりですぅ!」
「え、えっと、どちら様で?」
「ほら、ミリアさんよ!ルーベルン町の支店長さんだよ?忘れた?」
「そうです、そうです、ミリアですぅ!テオドール様とサラ様には多大な恩を受けありがとうございました、本当にありがとうございました。」
「ちょ、ちょっと待って、待って下さい、近い、近い。」
「あれから、あの場所にダンジョンが出来て、それはそれは稼がせて貰いました、今も随分と稼いでおります。」
「フフッ、ミリアさんお変わりありませんね、目が金貨になってる、フフッ」
「分かりましたから、少し離れて、ダンジョンは落ち着いてますか?」
「それはもう、私共が一手に任せて貰いまして冒険者ギルドも私達に逆らえ無い所ですぅ。」
「アハッ、ミリアさんらしい、お元気で良かった。」
「サァサァ、中へお入り下さい。」
「ミリアさん、私の事はヒロとお呼び下さい、お願いします。」
そう言って冒険者カードを見せた。
何度かカードと顔を見返し、思い出した顔で納得した。
店内は客が静かに整然と並んだ豪華な品を静かに見て店員と話したり手に取って確かめたり。
貴族らしい客が多く2人に似合わない空気だった。
応接室へ通されると身なりがタキシイドか?上品な男性が待っていた。
「ようこそいらっしゃいました、私は当店の店長、ギャドと言います、初めまして。」
「初めまして、ヒロ・タチバナです、こちらが妻のサラです。」
「初めまして、サラ・タチバナです、ミリアさんにはお世話になってます。」
「お世話だなんて!こちらの方が沢山お世話になっています、改めましてあのダンジョンの事、ありがとうございました。」
「本当にお二方は、当オルレガ商会に絶大な恩恵と繁栄を頂いています、店主は移動中でお会い出来ず残念でございます。」
「あっ、そんな丁寧に為さらなくても構いません、なるべく普通にお願いします。」
「ハハッ、お噂通りのお方ですね、しかし、ヒロ様のお陰でこれ程に大きくなりました、感謝致します。」
「あのぉ?今日はどうして王都ヘ?」
「はい、王様に会いに来ました。」
「「王様にぃー!」」
「ええ、以前にも会いに来いと言われてたので、それに私も話が有りますから。」
「そ、そうですか┅それはそれは。」
「あのですね?不躾では有りますが、テオドール様にお願いが有るのですがぁ?」
「ミリアさん、ヒロです、ヒロとお呼び下さい、それでお願いとは?」
「ああっ、はい、すみません、ヒロ様┅出来ればあのダンジョンを層覇して頂けないかとぉ┅」
「あのダンジョンですか?まだ出来たばかりで冒険者も沢山挑んでるのでは?」
「そうなんですが、今の段階でまだ18階層までしか至っていません、15階層から急に強い魔物が多くて、先だってもAクラスのパーティーが残念ながら┅それに若いダンジョンですので10階層までにかなりの鉱物がでると言うので冒険者達が奥まで行かなくて全然進まないのです。」
「そうですか┅」
「ミリアさん?鉱物しか出ないの?」
「ええ┅どういう訳かまったく他の素材はでません、浅い層は銅や鉄、5階からは金と銀がチラホラと出ます、しかし他の素材はまったく┅」
「それはおかしいですね、あの辺りは沢山の種類の魔物がいて高ランクのもいました、薬草も珍しいのが沢山有ったのに┅」
「えっ!10階まではゴブリンとコボルト、ホーンラビットとか雑魚ばかりでドロップするのは鉱物以外はつまらない物ばかり、10階からはオークばかりで肉も素材もドロップしない┅」
「ふ~ん?4ヶ月くらいかな┅ギャドさんは鑑定持ちですか?」
「はい、もちろんです。」
「ギャドさん、ミリアさん、これを見て下さい。」
アイテムBOXから薬草を取り出しテーブルへ並べる。
「こっ、これはー!」
「うーん、余り見ないですね?」
「ヒロ様!こ、これをどこで?どこで手に入れたのですかあー!」
「店長?どうしたのですか?只の薬草とキノコです。」
「馬鹿な┅馬鹿な、バカな?万能草、魔力草┅神力草┅これはマジックマシュー┅死ぬまでに見れるとは┅」
「はぁ?そんな神話の物が┅?えっ!ええーっ!」
「そうです、確かに神力草、万能草、魔力草にマジックマシューです、他にもあのダンジョン近くかな?沢山採取しましたよ。それとこれがこの薬草から作ったポーションです。」
各々の素材の前にポーションを置くとギャドとミリアは驚いた顔で見て、鑑定した。
「これは┅凄い┅」「はい┅とても信じられない┅」
「もう!知らない内にそんな薬草を採取してたなんて、どうして教えてくれなかったの?」
「ハハッ、だってサラはダイアや宝石ばかり探してあのダイアが出たらずっとダイアばかりだったろ?」
「ヒロだってアダマンタイトや緋色金ばかりだったでしょ?」
「シロが教えてくれて採取したんだ、魔力草は魔力回復薬、万能草は回復薬、神力草はエリクサー以上の回復薬、マジックマシューは毒と呪いに効くキノコだよ。」
「はぁはぁ、そんな簡単に┅魔力草のポーションは直ぐに魔力が戻り一定の時間魔力が減らない、万能草は上級回復薬、神力草に至ってはエリクサーを越える力を┅マシューはどんな毒も強い呪いも払うと┅伝説の国宝物ばかりなんですよぉー!」
「そうですか?それで、多分ですがダンジョンの近くにもう1つ入り口みたいな物は無かったですか?有る筈なんだけどなぁ┅それが薬草や魔物素材のダンジョン入口だと思います、半年も掛からない内に1つになって鉱物と薬草、素材とかがドロップする普通のダンジョンになると思います。」
「そっ、それは本当ですかーぁ!この薬草のダンジョン!ミリア!早く早く山へ山へ行きなさい、探すのです!」
「はい!それは直ぐにいー!」
「ハハッ、そんなに慌て無くても、ダンジョンだから魔物はいますよ?それに見つけないと見つからない、今までがそうでしょ?誰も思いませんから解らないですよ。」
「それと、あの山は魔物が多いですよね?そんな危険を犯して入らないです、私も慌て無くて良いと思いますよ、フフッ」
「はぁ~、そうですね、すみませんお見苦しい所を、しかしこの薬草はここ何年もいや、何百年も発見されて無いのです、神力草は死者を生き帰えらせ、魔力草は力有るものには願っても無い品、これは私共にお譲りは?」
「はいどうぞ。」
「ありがとうございますぅー!でもどうしてヒロ様はダンジョンにお詳しいのですか?」
「そんなには知らないのですが、最近ダンジョンに詳しい者に教わりました、あのダンジョンは未だ成長してるのでバラつきが有るのでしょう、私達が採取したのは薬草、高ランクの魔物、鉱物、宝石等ですがそれがまだ取り込めて無く別々になってしまったんだと思います、取り込んだら貴重な素材は奥へと行きコアを守る魔物が強く成るでしょう、近くにデスドラゴンがいたので差し当たりドラゴンとかが守護者になるかな。」
「デスドラゴン┅確かに、アンナさん達が地龍を倒しました。」
「素材が豊富だから階層も80階とかなると思いますよ。」
「それだから、なるべく早く見つけないと貴重な素材が手に入らないかもですよぉ?フフッ」
「サラさん!そうですね!早く行かなくてては!」
「では冒険者ギルドに指名依頼を!」
「あっ、ギャドさん!それは辞めたが良いですよ、冒険者が行くと荒れてしまいます、商会だけで行ったが良いと思います、なるべくこの事は隠した方が良いでしょう、どうせ1つになるのですから。」
「そうですね、考えが足らなくて┅流石に慌ててハハッ、ありがとうございます、此方で護衛を雇っているBランクの冒険者がいます、その者達と行けば良いですね?もちろん口外しないと約束して。」
「Bランクで十分だと思います、多分そんなには階層は無いと思われ5階層くらいで行き止まりかな?半日したら又、ポップしますから出来るだけ採取して異変が起きたら直ぐに撤退する事を進言します。」
「肝に命じます、ミリア、手配を頼みました。」
「私も挑みますよぉ!そんな貴重な素材が手に入るなら!」
「それで、ヒロ様とサラ様はまだ他にもお持ちで?」
「そうですね、サラはダイアとか宝石を沢山持ってますよ、それと別口にこれも見て欲しいのですが。」
ゴトンと塊を出した。
サラもあのダイアを出すと迷って他も出した。
「これは!」
「鉄、銅、金とミスリルのインゴットです、サラのはダイアとルビー、サファイア、それとオパールです。」
「はあぁぁ、目眩が┅」
「ミリア!しっかりしろ!それにしても┅このインゴットは?」
「それはフォレストで製品にした物です、鉱石のままだと量が多くて、それに加工が大変です、精製精錬して製品化すれば輸送が簡単ですから造って見ました、これから工場等を整備しようかと。」
「これを自前で製品化┅」
「フォレストには鉱山も有り人手も有ります、只、売る場所迄が遠いので考えた次第です。」
「いとも簡単に仰る┅しかし、これは高く売れ多くが欲しがるでしょう、その時は是非オルレガ商会へお願いします。」
「この品々はオークションに出す物ばかりです、このオパールとダイアはもちろん、神力草などはオークション始まって依頼の騒ぎになりますぅー!。」
「待って下さい、サラ?そのダイアは手放しても良いの?」
「フフッ、良いよぉ、これより大きくて色が違うのを持ってるから。」
「そうなの?やっぱり女子は宝石が好きなんだなぁ。」
「サラ様?これと違う?」
「フフッ、これですけど。」
コトリと拳より大きい塊を置くとミリアはパタリと倒れた。
「おおおぉぉ!なんとピンクダイア!大きい!輝きがぁ!」
「他にもイエローとかお気に入りはレインボーかな、それは手放なさないわよ。」
「はぁ~、そんな物が┅では!あのダンジョンで出る可能性が!」
「もちろんです、もっと落ち着いて安定したら最初に入った人が宝箱とかで間違いなく手にするでしょう。」
「凄いダンジョンなのですね?」
「はぁはぁ、ううっ、サラさん?心臓に悪いですぅ、でもぉ望みが出ました、私は冒険者になります!」
「おい!何を馬鹿な事を!しっかりしなさい!欲が顔に出てるぞ!すみません、では手続きを致します、宜しいですか?」
「はい、フォレスト産の品はオルレガ商会へお願いしてますから、お代は口座へお願いします。後はお任せします。」
足早に事務室ヘ行くとミリアさんがうっとりとピンクダイアに抱きついている┅
「あにぉ?お二人は王様に会うんでしゅねぇ?服とか用意しゅてるんでしゅかぁ?」
「しっかりして!ちゃんと言えてない!そのぉ服とか決まってるんですか?」
「ひゃい、いくら何でも其なりの格好は必要きゃとぉ~」
「ハイハイ、どうする?今から買う?」
「そうだな、そこまでは考えて無かった┅」
「この格好で行ったら追い払われる?不敬とか言われない?」
「ひゃい、大丈夫でしゅよぉ、上の階に服がありましゅからそちらでぇぇ」
「本当に大丈夫かな?じゃあお願いします。」
フラフラと案内してくれて服がズラリと並ぶ2階へ入るとスタッフが一斉にヒロとサラを別々にこじんまりとした部屋へ招きパッパッと寸法を計り服を運んでこれじゃ無いこれは?とか着せ替えられ黙ってお任せしていた。
「此方で整いました、どうでしょうか?」
イヤイヤイヤイヤ俺にはこれは┅?
すると別の部屋からサラが現れると皆が歓声とも悲鳴とも言える声をあげ騒然となる、サラは真っ白なドレスで現れ其はまるでお姫様みたいに上品で美しく銀色の髪が白のドレスに映え、息を飲む美しさだった。
「ヘへっ、恥ずかしい┅」
「と、とっても綺麗だ┅凄く似合うよ┅」
「きゃー!やっぱり素晴らしいわ!サラ様には似合うと思ったの!本当に綺麗┅」
「そんなぁ┅私みたいな┅初めてドレスなんて┅」
「ヒロ様!何と言う事を!今までドレスを買ってあげて無いのですか!パートナーにドレスの1つも差し上げない殿方はいませんよ!ましてやサラ様みたいな美しい女性に大して不敬です!」
「あっああ、それはすいません!サラ!ご免なさい!」
「イエイエ!そんなに謝らないで、恥ずかしいじゃ無い┅」
「ヒロ様!旦那様としてキチンと奥方へはプレゼントや喜ばれる品を提供しなくては一人前の男ではありませんよ!これに懲りてもっとサラ様を大事にして下さい。ホントに。」
「なんでミリアさんが怒るのかな?良いんですよ、ヒロは私をとっても大事にしてくれてますから┅フフッ」
「いゃあ、ミリアさんに説教された、ハハッ、わかりました、これからはサラにちゃんとプレゼントしますね。」
「そうして下さい、私の憧れの女性ですから、アンナさん達にも忘れずにお願いします。」
「ハハッ、すいません。」
「ミリアさん、ありがとう、これで明日は恥を欠きませんね?」
「お二人を見たら誰もがタメ息ですよ、羨ましい┅」
「えっとぉ、お代は?」
「何を仰る、こちらでプレゼントと言うことにして下さい、お荷物は宿へ送りますので。」
ギャドさんがいつの間に居て、そう言ってくれて取引の書類にサインをと出されサインすると着替え下へ降りた。
一番の目的を忘れる所でサラが言ってくれる。
「あのぉ、宿なんですが?どこか良い宿は有りませんか?」
「えっ!まだ宿を決めてない?」
「ええ、折角王都に泊まるから良い宿をと探したのですが解らなくて、オルレガさんの所なら教えてくれるかな?と伺ったのです。」
「それは失礼しました、こちらの早とちりでしたか、てっきり商談だとばかり。」
「イエ、それは私の早とちりです、何も聞かず店に招いてすみませんでした。」
「では、私共が知っている宿を紹介します、気に入ると思います、宿代はこちらで持ちますのでゆっくりして下さい。」
「そんなぁ、服ばかりか宿まで、恐縮です。」
「些細な事です、何もしなかったら店主に叱られます、ヒロ様達は私達の大切なお客様で有り恩人ですから。」
「ありがとうございます、遠慮なく使わせて貰いますね。」
店を出る時にサラがミリアさんにそっと何かを手渡していた、ちょっと歩いて見てみるとミリアさんが倒れて泡を吹いてた、楽しい人だと2人で笑い街中へと消えた。




