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黄昏おじさん異世界飛ばされ楽園創る  作者: 姫野りぉ
第三章 素晴らしき世界
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フォレスト領地


案内されなければ分からなかった。

出口を出ると直ぐに崖になっている┅

直角に曲がった道が出口からは見えない。


「ヒヤッ!道がないー!」

「慌てないで!」

「これは攻め込んだ者は皆、崖に落ちてしまうと言う訳か。」

「しかし┅凄い絶壁ね、そして良い景色!」

「本当、綺麗な所!」

「平地だと思っていたけどフォレスト領って下に拡がってるのね。」

『ここからは騎士団長のサミュエル様が案内致します』

「あっ、ありがとう、って!ガイコツ!」

『ようこそ、ここからは私が先導致します、騎士団団長のサミュエル・ドルムンドと申します、宜しくお願い致します』

「ヒィ?あのぉ┅あなたは?」

『はい、私はアンデッドです、我が主、ヒロ様に救われ命を授かりました、スケルトンからリッチ以上の力を与えられフォレスト領をお守りしております』

「サミュエル殿と申されたな?騎士団と言うからには戦力はどうなのじゃろうか?」

『ハッ、騎馬隊が2000騎、歩兵隊3000と総勢5000の騎士団になります』

「なんと!5000の兵士とな?」

『我が主には他にも兵士がおりますが、我ら騎士団はもっぱら領地の管理と護衛に専念致しておる次第です』

「他にも?┅一体どこを目指してるのやら?」


サミュエルの先導で道を進むと壁づたいに道が伸びている。


「サミュエルさん?あの壁が城壁ですか?」

『そうです、城壁は領地の境界に建てられていて入る事は不可能になっております、外からは霧にて分かりませんが高さ15m、幅7mの城壁となっています』

「確かに高い壁が連なってる┅」

「そしてあのゴーレム門番に幻惑の霧┅」

「第五城壁とか言ってたよね?」

「あと4つ城壁があるのよね┅」

「見て!あそこ!魔物が何かと戦ってる!」

『あれは訓練している騎馬隊の一部です、この第五地帯は魔物解放区でして魔物は自由に活動しています、あの先は魔の森に隣接してますから一部入口を開け自由に魔物が入って来る様にしております』

「マーサ、あっちを見て!あれはトロールかしらオークと争ってるわ、向こうにはサーベルタイガーがサンダーウルフの群れと戦ってる。」

「オルレアからはあんな魔物がこれまでいたんですね?」

『城壁外の魔物は街道には近寄りませんが、むやみに街道を出るとあのような魔物の餌食になります、これまでに多くの冒険者が命を落としています』

「冒険者が?」

『我がフォレスト領は豊かな土地でお宝もあると思っておるのでしょう、噂を聞いて未だに冒険者達は来ています、愚かな事です』

「入植者以外は拒否すると言うのか┅」

「しかし、道は整備して城壁まで造って┅この短期間に良く出来たものだわ。」

「確かに、魔物もいたじゃろうに不思議じゃな?」

『この先第4城壁までは魔物が多く出ます、護衛には騎士団が付いておりますのでご安心を、第4城壁へ入れば魔物はいませんので』

「サミュエルさん?その第4城壁まではどれくらい掛かるのかしら?」

『およそ一週間程です』

「一週間も魔物の地域なのね?」

「フォレスト領へどうにか入れても魔物が待ってるって訳ね。」

「でも入植する人達は歩いて来るんでしょ?魔物に襲われないの?」

『入植資格者には幻惑の霧から案内人が付きます、入場門から転移ゲートにて第2地区の町へ入り手続きする手筈になっております』

「えっ?転移ゲートがあるの?」

「私達もゲートが良かった┅」

『我が主が仰るには皆さまには領地を見て欲しいとの事です』

「そう、確かに領地を知っておかなければいけないわね。」

「坊の企みを見させて貰うかの、ハハッ」

「領主としてのお力、見れば解るだろう。」

「ギルバート団長、あの騎馬隊の強さは半端ないですよ!それにさっきから馬車の周りの魔物を退治してるサミュエルさんも!」

「良く鍛え上げられてる、だが?どう見てもスケルトンなんじゃが?」

「でもほら?なんだか黒くて骨じゃ無いわよ。」

「装備も凄い感じ、馬もスケルトンなのかな?」


広い大地を駆け回り魔物と戦う騎馬隊と兵士達に違和感を拭いきれない。

味方だとわかっていても┅

草原の中、所々に森がありそれが見渡す限り拡がっている。

城壁も遥か向こうまで連なっていて先が見えない。

夕方まで走り休憩地点に着くと建物があり風呂や食堂に部屋が幾つもあった。


『ここは結界が施されておりますので安心してお休み下さい』


そう言ってサミーはいなくなった。

取り敢えず風呂へ入り夕食を食べゆっくりくつろいだ。


「驚く事ばかりね?幻惑の霧にあのゴーレム門番、凄い城壁に騎士団って!」

「テオちゃんとサラさん二人だけでこれ程の事をやって┅」

「でも話を聞く限り二人だけでは無いわよね?テオとサラさんだけでは無理よ。」

「テオ滅茶くちゃ サラも同じ」

「坊は領地の事を前から企んでおったようじゃな?どうするか考えを実行しておるようだ。」

「なるべく部外者を入れず領地を治める、必要な人員で良いと考えているのだろう。」

「あのサミュエルさんって表情がわからないからちょっと怖いけど頼りになりそうです。」

「あと少しでテオちゃん達と会えるわ、その時はしっかりと説明して貰うから今は領地を見ておきましょう!」


10日の間サミュエルと騎馬隊に守られ魔物地域を走り第4城壁へ着いた。

高い城壁が連なって中は見えない、門には二人の兵士が立っていてゴーレム門番だった。


『私の案内はここまでです、門を抜け第4地区へ入ると案内はおりません、道を行けば問題ありません』



合図と共に門の扉が開きトンネルヘと案内され通り抜けるとそこから見える景色は今までと違い色鮮やかな草原とこんもりとした森があり、大きな川が流れキラキラとしていた。


『この先に現れる獣は無害です、魔物ではありません、ご主人様とサラ様が集めて放された獣達ですので仲良くして下さい』


逞しいゴーレム門番はそう言って肩に乗っていたリスを手渡した。

この第4地区はヒロの実験場にもなっている。

魔物から魔石を抜き獣になるのか?オークなど元は豚種、果たして戻るのかと考えて始めた。

他所から採取したり保護目的で集めたりと、そして牛や豚、鶏の牧場も作る計画で集めている。


「可愛い!どんな動物がいるのかしら?」

「魔物がいないのなら草原や森に入っても大丈夫なんでしょ?」

「あの川で釣りをして魚を食べられるよね?」

「それにこの地区は綺麗な空気に風に良い匂いがするよ?」


妖精と精霊、トレントが力を与え動物や植物が健やかに過ごす地区になっている。

珍しい果物や植物、虫や爬虫類などいるが人を襲う物はいない。

子供が遊んでいられる場所になっている。

言われた通り道を進むと色んな動物が顔を見せる。

時折キラキラと羽が生えた精霊が飛び交う┅

まるでお伽噺の世界。

立派な角をした鹿と子鹿が草を食べ、木々にはリス達が木の実を抱えてかじっている。

珍しいクオッカもちょこまかと走り回っている。


「あれなに?凄く可愛い!」

「あれはクオッカと言ってな?とても珍しいんじゃ、人懐こくて大人しい獣じゃ。」

「精霊がキラキラ飛んでるわよ、妖精も多いわね。」

「妖精とか精霊が見えるの?」

「私達はヒロのお嫁さんになってから見える様になったの。」

「私達には大精霊シルフィード様のご加護があるからあの子達と仲良しなのよ、ヒロは精霊王様のご加護があるわ。」

「マリアさん?それは本当か?」

「なんと!大精霊に精霊王がついておるのか、だからこの領地が穏やかになったのじゃな┅」

「ねぇ?ちょっと止まって遊んだりしません?」

「マーサらしいわね、でもあの大河まで行って休憩しましょう。」

「え~っ、仕方ないなぁじゃあリチャードちゃん急いで行って!」

「マーサ 血が騒ぐ ハイエルフ」

「そうよぉ!こんなに緩やかな空気、忘れてた!この匂い懐かしい!」

「イリアちゃんとエミリちゃんも何か感じる?」

「うんと、この地区へ入ったらなんだか落ち着いてフワフワした感じ?気持ち良い。」

「小ちゃい妖精さんが見てるの、眠くて┅」

「ウフフ、エミリちゃん寝ちゃたわね、安らかな寝顔して┅」

「この地区は穏やかな気持ちになるわね、さっきまでと違って空気も澄んでるし動物が逃げずにいるのもなんだか面白いわ。」


川ヘ着いたのは少し薄暗くなった頃だった。

真新しい見事な橋が架かり直ぐにヒロの仕業とわかった。

河原でキャンプしようと用意してるとスライムのアイリーンがはしゃいでいる?

1匹の獣と遊んでるみたいだ。

猫?犬?狐?尻尾が5本?何やら子供の獣みたいでアイリーンは器用に腕をだし抱きついている┅

聖獣リレリィナ滅多に人前に現れない。


「ほう!聖獣リレリイナではないか!最早消え去ったと言われておったが┅」

「ギルバートさん?あれはそんなに珍しいの?」

「聖獣リレリイナはこの王国では100年以上誰も見た者はいない、大陸にすら居ないのでは?と言われておる、マリア嬢はご存知じゃな?」

「はい、リレリイナは教会の絵に描かれています、創造神様の足元でじゃれる姿は可愛いです。」

「なんでそんな聖獣がここにいるの?それに┅アイリーンと仲良くして?」

「可愛いですね?あのクオッカも可愛いかったけど。」

「それだけこの地が清められ安らかなのでは?」

「永い間誰も居なくて自然のままになっていてそこにヒロ達が来て妖精や精霊が戻り魔物も居なくて動物達の楽園だからかな?」

「聖なる大地に住まうと経典には書かれてました、聖獣リレリイナはこの地が聖なる土地と認めたのでしょう。」

「マリアならあの子と仲良くなれるわよね?」

「どうかな?聖獣は人の善悪を見抜き悪しき心があれば去ります、私が善ならば┅」


そ~っと近寄りアイリーンが抱きついているリレリイナに手を伸ばす┅

静かに手を差し出すと?ペロッ

指を舐めた! キュキュッ キュッキュ

可愛い声で鳴きマリアが優しく頭を撫でるのを嬉しそうにしている。

アイリーンからリレリイナを受け取り抱き抱え撫でると眠ってしまった。


「ウフっ、寝ちゃったわ、フワフワで良い匂い。」

「マリアに懐いたわね、じゃあマリアはやっぱり聖女様なんだ。」

「マリア お人好し 天然 真面目 嘘無い マーサと正反対」

「ウルティマ!一言多いわよ、この口か?この口が悪いのか?」

「やめろ! 馬鹿 ブレスで丸焼きにする」

「二人とも止めなさい!まったく直ぐじゃれるんだから、さぁバーベキューするわよ!」

「肉 肉だぞ!」

「そうよ!ドラゴンの肉よ!美味しいわよ~ん、クククッ」

「マーサ焼く 不味いけど焼く」

「やれるもんならやってみなさい!フフ~ン!」


追い掛けっこして走り回る2人を放って置き皆でバーベキューを囲んだ。

周りには妖精達がフワフワとして近くには鹿やウサギが数匹集まり珍しげに見ている。

アンナの膝元にはアイリーンが座りマリアの膝元にはリレリイナが座って焼いた野菜をかじっていた。

川の流れる音が心地よく響き、空には満点の星が輝いて静かな夜は過ぎて行く。

なぜだか久しぶりの安らぐ気持ちがみんなの心を落ち着かせ深い眠りをもたらしていた。





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