アンナ達其の5
オルレアの町は魔物撃退を祝い人々が喜び盛大に騒いでいた。
子爵邸の玄関でゴーレム馬車から降りるアンナは憂鬱な顔でモゾモゾと歩き一行に進まない。
マグウェルはスティーブン子爵、カレン子爵妃、長女のマーガレット達に魔物撃退と魔人等を成敗してくれた事を伝え脇に控えた。
「お父さん、お母さんご免なさい!勝手な事ばかりして┅」
「良いんだよ、さあ顔を上げなさい、町を救ってくれてありがとう。」
ゆっくりと顔を上げるとカレンとマーガレットが驚きの声をあげる。
「貴女は!本当にアンナなの?」
「アンナじゃ無いわ!だって髪の色も瞳も?それにアンナは今年で31歳になるのよ!貴女はどう見ても18か19歳にしか見えないわ!」
「本当にアンナなのか?若いし顔も変わっている┅」
「私は本当にアンナ・ガデット・オルレアよ!変わってしまったのはテオのせいだから仕方ないの!」
スウッとセバスが前に出て頭を下げ告げる。
「オルレア子爵、それは私から説明致しましょう。」
「貴方は?オーオッ!セバスティアン様それにギルバート騎士団長も!」
「アンナ様に間違いはありません、テオドール様と婚約成される前は変わり無かったのですが婚約されてからはこの姿に変わられた、今でも少しずつ変わっていると。」
「子爵?アンナ殿の姿より中身を見てくだされ、どこも変わりは無い筈ですぞ、否、前より賢く聡明になられたかも?フォホホッ」
「しかし┅なんと美しく┅背も高くなって、テオ君の話ではお前に能力を与えたと言っていたが?」
「ええ、凄い能力よ、だから若く成ったし魔法も使える様になったわ。」
「あのぉ、センセもですが私も同じ様にテオちゃんから能力を頂きました、見て判りませんか?アンナセンセと私の共通点。」
「君は?確かアンナの弟子だった子かな?」
「ハイ、ハイエルフの弟子で助手のマーサです。」
「ハイエルフ?しかしスタイルはハイエルフでは無いようだが?」
「マーサはハイエルフよ、テオの願望が反映しているの、私達は年齢がテオと同じ位に若くなりテオの理想の姿に近付いてるの。」
「なんと?ではサラさんもか?」
「サラは私と同い年よ、でも姿はやっぱり10代でテオと同い年みたいだったでしょ?」
「確かに┅サラさんも本当は31歳なのか┅」
「凄いわね!アンナ?私でもそのぉ恩恵は?」
「駄目よ、無理でしょ?だってテオと結婚しないと能力は与えられないの!」
「じゃあ私は大丈夫よね?まだ未婚だから。」
「アンナの姉さん母さん面白い?」
「ウルティマ?そうじゃなくて頭がおかしいの。」
「ウルティマちゃん?女はねぇ皆いつまでも若くて美しくあ・り・た・い・の!」
「マーサうざい当たり前の事」
「あのぉアンナさん?できれば私達の紹介をお願いします。」
「あっ、ご免なさい忘れてた、紹介します!では年の順ね、マリア・ガネット元男爵令嬢で教会の神官だったのローレンスでは聖女様と呼ばれてた、今はテオのお嫁さん、次はマーサねさっき話したから、こっちはウルティマと言ってエンシェントドラゴンよ、覚醒して人化できる様になってこの姿に。彼女はテオのお嫁さんではないの、だから年齢通りの姿よ、表の馬車はテオが造ったゴーレム馬車で騎手はゴーレムのリチャード、私が名を付けて覚醒して話せる様になったわ。」
「そうか、テオ君は4人のお嫁さんを持ってるのか、マリアさんは神官だったなら回治癒院で働いていたのかな?」
「はい、小さい時に貴族籍を失って王都の治癒院へ引き取られました、ローレンスへ移ってからテオに会い婚約しました。」
「苦労したんだね、ウルティマちゃんはまだ子供みたいだけど?」
「古竜としてまだ子供」
「そうか、わかった、セバスティアン様とギルバート様もテオ君達の所へ行かれるのですね?」
「その為にオーギュスト様には許しを頂きました、未だに旦那様はテオ様を疎まれておられる、まぁあれ程の力を持った息子を認めたくは無いのでしょう。」
「テオ君の能力の高さは直ぐに判りました、それに年に合わない考え方と落ち着き、こちらが若造に思える感じてした。」
「お父さん、テオの中身は60を超えた歳なの、転生しているから若いだけ!」
「転生者とは判ってるが、理解は出来てない。」
「それより何時まで玄関で話してるの?さぁ中へ入りましょ!」
ゴーレムのリチャードは馬車を馬屋へ収め門番として立っていた、皆は中へ入り話す事が余りにも多く賑やかに過ごしていた。
「アンナ?実はローレンスから手紙が来ている、ミーリア様からだ。」
「ミーリア様?なんだろう┅」
読むとミーリアの実家オルレガ商会がオルレアの町へ支店を出してフォレスト領と取り引きしたいとの事、あのルーベンス町への山での事が有りテオがフォレストで大成功すると判断したからだ。
「ミーリア様も商魂逞しいわね、あの山はダンジョンになってオルレガ商会に任されてるそうよ。」
「ダンジョンが新しく発見されたのか?」
「テオ達が見つけたの、最初は鉱脈だったけど私達が鉱石や宝石を採取している時にダンジョンへ変化したの、お陰でタップリお宝を頂戴したわ。」
「アンナ?どんな宝石なの?見せて!」
「姉さん?確かヒュードル伯爵のバカ息子と婚約してたわね?まだ結婚しないの?」
「誰があんな奴と、何だ間だと嘘言って伸ばしてるわ。」
「速く解消するか結婚するかしないと取り返しが付かないわよ?ヒュードルの町が何だか怪しくなってるから。」
「それは?」
「お父さん、あの町は危ういのよ!何か良からぬ事が起きてるって知らせてくれたの、だから姉さんの事を速くしないと。」
「そんな事になってるのか?この町は大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、ここはテオの庇護があるから、何も起きないし変なのも近寄らないわ。」
「庇護って?テオ君が守っているのか?」
「そうね、正確にはテオの眷属達が守ってるの、フィルって言う神様が色々とやってくれてるのよ。」
「うーん、信じ難いが┅ではダンジョン街も同じなのか?」
「オルレア領は安全ね、でも1歩領から出たら危険みたいよ、何せ魔人と吸血鬼が暗躍してるから┅」
「何だと!それは速くヒュードル伯爵へ知らせないと!」
「だから!無駄だって!もう遅いの、あの魔物の大群を見たでしょ?あれは魔人の仕業なの、ヒュードル領も襲われてるわよ。」
「そんな┅では伯爵は?」
「多分魔人の配下にでもなってるわよ、その方が魔人達には都合が良いもの。」
「オルレア子爵?アンナ殿の言う通りじゃ魔人はずる賢い、滅ぼすより得を選ぶ、目的は判らんが魔人がこちらへと侵入してるのは確かじゃ。」
「テオ様がどう考えてなさるか判りませんが1番理解と情報を持っていると思われます、お任せになっては?」
「テオ君はここにゲートを造って行った、落ち着いたら来ると言ってたがまだ来れないのは何かをしてるのだろう。」
「ゲートで行けたら良いのに!そのゲート使えないのよね?」
「有るが閉まっている、フォレスト領がテオ君の思った様になったら開くのだろうな。」
「私達はゴーレム馬車で向かうけど少しはここでゆっくりしても良い?」
「ハハッ、何を言ってる久しぶりの郷帰りだろ?好きなだけ居なさい。」
「あっ、私はオルレアの町を見てみたいよ!」
「そうね、買い物もあるしギルドとかも行かないと。」
「雑用は片付けないといけないわね、ここからフォレストの家までどれくらい?」
「ここからは約2ヶ月は必要かと思ったが。」
「2ヶ月かぁ┅遠いわぁ┅」
「だから諦めてゆっくりなさい?アンナには聞きたい事が山程有るからウフフッ」
「もう、お母さんは野次馬なんだから!」
「それとマーサちゃん?貴女には会わせたい子がいるのよ、イリヤ!エミリ!こちらへいらっしゃい!」
おずおずと可愛いメイド姿の子供が入って来た。
「この子達はテオ君達が連れて来たの、ハイエルフの子だけど私達が預かってるの。」
「まったく、あの2人はどこでも問題を起こしてるわね?」
「そうです!やらかしてます!」
「テオの行く先は何かしら起きるから。」
「お姉さん達はお兄ちゃんとサラお姉さんの知り合い?」
「私達はテオ兄ちゃん?のお嫁さんよ、あなた達は助けられたのかな?」
「私達は両親を魔物に殺されてこの町へ来たの、でも身分証がなくて門で困ってたらサラお姉さんが一緒に入ってくれて、親子って事で入れたの。」
「それで叔母さんの所へ行ったけど、売られてしまうからって私達、家族のまま一緒にいたの。」
「お兄ちゃんが大きくなったらフォレストにも来て良いってそれまでここでお世話になってって。」
「私もこの子達を預かるって言って引き取ったの、テオ君達も領地の整備とかあるから子供がいては大変でしょ?もちろん落ち着いたら何も大きくなる前でも良いのよ、この子達はあの2人を親みたいに思ってるから┅」
何故だか皆は涙を流してた。
幼い子供の不幸もだがサラの優しさが染みていた。
「本当に仕方がないわね、サラはお人好しすぎるから┅」
「サラは昔から優しい子だった、それでテオ坊にも母親みたいに愛情を注いでいた。」
「サラさんって頼りにもなるお姉さんだし話を良く聞いてくれるから┅」
「サラ大好き優しい」
2人のハイエルフの子供達はフォレスト領へ行く事になった。
皆で向かうのだ、危険は無いと子爵も認めた。
イリヤとエミリは喜び必死に頭を何度も下げて感謝する姿にカレンの涙は止まらなかった。
フォレストへ向かうのは2日後と決め買い物とギルド、フォレストとの連絡方法等話し合う時間に忙しかったのだが?
問題は起きるのだ。
種をまいていたマリアに訪れた。
「御免下さい、オルレア子爵様のお屋敷と見受け伺いました!」
マリアが馬車の手入れとリチャードと話をしていたので執事のマグウェルへ声をかける。
「マグウェルさーん!お客様ですよ!」
2人の客はその声を聞き振り向いて見ると驚いた声で責めよって来た。
「貴女は?貴女は子爵様のご令嬢でしたか?いつぞやは大変失礼致しました!」
「えっ!何を?┅貴女は確かルーベルンの宿場町で会った人ですね?」
「ハイ、お金を御借りして助かりました。」
「ハハッ、あのぉ私は子爵令嬢ではありません、子爵令嬢はアンナさんです、あの時に私を呼びに来た方です。」
「えっ、ではあの時の裁けた方ですか?」
「マリアさん?お知り合いですか?」
「マグウェルさん、遅いです!知り合いと言う程ではありませんよ、ちょっとお節介しただけです。」
「そうですか?では、貴女方はどう言ったご用件で?」
「わたくし達は子爵様へお手紙を送りましたミルズ男爵の者です、こちらが男爵のご息女、メリーヌ様です。」
「メリーヌです、子爵様には便りにて相談致しました、勝手を承知で来てしまいました、どうか子爵様へお目通りを!」
「ミルズ男爵┅承知致しました、どうぞこちらへ。」
オズウェルに連れられ屋敷へ入って行くのを見ながら心配そうな顔でマリアは思った、ミルズ男爵?確かお取り潰しになった┅
同じ男爵令嬢だったマリアには取り潰しの理由が気になって不安になっていた。
あの様子だとかなりの問題を抱えているのはわかった。
偶然にも関わってしまった事にマリアは後悔から不安が押し寄せアンナの元へ急いで行く。
スライムのアイリーンと遊んでいるアンナは、こっちへ血相を変えやって来るマリアに肩を落としがっくりと力が抜けるのを感じていた。
あれは?またトラブル┅?




