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黄昏おじさん異世界飛ばされ楽園創る  作者: 姫野りぉ
第二章 新天地
44/84

アンナ達 其の3


台地を駈けるゴーレム馬車が幾つものアップダウンを繰り返し進むと宿場町が見えてきた。

ハーベルンを出てからもう2ヶ月近くになる。

馬車の中ではいつもの光景が繰り返されてる。

ウルティマとマーサのじゃれ会いとマリアとアンナはスライムのアイリーンにいろんな事を教える。

セバスとギルバートはゴーレムのリチャードと話し込んでる。

何日も同じメンバーで篭の中の生活に慣れると妙な家族意識が芽生え、セバスが父親役でアンナが母親、ギルバートは爺ちゃんでマリアが長女、次女と三女がマーサとウルティマ。

リチャードは長男役でまとまっている。

末っ子のウルティマはチョクチョク空を飛びたがり窓から飛び出そうとするがアンナからヒモを付けられ、マーサがそのヒモでからかう。

笑い声とアイリーンのうめき声、リチャードの掛け声とか賑やかだ。


「もうすぐ宿場町に着くがどうするかな?」

「そうね、食料と料理の材料とか買わないと、作ったポーションも売りたいわ。」

「アンナさん、石鹸やシャンプーも溜まってきたわよ?私も服が欲しいけど、下着もね。」

「ねぇねぇ、お菓子も買いましょ、もう無いから。」

「儂は剣を研いで置きたいが武具屋によりたい。」

❬では、宿に寄せます❭


町の門には入場審査の長い行列ができている、その横を馬車は進みリチャードが門番に1枚の証文を見せると4人の衛兵が直立して敬礼する、並んでた人達をどけて通してくれた。

リチャードが見せた証文はセバスティアンの息子エードナーが発行した物で辺境伯家の家紋と領主の印が押された通行証だ。

辺境伯領ならばどんな町や村もフリーパスで通れるし、その町の代官や町長と言った御偉さんも平伏する程のものだ。

衛兵が証文を返す時リチャードの顔を見て腰を抜かした。

セバスが苦笑しながら手を挙げガシャガシャと馬車は町へと入っていった。

宿の前に停まり泊まる手配をして各々は思い思いに町の中へと繰り出しセバスとリチャードは馬車の手入れをする。

馬車は宿の裏手に置きリチャードはセバスと剣の稽古をする。

毎日の習慣になった。

リチャードは筋が良く、覚えも早い。

冒険者ならばBクラスより上の腕前になっている。

段々と人に似てきて思考も備わってきている。

ヒロが造りオークジェネラルの魔石で命を支えているゴーレムが今で言うハイテクロボット、AI搭載だ。

ヒロが意図した物では無いが創造魔法と錬金術でとんでもない物になってしまっている。

ゴーレムはヒロがフォレスト領の為にと造る事を試して完成させた。

その第一号がリチャードとなってヒロが知らないゴーレムロボットになってる。

稽古を終えてセバスが風呂に入っているとギルバートがやって来た。


「剣は良いのか?」

「ああ、腕の良い鍛冶職人に会ってな、預けて来たよ。」

「さて、もう少しでオルレアに着くな。」

「坊達は既に奥様の家に辿り着いてるじゃろう、何せ我らより何ヵ月も早い道のりじゃ。」

「そうだな、私達が着く頃は屋敷も出来てるだろう、奥様の家を改装すると住めるはずだ。」

「しかし、フォレスト領の事を聞くと皆が行くのは辞めろと言う、何でもとんでもなく魔物がいてかなり危ないと言うが?」

「エドも言ってたな、フォレスト領は魔物の天国になっている、今まで会った事も見たことも無い魔物がいるそうだ。」

「果たして?坊達は大丈夫なのか┅」

「何を今更言っておる、我等が認めた方なんだぞ、魔物くらいどうとでもしてるさ。」

「それは判る、坊の能力は知っておるが┅」

「アンナが言ってたな、私達は本当のテオちゃんの力を知らない、それは凄くてほんの少ししか見て無いとな。」

「アンナ殿が?まだ見てないとなると儂らが知ってる坊の能力なぞ微々たる物では無いか?」

「あの屋敷と領内では力は出せなんだろう、旦那様の目や私らには隠してたのでは?」

「確かに、あのゴーレム馬車と言い、リチャードと言い、創造を軽く越えておる、アンナ殿達の力もまだ見てはおらんからな。」

「フォレスト領はテオ坊に取って最善の地では無いのか?力をふんだんに使え思いのまま領地を創れる。」

「そうじゃな、楽しみしかないのぉ。」

「まったくそうだ、この歳でこんなに胸が踊るとは。」


年寄り?2人は酒も飲まずに思いに酔っていた。

アンナはマーサとポーションを売ろうと冒険者ギルドの戸を叩いた。

こじんまりとして少ない職員で大勢の冒険者をさばいている。

ダンジョンが近くだからか冒険者は多い。

受け付けで買い取りを頼むと凄く喜ばれた、何でもポーションが品薄で入荷待ちが続いてると嘆いてた。

回復と毒消し、傷やケガ薬等全部を高値で買ってくれた。

マーサは領都より高いのにホクホクとして宿場町一番の商会でも石鹸やシャンプー等高く買ってくれた。


「センセ?領都から離れる程売値が上がって無いですか?」

「ここら辺はダンジョンが近いから必要品なのよ、だからオルレアの町はもっと高く売れる筈よ。」

「じゃあ着くまでに多めに作ります。」

「フフッ、大丈夫よ、フォレストに住むんだからしょっちゅうオルレアへは売りに来ないと行けないの、今から慌ててどうするの?」

「そうでした、じゃあこのお金でケーキとかお菓子を買い込みましょう!」

「まったく、買うけどね?ホドホドよ。」


マリアが服を買うと向かった店へ向かうと店の前で騒ぎが起きている。

貴族だろうか?ドレスを着た可愛らしい子と侍女風の女性が冒険者の一団と揉めている。

マリアは買い終えたのか袋を抱え店の前で騒ぎに巻き込まれているようだ。


「貴方達!離しなさい!もう契約は済んでるでしょ!」

「侍女さんよ?確かに契約は終わった、だがなぁ、あの盗賊団と戦って俺達の仲間が死んだんだ!その費用は別だろうが!」

「貴方達が言うことは判ります、残念でした、しかしギルドでも言っていたでしょ?護衛任務中の事故は冒険者の責任で費用も統べて含まれての依頼だと。」

「確かに冒険者は自己責任だ、だがあの盗賊団が来て騎士団員は逃げたじゃ無いか?本当は騎士団員達が守るのが筋だ!それを俺達に押し付けて逃げるなんて!」

「あんたらお貴族様が雇った騎士団なんだろう?俺達は護衛と言っても荷物の運搬係だったのに護衛する羽目になったんだ!」

「そんな事言っても盗賊達は旅の人に殺られて貴方達は何もしなかったじゃ無いですの?」

「ああ!確かにあの旅人が片付けてくれなかったら俺達全員殺られてただろう、その後も魔物は片付けてたから俺達は無事に此処まで来れた、しかしだ!死んだ者は浮かばれない、責めて残された家族には其れなりの供養とか供物を与えてくれても良いじゃ無いか?」

「しかし、わたくし達も其れ程の持ち合せが無いのです、事情が有って旅をしている身、あれば出すのですが┅」

「借金でもして払ってくれよ?」

「死んだあいつは幼い子供とまだ若い嫁が居るんだ!これからどう生きてくのか┅」

「簡単な仕事だからと言って受けたんだ、まさか騎士団が逃げ出して俺達がひどい目に逢うなんて思わないだろ?どうにかならないか?」

「┅」

「シャルレ?このアクセサリーとブローチにこの服を売って来なさい!」

「お嬢様!駄目です、それは片身の品┅」

「私達が軽く考えてた罰です、覚悟の旅に巻き込んだ責任を取らなければ冒険者の方々には申し訳なくて。」

「お嬢様┅」

「あのぉ?もし宜しかったら私が冒険者の方々にお金で宜しければ払います、冒険者の方?いかほど?」

「金貨10枚もあれば良いんだろう?」

「そうだな┅10枚もあればどうにか?」

「では、20枚差し上げます。ハイ。」

「あっ、どうも┅」

「良いのか?あんたは関係無いのに?」

「こちらのお嬢さんも売ってお支払しようとされたじゃ無いですか?何も無下にお断りされてた訳では無いので私はそのお心にお出しするのです、サッ早くお仕舞い下さい、人が大勢見てますよ?」

「おおっ!悪いな、じゃあ確かに、ありがとう。」

「貴女は?」


貴族の令嬢らしき少女はマリアの笑顔を見てポロポロと涙を流した。

マリアの神々しい姿と降るまいに感動している。

さすが聖女様、出で立ちが神官だった頃と変わらない。

アンナとマーサは呆れた顔で近寄るとマリアの頭をひっぱたく。


「マリア!何をしてるの?目立たなくしなさいと言ってるでしょ?」

「マリアさん、まだ教会の染みが抜けないのかな?今は冒険者ですよぉ。」

「アハッ、見てたら自然に出ちゃった。」

「貴女は本当にお人好しなんだから、はあぁ。」

「それで?どうします?お金出しちゃったんですよね?」

「すみません、ご迷惑をお掛けして、お金はオルレアの町に着いたらお支払致します。」

「あのぉ?貴女のお名前を教えて頂けますか?」

「ハイ、私はマリアです。」

「マリアさん?教会とは?」

「ああ、お嬢さん?このすっとぼけた人は教会の神官をしてたの、だから困ってる人がいるとね?」

「何よ?マーサちゃん?後でお仕置きするからね!すっとぼけたなんて。」

「ハイハイ、お金はオルレアでって?じゃあ冒険者ギルドにでも預けて置いてね、行くわよ!」

「ありがとうございました、必ずお返ししますから。」


軽く手を挙げ3人で宿へと向かった。

3人?

ウルティマは?


「ねぇねぇウルティマは?マリアさんと一緒じゃ無かったの?」

「ウルティマちゃんは騒ぎが起きて直ぐに出て行ったわよ。」

「あのバカ、どこ行ったのやら?」

「宿に帰ってるかも知れないわよ。」

「それは~無い!あの子がおとなしくしてるもんですか?」

「ふむ、それもそうね┅」

「あっ!やってもうてる!」


ドラゴンが上空高く舞っている。

羽を伸ばしたかったのだろう、ウルティマは町をぐるぐると旋回して高く飛んでる。

騒ぎが起き出した。

カン!カン!カーン!

逃げろーっ!避難しろぉ!ドラゴンが出たぞぉ!

大騒ぎ┅


「センセ?どうする?」

「知りません!」

「まぁまぁその内そっと帰って来るでしょ。」

「やっぱりウルティマはマーサが見てないと駄目ね、あのジャジゃ馬ドラゴン!」

「センセ!あんまし怒るとシワが?」

「フン!大丈夫!しかし今日はしっかりお説教しないと。」

「お手柔らかに?ウルティマちゃんもたまには羽を伸ばさないと┅」

「私からも言っとくから、センセはゆっくりお風呂に入ってお休み下さい。」

「どうするかぁ┅」


ウルティマは町から離れ遠くへと行ってしまった。

鐘は止み町も平静になって人も出てきた。

どこへ行ったのやら?

3人は宿でセバスとギルバートへ報告して風呂に入るとウルティマが浸かっていた。


「ウルティマ!なにしれーっと風呂入ってるのよ!」

「アンナうるさいずっと風呂入ってる」

「えっ!ずっと?」

「じゃああのドラゴンは?」

「確かにウルティマだと思ったのに┅」

「マーサ目が腐ってる私を間違えるな」

「なによ!間違ってなんかいないもん!あれはウルティマだったでしょ?」

「知らないあれは?どれ?」

「キーッ!絶対間違って無い!ウルティマ?どうやってここに来たの?」

「バカには教えない」

「ウルティマ?いい加減にしなさい、転移して来たのでしょ?まったく。」

「ねぇ?どうだった?久しぶりの空は?」

「知らない」

「わかったから、早く寝ましょ、明日は早いわよ。」


4人は風呂から上りセバスとギルバートが待つ宿の食堂で夕食を済ませ部屋へ入ると疲れてたのか直ぐに眠ってしまった。

マーサはウルティマと抱き合う様に眠り夢の中で言い争いをしてるみたいだ。

あの貴族令嬢はヒロとサラが助けた者達、オルレアでどうなる事やら。






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