スティーブン・ガデット・オルレア子爵
大きな門構えのオルレア子爵邸の前に来て門番に話をしてると中から昨日の執事さんが来て入れてくれた。
アンナのご両親って何歳なんだ?
アンナは次女、今は28歳だったかな?
だとすると?48?くらいかな┅
イリヤとエミリも一緒に来てる。
ハイエルフだと解れば放ってはおけない。
この年のハイエルフは希少で大切にしなければ直ぐに悪い奴らに狙われてしまう。
エルフでも人攫いは当然の様にさらってしまう。
4人が広間に通されると3人の子爵達であろう人達がにこやかに待っていた。
「良く来てくれた、私がスティーブン・ガデット・オルレアだ、こちらが妻のカレンと娘のマーガレットだ。」
「始めまして、ヒロ・タチバナです、妻のサラとちょっと事情がありこの子達も一緒に来てしまいました。」
「事情?執事から聞いた話ではこの子達の事で来れないとの事、アンナからは何かとトラブルを呼ぶとは聞いてたが?」
「アンナが┅まぁ確かに問題事は何かと有りました。」
「貴方?立ち話で良いのですか?ごめんなさいね、サッこちらへ。」
応接室みたいな豪華な部屋のソファーへ座りイリヤとエミリは落ち着かない様子で運ばれたお菓子とお茶を食べしきりに俺達の顔色を伺う。
サラが肩に手を回し大丈夫だよと落ち着かせた。
「娘さんとの婚約を勝手にしてすみませんでした、何もお伺いもせず、その後もお礼もしていません、申し訳ありませんでした。」
「イヤイヤ!頭を上げて!」
「そうよ、何も謝る事はありません。」
「テオドール君?実は君のお母様のマリアンヌ様から何度もお便りを頂いてたんだよ、アンナとの事も詳しく書かれていた、君の事もね。」
「お母様が?」
「そうよ、アンナはテオちゃんって呼んでたのよね?じゃあ私はヒロ君で良いかしら?マリアンヌ様からはローレンス家とは距離をおくって事でヒロタチバナになるんだからと。」
「マリアンヌ様からは君の事を詳しく教えて頂いた、異世界からの転生者である事や能力が人知を超え神々からのご加護を持っていると。」
「そうですか、オルレア子爵は統べてご存知なのですね?ローレンスの家を出る事の理由や私の非常識な事も。」
「アンナからもね?だから私達は君達の結婚を感謝しているし喜ばしい限りだよ、ありがとう、アンナを貰ってくれて。」
「私からもありがとう、あんな子だから嫁の行きては無いと思ってたの、あの子は貴方にゾッコンみたいだしね?」
「私より早く結婚して!お父様?どうかして!」
「マーガレット?お前には婚約者がいるでは無いか?」
「私、今年30歳よ?婚約したのもう6年も前!だから嫌だって言ったの、マグウェル伯爵のバカ息子なんて!」
「だから言ってるだろ?早く解消しなさいと?」
「そうですよ?なんで解消しないの?」
「婚約者がいれば変な貴族達から誘いが無くなるから。」
「何時までもバカを言って無いでサッサと解消するのか結婚するのかハッキリなさい!」
「お母様の意地悪!」
「いやぁ、悪いね?お見苦しい所を、それで、アンナはこちらへ向かってるのかな?」
「ハイ、予定よりは早く来れると思います、特別な馬車で来ますから。」
「特別な馬車?そうか、で?君達はこれからどうする?」
「予定通りお母様が住んでた家を探します、そして、荒れ果てたフォレスト領を前の姿へ戻します。」
「前の姿へ┅テオ、いやヒロ君?フォレスト領は駄目だ、あそこはもう人が住む以前の問題で立ち入るのも難しくなってしまったんだよ。」
「ええ、それは聞いてます、けど、お母様の遺言でもあります、それにどうしても行ってみたいのです。」
「マリアンヌ様の遺言┅それは?」
「母様が亡くなる前に話してくれたのですが、私にあの土地を任せると、貴方ならできるからと。」
「オーギュスト様から書状であの領地は息子、テオドールへくれてやったが我ローレンス辺境伯とは一切関係は無い、誰が何をしようと預かり知らんとね?」
「ハハッ、そうですか、じゃああの土地は私が好きにしても文句無しですね?良かった。」
「ヒロ君?大丈夫なの?魔物が溢れてるって?」
「大丈夫ですよ、そんな事より好きにできると判り今は凄く楽しみです。」
「それなら私達がとやかく言う事では無いな、あの土地へはヒュードル伯爵領よりこのオルレア領からが近い、ヒュードル伯爵が統治してたが10年前からオーギュスト様へ戻して誰も行かなくなってる、君が統治出来れば私は安心何だが。」
「何故ですか?」
「私の領内にダンジョンが有るのは知ってるね?ダンジョンは管理出来てる内は良いのだが、異変には敏感でね?あの土地から異変が有れば直ぐにダンジョンが暴れる。魔の森からの侵食が魔物達を町の近くへと導くんだ。」
「フォレスト領の異変とは魔の森の侵食なのですか?」
「前から少しずつ侵食はしていた、だが5年前から急速に伸びてるんだ、魔物もはぐれ物が町の近くへと来る様になった。」
「そうですか、楽しみです、人の手が無くなった土地を一から好きに出来るのだから。」
「ええッ?いやはや┅楽しみか、アンナが知らせた通りだな┅」
「そうですわね、フフッ、私も楽しみ、ヒロ君達がどんな事をしてくれるのか。」
「私には今の所、アンナを含め4人の嫁がいます、皆を幸せにすると約束してますし必ず守ると誓ってます、だから安心して下さい!アンナを絶対に悲しませたりはしませんから。」
「そう信じて良いんだね?」
「私は信じてるわよ!事情のあるハイエルフのこの子達を訳も無く預かってるのを見てね。」
「そうだ、この子達をどうするんだい?」
「昨日の今日なので、この子達の希望も聞かないといけないし放ってはおけないのも事実です。」
「どうだろう?私達に預け無いか?」
「それは?」
「この子達を我が家で侍女見習いとして雇い面倒見るのは駄目かい?」
「それは有難い事ですが?」
「君達?どうかな?私の所で働かないか?ずーっととは言わない、君達がやりたい事ができたら好きにできるんだよ?」
「良かったね?イリヤもエミリもここでいろんな事を学ぶ事ができるんだよ?それに安心じゃない、ハイエルフのあなた達は危険が多いんだから。」
「サラお姉ちゃん?ホントにここにいて良いの?」
「安心なさい、こんな可愛い娘が二人も!フフッ、あなた達は私が育てるからね?貴方?良いでしょ?」
「カレン┅好きになさい、君達も安心して暮らしなさい、それで良いかな?」
「イリヤ、エミリ?決めるのは二人だよ?俺達と一緒に行くか?ここで暮らすか?」
「お兄ちゃん?私達ここにいたい、でも┅大きくなったらお兄ちゃんの所へ行きたい。」
「そうか、わかった、スティーブン様、宜しくお願いします。」
「「「お願いします。」」」
「決まりだな、ヒロ君?私の事はスティーブと呼んでくれ、様など要らぬよ婿どの?」
「しかし┅お義父さんってのも┅」
「さんで宜しくて?私の事もカレンさんでお願い?」
「判りました、では宜しくお願いします、スティーブさんとカレンさん。」
「お義母さんも良いかも?┅」
「それは┅アンナと話して下さい。」
「ハハッ、今日は家に泊まって行くと良い、まだまだ話したい事も有るから。」
「ハイ、お言葉に甘えてそうさせて貰います。」
「私は仕事があるから何かあればカレンに聞いてくれ、二人の事もカレンに任せたから。」
子爵はそう言って執事と執務室へと行き、残された俺達は侍女の案内で客室へ、イリヤ達はカレンお義母さんと奥へと消えた。
「ふうッ、何だか疲れたよ。」
「初めてだから、でも良かったね?子爵様達優しくて。」
「そうだね、アンナのご両親なんだって思った。」
「領地の事も聞けてあの子達の事も、ホントに良かった。」
「じゃあ明日は早くフォレストへ向かおう!」
『コリャ?あたちらをわちれてにゃいきゃな?』
❨あたち達のことにゃちょうきゃいしてにゃい❩
「「あーっ!忘れてた!ごめんなさい!」」
『まっちゃく!』
「後でちゃんと紹介するから。」
「二人の事は話しておかないと大変だから。」
『おねゃがゃいょ!』
「それにしても┅フォレスト領はどれ程荒れてるのかな?」
「行けば解るわよ?それよりは子爵様にはちゃんと聞いておいてね?領地が良くなったらヒロの領地として登録できるのか?って。」
「それは心配無いよ、登録しなくても認められる領地にするから。」
「早く行きたいわ、奥様が過ごした家ってどんなだろ?」
「ここからは飛んで10日位かな?馬車で2ヶ月ちょっとって言ってた。」
「それでも10日かぁ、やっぱり辺境の地なのね?」
「ヒュードル伯爵領からは馬車で3ヶ月以上だってさ、途中には村も無いって言ってた。」
「何にも無い所かぁ、ここは移転地にするんでしょ?」
「ああ、ゲートを作っておくよ、この先の町には移転できる所はなるべく多くしとかないと。」
「ダンジョンへは?」
「住む所が落ち着いたら行ってみよう。」
「ダンジョン、どんなだろ?」
「いろんな魔物がいるけど倒したら消えるんだって、そしてドロップ品になって素材やお宝が取れるって。」
「魔物の亡骸が無いのは良いわね、楽しみ。」
「楽しみばっかしだよ。」
夕食に招かれそこでシロとドリィを紹介したがカレンお義母さんが二人を離さなくなりマーガレット姉さんと取り合い┅
女性には無敵。
スティーブお義父さんはフェンリルと聞いて飼いたいと言い出す始末。
庭で大きくなった姿には驚いた様子だったが、シロとドリィの姿に惚れ惚れとした顔で屋敷中の人達が見いっていた。
ドリィをグリフォンとは信じてくれなくて┅
サラは説明に苦慮してた。
真っ白なグリフォンって?ねっ?
スティーブお義父さんとは長い間話をした。
執事のマグウェルさんも詳しくオルレア領やダンジョンの事とフォレスト領の事を教えてくれた。
オーギュストともこれくらい話せたらと思ってしまった。
転移の事を話したら是非にとゲートの創作を許してくれた。
住める様になれば是非とも行きたいらしい。
アンナ達も楽だしね。
ダンジョンへもゲートを作り何か有ったら協力もできるからと許可をもらった。
さすがに空間魔法が皆なが使えると聞いてビックリして羨ましがられた。
カレンお義母さんがアンナにも魔法や武術が達人以上だと知り感謝され、薬師の腕も国の薬師様より桁外れだと言うと家中の人達からどよめきが起きた。
アンナの夢が叶ってると喜んでた。
子爵邸では手厚く歓迎され家族の人達にも暖かく迎えられた。
二人のハイエルフ達も喜んでたしアンナには頭が上がらないな?なんて思った。
良い貴族もいるんだって思うのだが、やはり貴族にはなれない。
特権階級が受け入れ難いのは前世の民主主義ってのがあるからか?
しがないおじさんには貴族なんてのは向かないのが正解なのだと昔から思ってたのだ。
今はこれから一から始めなきゃいけない事を楽しみながらやれるのが幸せかな?とサラの笑顔を見ながら思った。




