神獣フェンリル
オズウェルの森 マリアンヌの屋敷
「なにこれ?ちょっと普通の馬車の荷台とは違うわね?」
「この馬車は主様から預かってるゴーレム馬車だよん。」
「テオが?ウルティマ、あなたに頼んだの?」
「あなた達に使うようにってね!」
「ねぇねぇ?ウルティマ、これどうなってるの?」
「マーサ、慌てないの!ウルティマ?あなたは一緒に行かなかったの何故?」
「主様がアンナ達だけでは心配だからって我が面倒みる事になったのだ!」
「面倒ってね?どうしてよ?」
「長い旅、女3人じゃねぇ、ましてや力も未熟者」
「確かに┅それは有るわね、助かるわ、じゃあこれ、使い方教えて!」
「これからはこの馬車を使って出立までに慣れなくちゃ駄目」
「そうだね、でもなんかムッチャ凄そうなんだけど?」
「魔石に魔力込めたら当分は大丈夫よ、そうね、アンナが隊長なさいな?アンナが魔力を込めて空間魔力を使って荷台の中も拡げて見て。」
「私が?出来るかしら?この白い魔石に手をあて┅ううっ!」
「センセ?赤くなってく。」
「ふうっ、どう?」
「そうしたらゴーレムに挨拶して自己紹介かな?あなたを主として覚えてもらい、これからどうするか簡単に説明したら後は彼が判断するから。」
「えっ!そうなの?何だか人間みたいね。」
「この魔石はオークジェネラルのだから能力があるって主様が言ってた。」
「主従関係を結べって事ね?わかったわ、ゴーレムさん?貴方の名前は┅リチャード?どう?」
「良いみたい、続けて命令系統と仕事かな?簡単に言ってみて。」
「じゃあこれからは私が主だからね!リチャード?ジックリ話しましょう!」
「あーああ、センセ話しこんじゃた、ウルティマ?テオちゃん達、今頃どの当たりかな?」
「もう、10日経つからダイブ進んだかな?」
「早く行きたいな┅」
「あと少しよ!ギルドは片付けたし、この馬車が有れば荷物もアイテムBOXばかりに容れなくて良くなったしね!」
「どう?荷台の中?空間余裕有る?」
「テオが造った部屋の他にスペースはあるわ、装備も凄いけど空間魔法も凄いわね?まだ使い方良く知らないけど完全に扱えたらもっと便利よね?」
「だから未熟者だって言ったの、他の能力もまだまだ充分扱えて無いでしょ?旅の間は修行よ?私が教えてあげる。」
「助かるわ。」
「ウルティマちゃん、私にも教えてね?」
「3人の事は主様から預けられた、主様にちゃん届けねば顔がない、魔物や盗賊など蹴散らすくらいの力を教えるから。」
「ありがとう、お願いね、とにかく片付けてマリアを拾って追い付きましょ?」
「ハイ!」
ーーーーー ーーーーー ーーーーー
辺境伯領主邸
「旦那様、私達がテオドール様の元へ行く事をどうかお許し下さいませ。」
「不詳元騎士団団長、老いぼれの残る命、好きに使わせて貰いますぞ!」
「お前達は既に私ヘは仕えては居らぬだろう?許しも何も無かろう?」
「ハイ、ですがテオドール様へ仕えるとなれば旦那様の許しは必要かと!」
「あれは出て行った者だ、ローレンス家とは縁を切るとまで言った、勝手な奴の事など知らんわ!」
「私達2人、既に旦那様からはお暇を頂いておりますが今でも辺境伯領の民と自認致しております、許しと縁切りをお願い致します。」
「覚悟か?セバス?統べてエードナーに譲り出て行くか?ギルバートも同じだな?」
「はい、旦那様には失礼かも知れませぬが、テオドール様の可能性を見てみたいのです、我が孫のように思っております。」
「儂も同じです、孫と思っております、それとあの能力には魅力があります。」
「能力か┅マリアンヌも言っておったな?だが私は認めん、あれの私を見る目は挑む目だ!親に対する目ではない、お前達が行くと言うのなら止めはせん、好きにするがよい、だが、辺境伯家の息子としては置いておこう、貴族籍は抜くがな。」
「マリアンヌ様のご意志を┅」
「有り難き幸せ、これ迄お仕えした事誉にございます。」
「大義であった!」
出て行く2人を見ながら寂しそうに呟く
(私も歳を取ってしまったのか?)
「エードナー!あの屋敷、マリアンヌの屋敷を封鎖しろ!誰も入れぬようにだ!」
「承知致しました。」
セバスとギルは屋敷ヘと向かった、アンナ達と共にヒロの元へ向かう為に
マリアは孤児院の子供を里親へ渡す日々をこなしていた、働き先も見つけ治療中の患者も治し終え町を出る準備もあと少し┅
(もうすぐ終るわ、そしたらアンナさん達と旅立てる┅待ってて┅)
ーーーーー ーーーーー ーーーーー
宿場町を出て2日
途中サラには結界の扱いを手解きする。
風魔法の【ウィンドバリアー】や光魔法の【ライトシールド】闇魔法の【シャドウブラインド】火魔法の【ファイアーホールド】水魔法の【ウォーターシャッター】各属性のバリアーと言うか魔法の壁を教え、魔法操作で複合魔法にして強力な結界を張る訓練をした。
創作になるのか?複合した魔法を魔法操作して創造魔法で完成させる。
イメージは俺が前に張った結界だ。
サラは素質があるのか簡単にイメージして同じ結界を出した。
動物との会話はまだ難しいみたい。
今は闇魔法の影移動の練習中でたまに魔物が出るがバッサリ首をはねる。
魔法の基本は魔力の操作。
魔力を自由に操り体内へ巡らせイメージをはっきりと現せれば発動する。
色んな魔法を見る事で覚えイメージしやすくなる。
魔法書の説明だけでは修得は難しい。
俺は訓練の合間、薬草採取を心掛けた。
食べれる物もついでに取ったり美味しそうな肉の魔物も狩った。
サラは手当たり次第だけど┅
夜、いつもの様に小屋を造りキャンプしてると放れた街道から声が聞こえた。
俺達は隠匿の魔法でキャンプしてる周りは隠れて見えない。
どうやら盗賊の一団らしい。
明日、襲う計画の為にこの先の峠へと向かっている。
俺達は狩った野うさぎの肉を野菜タツプリのシチューにして買い込んでいたパンで食べていた。
ホーンラビットと違い魔物でない野うさぎは珍しくて焼いて食べるより煮たほうが良いと思った。
他にも大猪があるけどデカイから川が有る所で解体したい。
イーヴィルボアも猪だが大きさが全く違う。
大猪は体長5mくらいだがイーヴィルボアは10mを超す物が多い。
どちらも肉は上手い。
盗賊の事は頭の片隅に置いて2人で風呂にゆっくりと入るのだ!
夜の営みは毎日の日課で、夫婦の大切な行為なのだ!
嫁を悦ばせる事はダンナとしての務めじゃあ!
サラの弾む姿は美しかった。
ーーーーー ーーーーー ーーーーー
キキーッ!ガシャーン!
「どうした?」 「何事です!」 「大変だー!」
「おめえ達!観念しな!」
「盗賊だー!」 「なんだと!」 「切れー!」
2台の馬車を盗賊達が罠で倒して護衛の騎士達と冒険者だろうか?入り乱れて戦いが始まった。
馬車の一団は総勢15名、盗賊達は30数名はいるだろうか?倍の相手に苦戦している。
崖の上から2人で見てた。
「ねぇ?ヒロ?助けないの?」
「どうしようか迷ってる。盗賊が負ければ良いんだけど。」
「どうかな?騎士みたいな人達弱そう、あの魔法使ってる人達はどうにかやっつけてるけど?」
「護衛の冒険者だろう、ランクは上じゃないかな?」
「あれって?商人の一団じゃ無さそうね?」
「だから迷ってるんだ、あの馬車の中に人がいるけど出てこないし。」
「ヤバそうなら手を貸す?」
「悪人を見てしまったら仕方無いよ。」
雲行きは芳しくなかった。
騎士の2人は傷を負いながら何処かへと走り去った。
冒険者達もジリジリと追い詰められていた。
仕方ないなぁ┅
盗賊の一団ヘ向け魔法を放つ。
【ファイアーボール】
10人程の一団へ火の塊が破裂する。
吹き飛ぶと他の盗賊達が辺りをキョロキョロとしている。
魔法使いなのか?冒険者の1人がこっちを見ている。
次に【ウィンドスラッガー】をサラが放つ。
盗賊を次から次に風のナイフが切っていく。
仕上げは【ライトニングショート】雷が降り盗賊達は動けなくなった。
冒険者達は呆然としていたが、騎士の残り3人と馬車から出てきた3人の女性達は盗賊達が全滅したのを喜び歓声を挙げてる。
俺達はその場を放れ先を進んだ。
これからは谷を越え山道ヘ入る。
夕暮れ迄に寝る所へたどり着かないといけない。
できれば川か沢の有る所をと急いだ。
谷の曲がりくねった道から見える先は山々がそびえてる。
こりぁ川は無いか?とふと山手を見ると小さな沢が流れてる。
昼食はあそこにしようと道から外れ剣で沢の周りを払い綺麗にした。
料理を一緒にして食べていると1頭の大きな白い狼がやって来た!
サッと2人、警戒態勢に入り剣と弓を構えた。
狼はゆっくりと歩いてきて近くで立ち止まった。
「サラ!手を出すんじゃない!」
「どうするの?」
「襲って来たら相手する。」
「任せたわ。」
狼と対峙して睨み会う。
すると何だか敵とは思えない。
索敵にも赤点がなかった。
『告 この狼はフェンリル 神獣です
主様は以前会っています』
なんだって?
前に会って┅あっ!あの時の!
『思い出したかな?』
「確か、オズウェルの森で?」
『そうだ!またと言ってただろ?』
「お前は?何だか懐かしさが有るんだが?」
『ヒロ!俺だよ?シロだ!』
「シロ?あの┅あのシロか?」
『俺も転生してこの異世界ヘと飛ばされた、女神が言うには良いことが待ってるから悪い魔物を退治してこの世界の乱れを見張れだと言ってた』
「お前も生きてたのか┅シロ┅ご免なっ、俺が、俺があんなバカやったからお前まで┅御免」
『謝るな、お前はなにも悪く無い、こうしてこの世界で神獣として奉られて返って良かった』
「ずっと1人で生きて来たのか?」
『もうすぐ50年になるかな?』
「50年?だって俺はまだ12年しか生きてない、一緒に死んだのに?」
『告 魂の時間軸は各々 時空が違う
この世界への転生は時間の違いが
生じます』
「50年もこの異世界で┅」
『ずっと待ってた、良いことを』
「あの女神にしては粋な計らいだな?」
『告 あの駄目なバカ女神では無く
わたくしが計らいました!エヘン』
「そっそうなのか┅ありがとうウリちゃん」
『ヒロよ?我を前と同じ、相棒としてくれんか?』
「良いのかい?」
『お願いする、主従関係を結ばせてくれ、そうすれば眷属となり仲間達と話せる様にもなる』
「わかった!」
手を頭に置き«シロ!»と呼ぶと眩い銀色の光に包まれグングンと大きくなる
6、7mは軽く越えた大きさになり毛は銀色に艶やかに輝いた
サラが傍らに来て腕を掴む
「これ?なにかしたの?」
「彼はシロ、前の世界で相棒だったんだ!仲間に眷属になったんだよ」
「へえ、じゃあヒロの事私達より知ってるのね?」
「そうだよ、でも┅嬉しくて┅」
「わかったから、泣かないで、シロだっけ?彼も呆れるわよ!」
「わかってる┅わかってるけど┅」
『ヒロの奥方よ!よろしくな!』
「えっ!話せる?の?」
『話せる、眷属とはそういう事だ』
「じゃあ人と話せるって事?」
『ヒロの眷属の者達だけだ』
「そうなの?眷属って凄いのね、私はサラ、サラって呼んでね!シロ!」
『承知した』
そう言って体をスルスルと戻した
銀色の狼、神獣フェンリルが家族になった




