悪者退治
「今日は頼んだよ。」
「ええ、任せて。」
「ねぇ?マリアさん大丈夫なの?子供達も?」
「それをこれから始めるんだ。」
サラに転移の方法を教える。
2、3度練習したらあっさり覚えた。
タニアはビックリして俺とサラを見返しては目を白黒させた。
能力の事を簡単に説明してポカ~んとしてたが理解したようだ。
サラとタニアと俺で手を繋ぎ孤児院の門の木陰へと転移した。
歩いて教会ヘ向かうとマリアが立っている。
昨日の寝姿がよぎったが神官の衣装をまとった彼女は清楚な姿でこちらを見ていた。
タニアが駆けていき挨拶してサラを紹介した。
「マリアさん?私の母さん。」
「始めまして、サラと言います。タニアがお世話になります。」
「始めまして、マリアです。タニアちゃんには孤児院や治癒院のお世話を手伝って貰って助かってます。」
「そうなんですか?あのぉこちらは私の旦那様です。」
「昨日は失礼しました。」
「いえっ!私こそ助けて頂き何もお礼もしなくて┅ありがとうございました。」
「礼には及びません、これから、ひと騒動が有りますから。」
「ひと騒動?」
「ええ、所で司祭さんは?」
「あのぉ、司祭様は昨日からお戻りになりません。」
「そうですか、他の神官さんは今日は来るんですか?」
「通いの神官が2名程、後は他の支部ヘ行っていますが?何か?」
「実は、昨日の連中がまた来るんですよ!貴女とライラを拐いに。」
「ええっ?また来るんですかぁ!どうして?」
「ライラが言ってたでしょ?司祭が貴女達を帝国へ売り払う為です。」
「でも?あの人達は捕まったのでは?」
「ははっ!昨日の内に釈放されました。」
「そんなぁ!」
「まあまあ、来ると判ってるんだから対処出来ます。さぁ!子供達を逃がしましょう。」
タニアとサラが子供達を連れて向かった先は領主邸近くの騎士団本部だ。
ギルバートに話したら騎士団本部が良いだろうと言って、早馬で向かったから。
セバスにも話して警使本署の署長宛てと王都の教会本部に連絡してくれた。
辺境伯領主の意向として。
領主邸にはセバスの息子さんが後釜として執事をしていて、お父様が王都ヘ居る間は領地を任せられている。
エードナー・ガーディアン
34歳 頭脳明晰、判断力が優れている
通称 エド
もちろんエドの所にも連絡はしてある。
後はマリアをどうするか?
大勢が攻めて来る。
教会も只ではすまないだろう。
下手に魔法を使えば辺りは無くなる。
殺さず捕らえられるか?
連中がいつ来るかわからないので、取り敢えずお茶でもするか?とマリアに言った。
「子供達は大丈夫だからお茶でも行こう。」
「ええっ?こんな時に?ですか?」
「ええ、いつ来るかわからないのを待つのも何だから。」
「そうですか?」
「この先にお店があった筈だから行こう。」
「はい。」
レストランみたいな、カフェみたいな店が開いたばかりだった。
中へ入ると窓際の席ヘ通され、お茶とケーキみたいなお菓子を頼んだ。
マリアは少し緊張しているみたいで、座っていても落ち着かない様子でモジモジして顔をホンノリ紅くしていた。
「マリアさん?遠慮なく食べて、お茶も。」
「あのぉ、昨日からですけど、どうして私達に┅私を助けるんです?」
「好きだから、と言ったら?」
「ななな!に言ってるんですかぁ!」
「冗談ですよ。お節介?かな。」
「もう、お節介だなんて!どうして貴方はふざけるんですか?」
「かわいいなぁ┅」
「もう、もう!真面目に!」
「緊張は取れました?さすがに賊が拐いに来るんだから気が気じゃ無いかと?俺は一応、辺境伯家の3男坊でね、昨日と今日の事は関係各所に知らせてあるんだ、騎士団も動くし警使も教会本部もね。」
「ええっ?辺境伯┅教会本部?騎士団に警使も?」
「事の起こりを話そう、先ず、司祭のドミニクが帝国の教会ヘ編入したいって事と、教会のお金をくすねて私腹を貯めてたって事、悪事に加担してるのが、警使本署の警備主任のハンク、賊の親玉がドレスク、前の繁華街のボスと言う訳、貴女とライラは帝国への手みやげとして拐うと言う事です。」
「信じられない!司祭様が?」
「俺は一目で判った。司祭の身に付けた物が分不相応だって。」
「じゃあ、今まで私達を騙してたって事?」
「騙すも何も回復魔法の使い手を奴隷にして売ろうって輩だよ?」
「奴隷?」
「ドレスクは奴隷紋の魔法を使い自前で奴隷を売り捌く奴だよ!」
「アワワっ!私を奴隷に┅」
「マリアさん?貴方とは多少の縁があって知り合いました、でも、悪い事をする奴は許せない!ましてや貴女を悲しませ、苦しめるなんて、放っておけないタチなんで。」
「まあ!あっありがとうございます。」
「これでも、美人さんに弱いんです。」
「美人だなんて┅」
「ほら!何やら物騒な連中が走ってますよ!」
「ああ~ぁ教会が?」
「教会は多少は被害があるでしょうけど、おかげで綺麗になるかもですよ。」
「綺麗に?」
「壊れたら寄付も集まるし教会本部からと領主から、王宮からもね?じゃあ行きます、貴女はここにいて下さい!」
「私も!」
「いえ!邪魔です!」
そう言って駆けていき、身体強化を掛けあっと言う間に教会まで来た。
ドレスク、司祭のドミニク、用心棒のバンギャス等が徒党一党揃っていた。
「おめえが邪魔者かぁ!女はどこだ!」
「はい、そうですかと、言う訳無いだろ?」
「ふざけた野郎だ!それもたった一人で、寝言言ってんじゃねぇ!」
「寝言言ってるのはあんた達だよ?白昼堂々と人拐いなんて。それとハンクってのは来てないのか?」
「どうしてハンクなんだ?」
「お仲間なんだろ?」
「てめぇ!どこまで知ってやがる!」
「統べてお見通しさ!全部しれ渡ってるんだぞ!教会本部も警使本署も、領主もだ。」
「なに!」
「こんな小僧の言う事なんか聞かなくて良い!早いとこ殺ってしまえ!」
「しかしよぉ?良いのかぁ?バレちまってんだろ?」
「戯れ言だ!とっとと殺れ!」
一斉に斬り掛かってきた。
身体強化の速さに追い付かず次々に返り討ちに倒れていく。
「バンギャスの旦那!お願ぇしやす!」
「フン!なにをこんな小僧に手間取ってる、小僧!俺が相手だ!来い!」
片手剣で構えるバンギャスは少しは剣が扱えるみたいだ。
お構い無しに斬りかかると綺麗に弾かれた。
剣に何か付与されてるみたいだ。
鑑定すると闇魔法の一種を纏わせてる。
其れならばと光魔法を剣に纏わせ斬りかかると受けたバンギャスの剣がパキーン!と折れた。
信じられない顔で剣を見て唸りをあげ詠唱を始めた。
そんなぁ!詠唱なんて!
スカッと風魔法!【ウィンドカッター】
バンギャスの両腕が血を吹き斬り飛んだ。
膝間付いた頭を叩くと倒れた。
ドレスクは剣を握ってはいるがワラワラと震えている。
何故なら、俺が怒りの姿に変わっていたからだ。
逆立った銀髪の、碧色の瞳。
体全体に白い光を放ち向かってくる。
「お前はあの時のガキ!」
〖言ったはずだ、大事な人を
苦しめるなら絶対に許さないと!〗
【ライトニングショート】
一気に仕留めた いい加減ウンザリ
辺り一面に、黒く転がる賊達
司祭も真っ黒く、ビリビリと痺れバタ
バタしている
教会自体はあまり損傷なく済み、騎士団員が来た頃には、すでにマリアの所ヘ向かって歩いている。
マリアはと言うと近くの家の陰から見ていた。
すごい!剣も魔法も!
それに1人で怖れず立ち向かって┅
大事な人?
わ・た・し?
あーぁ!やっぱりあの人の事が?
やだ!こっちに来た?
どうしよう、どうしよう!
私、わたし┅
「なんだ!そんな所で、終わったよ!」
「はい!あああっ終わって良かったです!」
「後始末?任せたよ!じゃあ!」
そう言って騎士団本部へ向かう。
マリアは只、立ち尽くしていた。
早くサラと屋敷ヘ帰りたい┅
悪党達の処分は早く終わった。
テオが暴いた証拠が晒され死亡者は少なく賊の2名だけで後は重症だが命に別状は無かった。
司祭の蓄えた財は教会ヘ戻され、罪は重く教会本部の裁きで鉱山奴隷として送られた。
ドレスクは死刑の処分で、バンギャスは犯罪奴隷として処分された。
ハンクは何度も取り調べられ数えられない罪をおかしていた。
半ば発狂したのか牢獄で自殺した。
教会の修理が終える頃支部ヘと行っていた神官達が戻りビックリしたそうだ。
子供達は綺麗になった孤児院に喜び、寄付も増え食事が良くなり何があったのかは知らないが薄々サラや俺のせいだと思っているみたいだ。
エドは騒動の流れと鮮やかに悪事を暴いた事に興味を抱きマリアンヌの屋敷ヘ顔をだし事件の真相を知りたがった。
俺は逃げの一手でかわしていた。
タニアが去ってサラは時折寂しそうにしたが自分のやる事に励んだ。
毎日が早く過ぎもうすぐ10歳になる。
待ちくたびれた10歳。
背も180cmになった。




