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黄昏おじさん異世界飛ばされ楽園創る  作者: 姫野りぉ
第一章 希 望
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前世の記憶


橘ヒロ 50歳


薬品ブローカーとして世界中を飛び回って仕事をしていた。


家族の為にと働き、家にはほとんど居なく忙しいを言い訳にして生活をおろそかにしていたのだろう。


娘もそんな父親の顔など覚える暇さえなく久しぶりに会っても母親の後ろに隠れ話しなどしてくれない┅


妻とは大学で出会い、いつの間にか一緒になり子供が出来て結婚した。

俺はどちらかと言えば娘を溺愛してる父親らしい┅

娘からはそれ程懐かれているとは見えないがそれでも珠に会うと可愛くて仕方なかった。

家も建て其なりに暮らしていた筈なんだが何時からか┅


俺達家族の時間がおかしく動いてるのにきずかなかった。

南米を移動していた時に妻の父親から連絡が来た。

帰って来いと一言。


家は黒く瓦礫の山で、跡形もなく燃え落ち辺りの5件の家が朽ち果ている┅



「あそこの家が放火にあい燃えて強い風に煽られあっというまに┅」



何でも偉い議員さんの愛人の家だったみたいで議員さんのカミさんが乗り込み油を撒いて火を放ったとの事。


妻は出かけていたらしく友人とお茶してた時に知り急いで駆けつけたが留守番の娘は寝てたのかな?

逃げ遅れて瓦礫の中から遺体が見つかった。



なんで?どうして?


胸の奥で何かが弾ける



悔しさだったのか?後悔だったのか?憎しみだったのか?怒りだったのか?絶望だったのか?



妻は自分を責め、少しずつ精神が病んで遂には移り住んだマンションの屋上から自由になる為に飛んだ┅


妻の親達に全財産を無理矢理渡し逃げる様に遠い田舎へと隠れた。



俺は娘が死んだ事を受け入れられない、今でも┅




あっけなく何もかも無くした。




「さて、仕入れでも行くか?」


少しずつ広げた畑を見ながらふと思う。

俺の人生って?

否、考えるのはやめよう。


「シロ!行くか?」


相棒のシロと一緒に軽トラに乗り、町ヘと買い出しに向かった。


シロは大きな白い犬で、山の中のこの農地に暮らし始めた時にノソリと現れた。

何と無く同じ匂いがして今では親友?家族かな?

直ぐに懐きいつも一緒に居る。


坂道に差し掛かった時に幼稚園の送迎バスがゆっくりと走りそれを母親達とバスの運転手だろう男が叫びながら必死に追い掛けている。


子供達は中で楽しげに騒いで異変に気付かない。



運転手無きバスは、ゆっくりと坂道を走り出し加速する。


俺は何も考えずアクセルを強く踏む。


軽トラのマフラーから青白い煙りを吐きバスの前へと行き急停止する。


加速したバスは軽トラを呑み込み甲高い悲鳴のような騒音をたて、もの凄い火花を散らしながら停まった。


あたたっ┅意識がぼやける┅

おぼろげに見える┅

シロの真っ白な体が朱く染まり口から血を流してる

俺の胴体はハンドルに挟まれそこから二つに離れていた。


母親達の悲鳴と子供達の騒ぐ声が遠くに響く┅




シロ、ごめんな?




そして光りの中へと消えていく




生まれ代わった事を考えていた。


異世界で生きて行く事がどんな事なのかと?

前世の記憶を持ったまま赤ん坊で生まれた異質の存在。



辺境伯三男

橘ヒロことテオドール、フォン、ローレンス


どんな世界なのか?

どんな生き方ができるんだろう?

やり直しなのか?

異世界┅

生きて行けるのやら┅



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