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黄昏おじさん異世界飛ばされ楽園創る  作者: 姫野りぉ
第一章 希 望
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異世界転生?



なにやら暖かい。

目が見えない。

言葉も出ない。

どこなんだ?


いやいや、確かに死んだ。

しかし


「男の子ですょ」

「おめでとうございます。」

「よかった、マリアンヌも無事で、よかった。」

「ええ、奥様は何事もなく坊ちゃまも元気で。」

涙を溜めて赤ん坊を抱く恰幅の良い女性が髭を生やした身だしなみの良い精悍な男に赤ん坊を見せる。


「男の子か、そうか男の子なんだな。」


うん?嬉しくはないような?

父親みたいな男は何やら複雑な表情を見せると、ふと我に返ったように横たわる女性に笑顔で答える。


「マリアンヌ、身体の調子はどうだ?変わり無いか?」

「ええ、大丈夫ですよ、この子が産まれて来てくれて感謝しています。

私の生きる希望が出来たのですから。」

「ああ、無理はしないようにな?」

「ええ、分かっています。」


ううん?

何かおかしい。


父親らしい男は銀髪の男性と一緒に部屋を出て行った。


「奥様、さあ休んで下さい。坊ちゃまは私が見てますから。」

「お願い、もう一度顔を見せて。」


静かに見いると小さな手を人差し指で繋ぎ暖かな眼差しを閉じ静かに眠りについた。



(奥様も良く大事に至らなく出産なされたものだわ。元々身体が弱い身の上、妊娠されたのが不思議なくらい。

でも、この子、ずいぶんおとなしいわね?おぎゃあおぎゃあって二回泣いたきりだわよね?う~ん?)




やっぱり俺は産まれたのかぁ

でも、記憶はある。

転生したのか?

赤ん坊からかぁ

まぁ、どんな生き方か自分で選べるか?

どんな生き方かぁ




転生してしまったようだ。

それも異世界へと。




この家は、辺境伯家でいわゆる御貴族様だ。

聖ルーデンス国と言う王国。


オーギュスト・フォン・ローレンス辺境伯が父親で、マリアンヌ・フォン・ローレンスが母親。


俺はテオドール・フォン・ローレンスって大層な名前になってしまった。


母親は第一正妻で第二正妻と第三正妻がいるようだ。


(けしからん)



この国は王国制で身分が別れている。

王族、貴族、騎士、商人、平民、奴隷と、はっきりと区別されている。

もちろん、異世界なんで亜人と言われる種類もいるし魔物、魔人もだ。



このローレンス辺境伯家は代々名門で侯爵家と同じ位になり、領地もかなり広い。


隣国、ユーズト帝国とは長い歴史、覇権を争っている。

ただ、この領地にはユーズト帝国を挟み広大な森がお互いの進行を阻んでいる。

それも広いだけではなく、魔の森とも人外魔境とも呼ばれている。


その為か、納める領地には三つのダンジョンが存在する。

ダンジョンから持たされるお宝や鉱物、資材、集まる人々。

ダンジョンによって持たされる富によって町が産まれ経済は潤っている。


また、農地も広大にあり鉱山も二つも抱えている。

農業、商業、工業、とどの町も栄えている。


父、オーギュストの手腕は大したものだ。

ルーデンス国王とは王立学校の同級生で親友でもあり信頼は厚い。


母は国王の母親の親戚で侯爵家の出でもある。

小さい時から身体が弱く永くは生きられないと言われていた。

しかし、その美貌とたぐいまれな聖魔法を宿していた。

長い間床に伏せていたのだがこの二年程は外に出歩けるほどに元気になり健康を取り戻していた。



そんな訳で俺が出来てしまったのだ。


(けしからん)


第二正妻、サーシャ・フォン・ローレンス


33歳

伯爵家の出で長男、長女を産んでいる。

長男 ケント・フォン・ローレンス10歳長女 オリビア・フォン・ローレンス8歳


母、マリアンヌが病弱で子を設けるのが難しいと思われ、身内から進められ、仕方無く迎え入れた。



第三正妻 ミーリア・フォン・ローレンス


29歳

オーギュストが王都にて見初め強引に嫁に娶った。

大きな商会の娘だ。


(やれやれ)


次男 サミエル・フォン・ローレンス7歳次女 ミリンダ・フォン・ローレンス5歳


(御盛んな事で)


第三正妻のミーリアは領地の首都とも言うべき領都に住んでいる。


第二正妻のサーシャは王都の辺境伯邸に住んでいる。子供達が王都の学校へ行っているからだ。


この家は領都から離れた別荘と言うか別宅と言うかマリアンヌ専用の家だ。


オーギュストにとってマリアンヌは特別だった。

他の正妻を愛していない訳では無いが、マリアンヌだけは違っていた。


だから、この屋敷には従者が揃っていた。

執事のセバスティアンに庭師のドアーフ、ロドリゴ、王都から医師のアンナ、見習いのマーサ、侍女が五人と俺の乳母サラと夫のジャンと料理人のガンス、弟子二人と護衛の近衛騎士が五名もいた。



辺境伯家には独自に騎士団と近衛騎士団を持たされている。

隣国との警戒の為に必要な戦力がなければいけなかった。

隣国だけではなく魔物にも備えなくてはいけない。

辺境の地に生きると言う事は強くなければ駄目だ。



長男ケントは文武両面に長けていて次期当主として王都の学校へ通っている。

長女オリビアも王都の学校へ行っており領都の屋敷には次男サミエルと次女ミリンダがいる。



王国では8歳から学校へ行けたので早い子は家を出て王都の学校の寮で過ごす。

8歳、10歳、15歳と入れる時期を選べる。


ケントやオリビアは早く王都の貴族達と馴染む為に8歳から王都へと出て行った。

結局、この辺境伯家はバラバラで、

家族と言うには少々疑問がある。



たけど、俺にとっても母マリアンヌにとってもそんな家族の有り様が助かった。

この屋敷の周りの環境と仕えてくれる皆が暖かく優しい。

貴族のしがらみもなく自然豊かな地で母の愛情を一心に受けて健やかに育って行った。



テオドール君は前世の記憶があり赤ん坊の時から大人達の話す事が理解出来た。

話す事は出来なかったが理解できる事は凄く助かった。

しかし

中身は50歳の意識がある訳だから困る事もある。



乳母のサラはまだ若く16歳で娘のタニアを産んだ。


マリアンヌは乳の出が悪くサラから授乳するのだが、豊な胸の膨らみに戸惑いながら乳を吸う俺。


(幼稚プレイかよぉ!)


サラは紅い髪が綺麗な美少女と言うべき顔立ちなのに見事なスタイルの持ち主だった。


(ムフムフ柔らかな手触りなのに張りのある肌、離れたくないぃ)


タニアがいつも邪魔をする、なんか分かってんのか?う~ん?


寝る時はマリアンヌの胸の中で天国へと誘われる。

華麗な母と美少女の乳母、侍女も可愛い子ばかり。

前世では全然モテなかったが、この世界は美男美女ばかり、期待で胸が膨らむ。


(下半身も)


サラや侍女達、皆がテオドールの事を不思議に思っていた。


泣かないのだ。赤ん坊なのに。

まず、おとなしい。ジ~イッと見ている。

皆が笑い話しみたいな時には一緒に笑う。

悲しい話しの時には悲しい顔して見ている。

まるで話しが解るみたいだ。


サラは大抵一緒にいるがほぼタニアの面倒に悩ませられる。

その点、テオドールは全く手が掛からない。

静かで、動かない。

タニアはしょっちゅうジタバタと動き良く泣く。


(まったく、テオ様みたく少しは静かにしないかねぇ?)


サラは不思議に思いながらも娘の面倒を比べてしまっていた。


早く歩ける様になりたい。

やりたい事や知りたい事が沢山ある。



異世界!



いったいどんな未来があるのだろう?







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