溺愛は遠慮したいですが……
最終回まで漕ぎ着けました。
「長かったなぁ」
シルヴィーの呟きにアーネストが笑った。
「何を言ってんだ。これからだろ」
アーネストはシルヴィーをきちんとパートナーとして尊重しながら、時々甘やかしてくれる。
「私があの時、ダドリーが良いって言ったらどうなってたの?」
「今頃海の向こうに行ってたかもな」
「物理的に?」
「そう。物理的に、だ」
どうやら、シルヴィーは選択を間違わなかった様だ。
「でも、なんで私まで卒業しないといけないの?イザベルはまだあと2年学園に居るのに」
「俺が本格的に王太子の秘書になるから」
それが?と言いたげなシルヴィーの顔にアーネストが意地悪そうな顔で笑った。
「イザベル様に取られる前に、ガッツリ俺のものにする為、て言えば解るだろ」
シルヴィーの顔が真っ赤になり、文句を言いたいだろうが言葉が出なく、口がパクパクしていた。
「卒業したらすぐに結婚式だ。ユーノ達が今頃ウェディングドレスを引き取りに行ってるぜ」
「アーネスト」
顔を真っ赤にしながら怒る姿も可愛い、なんて恥ずかしげも無く言うアーネストには多分、一生勝てないだろう、なんて思いながらもシルヴィーはツン、と横を向いた。
「シルヴィー、俺は貴女を独占したい」
婚約が決まった時と同じ言葉をアーネストは耳に唇を寄せ、囁く。
「……溺愛は遠慮したいです」
「それは無理かなぁ。俺は貴女を、俺に溺れさせたい」
「……とっくに溺れてます」
小さな声で言うと、アーネストはシルヴィーを強く抱き締めた。
「いちゃつくのは、2人だけの時にしてくんない?」
突然の、ウィリアムの声にシルヴィーはヒャア、と悲鳴をあげ、アーネストはにやり、と笑った。
「勿論、そうさせて頂きます」
「独占欲丸出しかよ」
「シルヴィーが茹で上がる前に、離してあげて」
呆れるウィリアムの後ろから、イザベルが顔を出した。
シルヴィーはすっかり忘れていたようだが、此処は特別棟のサロン。彼らがいてもおかしく無いし……
「そうか、そういう愛の囁き方もあるのか」
何度も頷きながらパトリックがうっとりとシンシアを見れば、真っ赤な顔でシンシアはサロンから出ようとしていた。
忙しくて騒がしかったが、充実していた学園とはもう直ぐお別れだが、場所は変わってもこの賑やかさはきっと変わらない。
初夏の眩しい空に祝福の鐘の音が響き、シルヴィーが純白のウェディングドレスに身を包み、教会へと向かう。
大切な人達が祝福する中、シルヴィーはアーネストと誓いのキスをした。
fin
長い話にお付き合い頂き、読んで下さった皆様には感謝の言葉もありません。
新しい物語は頭の中にあるのですが、なにぶん遅筆なので次にお目にかかれるのはいつになる事やら。
本当にありがとうございます。
私文ですが、杉やん様へ
感想聞かせて下さって、ありがとうございます。
物凄く嬉しくて、やる気をいただけました。
またご縁がありましたら、よろしくお願いします。




