所謂、ざまぁなんですかね?
名前さえ呼ばれない、これって結構辛い。
「皆、頭を上げよ」
陛下の言葉で下げていた頭を上げると、陛下達がいる段の下に側妃らしい女が居た。
余りの異様な姿に会場のもの達が一瞬ざわつく。
綺麗に結われていたであろう髪は振り乱したかの様にざんばらで、見事なドレスだった物は破れたり穴が開いて、見るも無惨だ。
宝飾品は一切無く、立っているのがやっとなほど青褪めて衛兵達に囲まれている。
「新年の舞踏会を始める前に、パトリックの身分が改められた事を皆に告げる」
陛下がチラッとラリマー宰相を見ると、恭しく宰相が頭を下げて、書類を広げ読み上げた。
側妃の子供と言われていたパトリックは、正式には王妃の子であり、ウィリアムの双子の弟である、との宣言があった。
「愚かな迷信を信じる者達から、小さく弱々しかったパトリック殿下のお命を守るため、偽の身分で側妃になった女の子供として誕生を発表したが、成人されバロスのシンシア王女との婚約を期に本来の身分へ戻ることになりました」
ラリマー宰相の声が喜びに溢れている。
そうだろう。ラリマー宰相は無駄な贅沢を好み、国庫を圧迫していた側妃を排除しようとしていたのだから。
ラリマー宰相の宣言で、側妃と呼ばれていた女は身分詐称で投獄される事が決定している様だ。
側妃と呼ばれていた女が救いを求める様、ジルコニア伯爵を見詰めていたが、ジルコニア伯爵は目を合わせようともしない。
ルーミアは側妃になど目も向けず、パトリックとシンシアを凝視している。
「パトリック殿下、シンシア王女殿下。ご婚約、おめでとうございます」
ラリマー宰相の祝辞に会場の貴族達は盛大な拍手で祝福した。
呆然としているジルコニア親子は、身動きもしない。
ぬるいけど、ざまぁ1人目です。




