表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/94

溺愛は遠慮します。

誤解は解けた様です。

試験休みにロードライト家に帰ってきたシルヴィーは、新年の舞踏会用に用意されていたドレスに唖然としていた。


「お父様、本当に私がこれを着るのですか?」

「アーネストが着て欲しい、と用意したものだ」


ドレスは素晴らしいものだ。

大量のリボンやフリルは無く、シンプルなドレスで、白をベースに裾へと紫のグラデーションが美しく、繊細な刺繍が銀糸と黒絹で施され、宝飾品はアメジスト一択。


「どう見ても、ダドリーとアーネストの色しかないのですが」

「アーネストが着る夜会服は、シルヴィーの色だったぞ」


レイモンドの言葉に頭痛がする。


「何故止めてくれなかったのです」

「婚約式も合わせるから問題無し、と思ったからね」


あっさり言われ、それでも止めて欲しかった、とは言えない。


「安心しろ、夜会服はシルヴィーと同じ白ベースで、刺繍がシルヴィーの髪の色で、ネクタイピンやカフスが瞳の色だ」


安心材料とは言い難いが、全身赤紫でない事は有り難い。


「陛下への挨拶の時に、ですか?」


アーネストとの婚約を報告する手順を確認しようと思ったのに


「ジルコン公爵家の挨拶の時に、だそうだ」

「何故」

「ジルコン公爵様とは一応、義理でも身内になるから、孫娘の婚約式も任せろ、と」


歯切れの悪いレイモンドだが、ジルコン公爵相手に文句は言えない。


「だからジルコン公爵様は、ユーリファスお爺様と呼べ、と仰っていたのね」


「あはは。当日は諦めて、ジルコン公爵様の思惑に乗るか」


ジルコン公爵はリーリウム家族の為に、きっとジルコニア一族を断罪するだろう。

その計画の一端を担うのは、親族となった自分達の責務。


「ハロルド兄様やアーネストが何かを企んでいる様ですが、私には教えてくれません」

「今回はアーネストの初仕事になるから、私達は静観するべきだと思う」

「アーネストの暗躍っぷりが、少し怖いです」

「仕方ない。アーネストはシルヴィー、君を溺愛しているからな」

「溺愛……ですか。では、その内、私は監禁されたり精神を拘束されるのですね」


シルヴィーからのとんでもない発言にレイモンドは目を白黒させながら、それは違う、と溺愛の説明を始めた。


「あら?随分違うんですね」

「違いすぎて、訂正箇所だけで夜が明けそうだ」


夜は明けなかったが、かなりの時間を使い、レイモンドはシルヴィーの思い込みを訂正していった。


「溺愛の意味を間違えていた様ですね。ですが、私はやはり溺愛は遠慮したいです」

「何故かな?」

「私は守られるのでは無く、アーネストとは共に歩みたい」

「良い返事だ。アーネスト、我が娘は良い女だろ」


丁度部屋に入ってきたアーネストに、レイモンドが声を掛ける。


「はい。私の婚約者は最高のレディです」


アーネストの心からの笑みに、シルヴィーは頬が赤くなったが、そっと彼の側に寄った。

やっと新年の舞踏会に辿り着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ