相当勘違いしてる様です。
シルヴィーはかなり勘違いしてる様です
「あいつの事はもう片がついた。残った阿呆一族の処分だけだ」
ダドリーは冷酷な笑みを浮かべ、アメジストのような目をハロルドに向ける。
「欠片も残さないよ」
「それは、良かった。で、側妃の方は?」
「ラリマーのおっさんが、喜んで担当してる」
余程ラリマー宰相は側妃が嫌いだったのだろう。パトリックの出生を知らせると、嬉々として証拠固めに部下を動員していた。
「では、私達はこの辺で」
「手間を掛けたな。カイン、新しい魔法陣、ナタリアがすごく喜んでいた」
別れを告げたカイン達にハロルドが労いの言葉を掛け、学園で使われ始めた魔法陣の礼を言った。
「シルヴィー様が提案して下さったお陰です。お役に立てて、何よりです」
シルヴィーの名を口にする時は、カイン達も柔らかな笑みを浮かべる。
「新年の舞踏会も頼んだぞ」
「お任せ下さい。ヘマなどしませんよ」
腹の読めない笑顔で頷くカインは、強かで王宮魔術院きっての切れ者。数年前まではおどおどしていた者とは思えない。
「シルヴィーは人材発掘の天才だな」
「そして最高の人誑しですよ」
ハロルドとダドリーが、楽しげにシルヴィーの話を始める。
「違いない。だけど、シルヴィーは周りの人間に溺愛されてるの、全く気が付いてないんだろ」
「ええ、びっくりする程。あのジルコン公爵が、自分をユーリファスお爺様と呼んでいい、と言った時、流石に頭を抱えそうになりました」
ダドリーの返事にハロルドは腹を抱えて笑い、カインは呆れたような顔で遠くを見ていた。
「ですが、シルヴィー様がいつだったか、溺愛は遠慮したい、と仰ってました」
「あんだけされてんのに!」
ハロルドだけで無く、ダドリーやカインもユーノの言葉に固まっていた。
「いえ、それが……」
ユーノが簡潔にシルヴィーの言う溺愛を説明すると、その場にいる者達は一様に頭を抱えた。
「それは、溺愛では無く……」
「監禁、薬漬け、精神の束縛は虐待です」
「シルヴィーの思考がたまに解らなくなる」
男性陣の意見はもっともだ。
だが、シルヴィーは前世であらゆるジャンルのゲームをしていたせいか、どれが溺愛なのか解らなくなっているようだ。
「色恋にはかなりポンコツだと思っていたが、そこまで拗らせているとは思わなかったぞ」
「良いんですよ、シルヴィーはそれで。余計なモノに意識を向けないだけですから」
うっとりと微笑むダドリー。
此処まで妙に拗らせているシルヴィーが唯一好きだ、と思い、婚約する時も嬉し涙を流したのだから、問題はないだろう。
「では、新年の舞踏会で」
ハロルドの宣言に皆、一礼をしその場を後にした。
溺愛って、解りづらいです。




