裏工作は知らないうちに……
ハロルドやダドリーは凄腕の諜報部員です。
リサークは愚かな国の唯一の光。
だが、今にも消えてしまいそうなほど、立場が危うい。
「ガーネット子爵、貴殿の申し入れ、有り難く受け取る。何をすれば良いのか教えてくれ」
弱々しかった目に光と意志が灯る。
ハロルドは手っ取り早く、取り引き内容を話し、シンシアが張った結界を解除すると、持っていた書類をリサークに渡す。
確認をするリサークの目が見開かれ、次第に涙が溢れた。
「これで、これでやっと王と王太子を糾弾し、幽閉できる」
書類の内容は、ラスティック王と王太子の罪状と証拠や証言が、びっしりと書かれていた。
「それと、私の部下を1人同行させます」
白銀の髪をした青年が、ハザックを見る。
リサークは白銀の髪をした青年を極力見ないように目を逸らしていた。
さっき、漆黒の髪の、エインと呼ばれていた者が、クリスタル子爵、と呼んでいたが、もし各国の王家で囁かれているあの、クリスタル子爵ならば、自分達はとんでもないモノと敵対していたかもしれない。
言葉一つで自分達も、屍を晒す破落戸達と同じ事になる。
「そんなに怯えないで下さい。この取り引きは双方に利があるからこそ、持ち掛けたのです」
クリスタル子爵がくすくす、と笑う。
「持ち掛けてくれた事に感謝する」
「はい。では、手筈が整いましたら、宜しくお願いします」
そう言い残してクリスタル子爵は、この場から退出した。
死の恐怖と極度の緊張で、今すぐこの場にへたり込みそうな気力を振り絞り、残ったハロルド達へ頭を下げた。
「では、2日後の深夜に。場所はハザックが知ってます」
「承知した」
「では、待機場所に案内します」
ハザックと共に建物の外に出たとき、リサーク達は自分達の幸運を神に感謝した。
「ハザック殿、世話になる」
大柄だと言うのに足音もしない。
「いいって。あんた達は子爵を怒らせなかったから、生きてられんだから」
体格だけ見ればハザックの方がいいが、そんな簡単な物の見方で彼の強さは測れない。
子爵の事を考えるよりも、今は祖国を救う事だけに集中しよう。
それを子爵も望んでいると信じ、リサーク達は自分達のするべき事に意識を集中させた。
自分で書いてるのに、兄さんズが怖いです。




