お花畑さんはドナドナされます。
お花畑さんの視点と黒づくめさん達。
とある男爵令嬢視点
嘘よ、嘘よ、こんなはずじゃ無かった。
ゲームでは、いっつもヒロインのアタシが1番で、皆、アタシを褒めてくれてたし、綺麗な部屋いっぱいにプレゼントくれたのに。
なんで、こんなに汚い部屋なの。
ゲームでは、花や可愛い置物が溢れていたのに、洗濯物や埃が溜まっている、自分の部屋が信じられない。
でも、こんな汚い部屋でも唯一の居場所。
アタシを養女にした男爵家は狭くて、自分の部屋すら無い。
嫌よ、あんなとこに連れ戻されるなんて。
アタシは王宮の豪華な部屋で、イケメン達に溺愛されて、いっぱいエッチな事してる筈だったのに。
「嘘よ」
と、叫んだ時、背後から顔に何かを押し付けられ、意識が真っ黒になった。
「こんな事で、本当にいいのか?」
黒づくめの男達の1人が、白銀の髪をした青年に声を掛けた。
近くでは、転移魔法陣を描くユーノ達の姿も見えた。
「はい。この厄介者は好きにして良い。たとえば、ラスティック王の慰み者になったとしても、この国に二度と戻らなければ気にしない」
彼は、感情の無い淡々とした言葉を口にする。
「コイツは、いったい……聞く必要はないか。コイツを国から、いや離宮から出さなければ我らの主君が……」
足元に転がる巨体を、男は興味が失せた目で見てから、もう一度白銀の髪をした青年の方に顔を向けた。
「後はお前達の主君が愚か者でない事を証明すれば、此方はこれ以上何もしない」
「感謝する。国王と王太子を糾弾し、幽閉できる証拠が有る今こそ、我らの主君の悲願が達成できる」
「行け。事は一刻を争うんだろ」
転移魔法陣を描き終わったユーノが、急かすように顎で魔法陣を指す。
「……ハザック殿はしばらく借りるが」
「軌道に乗れば、彼なら見極めて戻ってくる」
影のように青年の後ろに立っているハザックをユーノがチラッと見た。
「そうか。貴殿の名は聞かない。だが、感謝はさせてくれ。あの時、貴殿から取り引きを持ち掛けてくれなければ、我らと主君は国に戻れなかった」
アレキサンド王国のクリスタル子爵。
その名を聞くだけで、他国の王族達は震え上がる程の諜報部の総領。
探れないものはなく、暗殺できないものも居ない。
最強の存在。
そんな彼から取り引きを持ちかけられた。
あの悲惨な状況であっても、救いでしかない。
次はちょっと血生臭いかも……。




