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そして物語は動き始めた?

そろそろ大詰め?

学園は年末に冬の試験を行い、数日だけ休みとなって、新しい年になると直ぐに始まる。


シルヴィー達の前世の時の様な、冬休みや正月休みなどない。

序でに言えば、聖人の誕生日を祝うイベントも無い。


ゲーム内ではそれらしい事があったが、居ない存在を祝う必要がない為、あっさりとしている。


「なんでクリスマスイベントが無いのよ。指輪やイヤリングにドレス、貰えなかったら新年のイベントに何着ればいいのよ」


お花畑さんがぶつぶつ文句を言っていたが、王宮での舞踏会は伯爵以上でなければ、そもそも参加出来ない。

ゲームでは、高位の貴族子弟のエスコートが有ったから参加出来たのであって、今の彼女には招待状は届かない。


それよりも、彼女は冬の試験で好成績を出さなければ、新年には退学が待っている事を理解しているのかわからない。

が、誰も彼女の動向に関心を持っていないから、騒ごうが気にする必要はないのだ。



試験が始まる前日の夜。一台の馬車が慌ただしく学園の裏門から走り出した。


数人の護衛が付いた馬車は見送るものも無く、夜の闇に紛れ、何処かへと向かった。


馬車が王都を出て、森が広がる寂しい山路に差し掛かった所で、怪しい一団が馬車を取り囲む。

身なりはまちまちだが、ただの盗賊とは思えない殺気に護衛達は剣に手を掛け、馬車を取り囲む破落戸達を見据えた。


「中の大事なお嬢さんに怪我、させたく無かったらついて来い」


破落戸の男が御者にナイフを押し付けながら、ニヤニヤ笑った。

まだ山路には入っていない為、比較的見通しも効くが、囲まれては逃げる事は出来ない。


御者は震えながら、護衛達を見て頷いた。

馬車が破落戸達の誘導に従って走り出そうとした時、山路の方から別の黒づくめの男達が現れた。


「なんだてめーら」


自分達の仲間では無い、見るからに正規の訓練を受けた黒づくめの男達に破落戸達は剣やナイフを抜いた。


「そのお方は我々の主人の花嫁になる方。無礼は許さん」


黒づくめの男達の言葉に、破落戸達は口汚く罵り始めた。


「てめーら、後からのこのこ出て来て偉そうな事言うんじゃねーよ。俺たちゃ、中の女の首、持ってきゃたんまり金が貰えるんだ。邪魔すんじゃねー」


御者席に居た男が飛び降り、ナイフをチラつかせる。


「お前達の事情など、関係ない。死にたくなければ、今すぐ消えろ」


破落戸の威嚇などまるで気にもしていない。


「ふざけんなぁ、こんな奴ら……」


破落戸達が黒づくめの男達に襲い掛かろうとした時、馬車の扉が開いた。


すっぽりと黒いベールを被る、華奢な少女に男達は息を呑む。


顔だけで無く、上半身の殆どが見えないのに、立ち姿だけで、高貴な身分と解る。

馬車の少女は誰でしょう?なんてね。

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