色々な思惑が交差します。
そろそろ大詰めになります。
流石に疲れたのか、帰りの馬車の中でシルヴィーはダドリーの肩にもたれ眠っている。
シルヴィーはいつも、他人の為に走り回っているせいか、休む事を知らない所がある。
その彼女が、ダドリーの側では時折警戒心も無く、休む様になった。
ダドリーは口元に笑みを浮かべ、眠るシルヴィーの睫毛の長さを見ている。
美しく、聡明で誰よりも強い。
脆さなど見せないシルヴィーを多くの者は、崇める様に見詰めるが、無防備な寝顔を見る事が出来るダドリーは、静かに決意した。
ユーノは、先日届いた依頼の手紙をカインに渡し、自分の前に立つ男達に頷いた。
「依頼は受けよう」
ユーノの返事に満足した男達は、一度頷きそのままギルドの本部を出て行く。
「カイン、勝算は?」
「私達に」
「では、手筈は任せて」
「勿論だよ、奥様」
「旦那様も宜しくね」
微笑み合う2人は、ゆっくりと扉の方に視線を向けた。
「ハザック、クリスタル子爵の下に行きなさい」
ユーノがギルドマスターとしての顔で、ハザックに指令を出す。
「了解。阿呆はどっちです?」
勇者であるハザックもいつもの厳ついが、気さくな表情では無く、何処か冷酷な笑い方をした。
「両方だ。無駄な事だ」
カイン達は依頼主のことも、ターゲットの事も話していないのに、誰が誰に対して、何を望んでいるのかハザックは理解している。
「本当に無駄な事だ」
カインが冷ややかに笑う。
理想や正義感は必要だが、綺麗事や純粋さだけでは国は滅びる。
ユーノやカインも、身を持って知っている。
だから余計に、確固たる信念を持ち、黒い事を躊躇いもせず行いながら欠片も曇らない、煌めく宝石の様な彼女に心酔しているのだ。
着地点は……笑って終われる様、頑張る。




