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諸刃の剣

諸刃の剣。使い方を間違えれば、自分も危ないものですね。

「大丈夫ですか?」


魔法陣から降りたジルコン公爵がふらついたのか、シルヴィーが咄嗟に彼を支える。


「……シルヴィー嬢、君は素晴らしい。今迄、直接精霊達に働き掛ける魔法陣を描く者は居なかった筈だよ」


少し青い顔をしているが、意識はしっかりしているジルコン公爵が、優しい笑みでシルヴィーを見詰めた。


「精霊王様や魔獣王様と知り合えたので、可能になりました」


精霊王や魔獣王との繋がりが、あのチビ助達を助けた事が、シルヴィーを更に強くしている。


「そして、その力を自分の為ではなく、他人の為に躊躇いもしないで使う」

「私は多くの人に支えられてます。私の力がその人達の為になるなら、惜しむ必要などありません」


凛としたシルヴィーの言葉。

素晴らしい参謀を迎えられた自分の幸運に、ウィリアムは誇らしい気持ちと、襟を正す気持ちになる。

シルヴィーは自分が堕落した途端、反旗を翻すだろう。


「シルヴィーは諸刃の剣だ」

「随分、物騒な例えですね」


ずっと黙って見ていたナタリアが、呆れた様な声を上げる。


「シルヴィーの力を自分の欲のために使えば、間違いなく私の方が痛い目に遭う事は、言われなくても理解してるよ」

「結構、イザベルの事で振り回されてる気がするんですが」

「それは否定しない」

「自覚して頂けてなによりです」


軽口を叩き合う2人を、ジルコン公爵とナタリアは頼もしげに見ていた。


「さて、そろそろ私はお暇しようかね」

「馬車迄送ります」

「若い令嬢の肩を借りているのも嬉しいが、少しはこの年寄りに格好を付けさせて欲しいものだ」


魔力をかなり消費したので、身体はふらついているが、1人で歩けない程、消耗はしていない。


「では、良い結果が出る事を祈っております」

「ありがとう。ついでに、この魔法陣を頂きたいが、いいかな?」

「もう使えないものですが……」

「魔法陣としてでは無く、美しい絵画として手元に置きたい」


自分で魔法陣を拾い上げようと屈み込むジルコン公爵をそっと押し留め、シルヴィーは使えなくなった魔法陣をクルクルっと丸め、差し出した。


「では、2人もそろそろ生徒会室に戻りなさい」


ナタリアの言葉に2人は退出の挨拶をした。

色んな縁がシルヴィーを強くしてます。

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