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無敵の2人?

書きながらこんな13歳と11歳が居たら怖い、と思った。

「ところで、何故私が呼ばれたんですか?カイン殿が居れば私など」


ユーノが不思議そうにシルヴィーの横顔を見ていた。


「魔獣さん達や精霊さん達に負担がないアイテムが出来れば、ユーノさんを通して冒険者さん達や勇者さん達に使ってもらいたいのです」


話し合いがある程度まとまった所でシルヴィーが真面目な顔でユーノを見た。


「そして俺には父上を動かして今の魅了魔法のアイテムや服従魔法のアイテムを使うことを禁じる法律を作れって事か?」


ウィリアムか悪戯っ子のような顔でシルヴィーを見ると、シルヴィーは可愛い笑顔で頷いた。


「はい。こんないろんな人に負担しかない物はちゃっちゃと無くなって欲しいですから」


シルヴィーの目がノーマルルート、阻止したいでしょ、と本音を言っているのに気が付いているのはウィリアムだけだろう。


「父上の前でこいつが多くのものの負担でしか無いって事を証明できれば話は早いだろう」

「新しいアイテムの方はシルヴィー様のおかげで今までよりも安価で、魔獣や精霊に負担の無い物が出来そうですのでユーノさん、頑張って勇者や冒険者に売り込んで下さい」


ウィリアムとカインが楽しげにレシピや魔法陣を見せながらユーノの心情を揶揄っている。


「ならばウィリアム殿下、先日道具屋からの情報でジルコニア伯爵家の者がこの2つのアイテムを大量に買った、とあります。何か聞いておりませんか?」


流石ギルドマスター。関連がありそうな情報はすでに押さえていたようだ。


「ジルコニア伯爵ねぇ。長女がジェイド総騎士団長の嫡男と婚約したい、と申請があったね」


君、本当に13歳?つい一昨日までは傲慢で馬鹿っぽい王子様だった気がするんですが。


綺麗な顔の王子様が腹の中がすでに真っ黒い顔で冷ややかに笑う。


「ジルコニア伯爵って言えば、カインに嫌がらせしている奴もジルコニア伯爵家の1人だったね」


もう一回言うけど、君、本当に一昨日まではアレな王子様だった?


シルヴィーが固まったまま、目だけでウィリアムに疑問を投げ掛けている。


「……別に調べた訳じゃ無いよ。カインに話をしに行った時、あっちがでかい声で言ってたのを聞いただけ」


ちょっとだけ赤くなった頬にはまだ子供らしさが残っているのが不思議だ。


「なんて言ってました?予想からだと、次期錬成士長は組織の為、平民では無く貴族が成るべきだから辞退しろって所ですか?」


ユーノとカインがシルヴィーの言葉に固まった。

まだ、11歳でしか無く全く政治など知らないはずの子供が何故そこまで推察出来るんだ。


「何を考えたらそうなるんだ?馬鹿が上に立つより有能な人物が上に立つ方が組織も利益が得られるって事くらい分かるだろう」


2人に追い討ちをかける様な魔獣王の意見に精霊王が頷いている。


「プライドだけがアホみたいに高い無能者は貴族であっても邪魔だよね。排除するか」


腹の黒さを隠しもしないウィリアム。


「俺、とんでもない方と知り合ってしまった気がする」

「奇遇ですね、私もそう思ってます」

「だが、味方であれば心強いぞ」


カインとユーノが小声で話していると、楽しそうな精霊王が口を挟んで来た。


「カインさん。アイテムはどれくらいでサンプル出来ますか?」


意識を切り替えたシルヴィーが真っ直ぐカインを見詰める。


「正確なレシピがあるのでサンプルだけならば3日で。正式な販売でしたら検証後、承認などの手続きも有りますので一週間くらいかかります」


カインが有能な錬成士だと言う事は仕事の段取りなどをすでに整えていることからも良く判る。


「サンプルができ次第、ユーノさん」

「承知しました。腕の良い勇者や冒険者に声を掛けておきます。後は都合良く暴走した魔獣や精霊が……」

「問題無いよ。派手な奴用意しておこう」


何故かニコニコして精霊王が手を振っている。きっと勇者達が嘘だろ、って叫びそうなラインナップで来そうだ。


「どれが面白い?ワーウルフやダークウルフあたりなら知能も高いからその後の交渉もできるぞ」


魔獣王もニヤニヤしながら親指を立てている。

滅多に暴走しない魔獣の暴走に冒険者達は必死になるだろうが、良いデモンストレーションにはなるだろう。


「絶対、死なせちゃダメですよ」


一応子供らしく見えるが、内容は……。


「そこは加減させる」

「そうなると結果を見る時間も考えて二週間後が丁度いいですね」

「了解。じゃあ俺は父上に現行のアイテムがいかに人へ悪影響を及ぼすか訴えておくし、ジルコニア伯爵家の婚約もその時に被せて潰すか」

「カインさんへの嫌がらせの件も一緒に行けますね」


ニマニマと笑う2人にカインとユーノはもう口を出す気も無い。

どう考えてもこの2人に勝てる筈がない。


「後、ユーノさん。できればうちで働いてもらえる執事を紹介してください。お父様がおバカさん達と一緒に追い出しちゃったので」


ついでに感があるがシルヴィーの依頼にもユーノは頷いた。


「なら、シルヴィー。そろそろイザベルに紹介してくれないか。父上がそろそろ俺の婚約者のことで隣国の王女辺りを紹介しようとしてるから」


ウィリアムは自分の恋には真っ直ぐみたいだが、腹黒さは隠せていないようだ。


「ならばその見事なまでの腹黒さを完全に隠してくださるなら明後日のお茶会に参加出来る様にしますけど」

「勿論。真っ白な心で伺うよ」


そう言っている段階ですでに真っ黒いものが感じられるがウィリアムは真面目な顔で頷いている。

今日も一日一本更新できました。

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