強い女性は魅力的なのかも
シルヴィーに向かっていけるリリーさんはどれだけ強いんだろう?
「リリー、ありがとう。何かお礼しないとね」
手間を掛けさせたのだからお礼にお菓子でも、と思っていたら
「でしたら手合わせを。シルヴィー様と本気の手合わせ、したくても出来ませんから」
と、食い気味にきた。
「そ、そう。それで良いなら、今にする?」
「いえ、後日場所を整え、イーリスを持ち、全力でお願いします」
「了解」
半ば呆れながらもシルヴィーは快諾して、その場を後にした。
「本気なのか?」
ゼオンがリリーに声を掛けた。
リリーは不思議そうに首を傾げた。
「当然です。アンバー団長の秘蔵っ子であるシルヴィー様と本気の手合わせ…‥感動です」
恋する乙女の様に、感動に震えていたが、仕事に戻るリリーはキリッと表情を引き締め、ゼオン達に退出の挨拶をし建物に戻って行った。
「……普通に話せるな」
「えっ?」
「リリーと普通に話しているな、と言ったんだ」
「本当です。何故、シルヴィー嬢やリリーと話せたんでしょうか?」
「聞かれても分からんよ」
呆れているような声だが、エインの目は優しかった。
「不思議です。ですが、あの2人からは嫌な匂いがしなかった」
付けすぎる香水の事だろう。
腹を空かせた狼のような令嬢達は、だいたい鼻が痛くなる程、香水を付けていることが多い。
「防衛本能が匂いとは……。だが、いい傾向だ」
「ええ。シルヴィー嬢だけでなく、リリーも女性なのに身体が震えませんでしたから、これはやはり私の気持ち次第、なのでしょう」
どこかスッキリした顔のゼオン。
「まぁ、君が恐怖心を乗り越えられたのは良い事だ」
「本当に。女性騎士達には本来の部署に戻って貰いましょう」
やや脳筋だが、ゼオンも優秀な騎士であり騎士団の責任者でもある。今の状況が良くない事は理解している。
「事務方がむさっ苦しくなるが、な」
エインは笑いながら事務方に異動してもらっていた女性騎士達に元の部署に戻るよう言った。
リリー達、女性騎士達はほとんど元の部署に戻ったが、何人かは事務方に残ってくれた為、事務方の男性陣はホッとしたようだ。
後日談になるが、あのシン、ゴー、キーの3人は騎士団の手荒い歓迎会の後、リリーから訓練を付けてもらえるようになり、数年後、無事剣受式の試験に合格し、イーリスに浮かぶ自分の登録名にニヤニヤする事になる。
「何か気になる事でも?」
馬車に戻ったシルヴィーにダドリーが声を掛けた。
ダドリーからは相変わらず甘い香りがする。
「ちょっとね。ダドリー、調べて欲しいことがあるの」
「喜んで」
シルヴィーはついさっき感じた違和感を話し、ダドリーに調べさせた。
たった数日でダドリーは、シルヴィーが満足する結果を調べ上げ、報告して来た。
「やはりね。手筈はどう?」
「既に整えております」
「ありがとう。後はタイミングが合えば問題はないようね」
静かに目を伏せてからニコッと笑うシルヴィーをダドリーは真っ直ぐ見詰めていた。
ゼオンさんが恐怖症になったのは、二度と同じような女に捕まりたくない防衛本能か?




