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仲間が増えました。

シルヴィーの仲間が増えました。とんでもない方ばかりです。

次の日は家の図書室で必要な書類をかき集め、手当たり次第書き写して終わり、ウィリアムとの約束の時間に王宮の門を潜った。


侍女に案内されて入った部屋にはウィリアムだけが居た。


「ウィリアム殿下、お招き、ありがとうございます」


一応王族相手なのでカテーシーで挨拶をした。


「手間をかけさせてすまない」


ウィリアムの言葉にシルヴィーは目を丸くした。


「ウィリアム殿下、どうなさいました?」


シルヴィーが驚くのも無理はない。

我が儘で横着で礼儀知らずなウィリアムが人が違ったように丁寧にシルヴィーに接しているのだ。


「ギルドマスターのユーノに散々扱かれた」


メイド達が居なくなると思い出したかのように砕けた口調に戻ったが。


「何をやらかしたんです?」

「おととい、お茶会で君に対してした事をそのまま」


あの態度は、いくら王族でも人にものを頼む態度ではない。


「ガッツリ怒られたんですね。前世で何やってたんですか」

「普通の大学生。シルヴィー、君は?」

「弁護士事務所で働いてました。資格も持ってましたが、見習いでしたので」


シルヴィーの前世にウィリアムは頷いた。


「やはり。俺より頭が良いと思ってたから納得した」


不思議なことにお互い、前世の名前は綺麗に忘れているがさしたる問題では無い。

少し前世の自己紹介をしていたら銀髪にサファイアの瞳をした、驚くほどかっこいい女の人が入ってきた。


「遅くなりました」

「シルヴィー嬢、紹介する。彼女はギルドマスターのユーノだ」


昔映画で観た、指輪関係のエルフの様な端正ないでたちなのに強者荒くれ者を束ねるギルドマスター。


「初めてお会いします。私は貴族ではないので、ユーノとお呼びください」


耳に心地良いハスキーボイスにシルヴィーは頬を赤らめながら頷いた。


「遅くなりました」


ユーノと同じことを言ってもう1人の人物が入って来た。


「シルヴィー嬢、ユーノ、紹介する。彼は王宮魔術院の錬成士のカインだ。実力は錬成士長よりお墨付きの者だ」


茶色の髪と榛色の瞳をしたキリッとしたイケメンにシルヴィー達は頭を下げた。

本当ならカテーシーをするべきなのだろうが、貴族ではない人たちに対して傲慢では、とシルヴィーはあえて庶民的な挨拶に留めた。


「素晴らしい力の持ち主でいらっしゃる」


流石王宮魔術院の錬成士。すぐにシルヴィーの内在されている魔法の力を感知した。


「そうですか?それより、前置きを省略して本題に入りたいのですが」


シルヴィーはサラリと主導権をウィリアムから奪い取ったが、ウィリアムは苛ついた様子も見せず頷いている。


「まず、此方を見てください」


シルヴィーが鞄から取り出したものは割れたピンクの宝石と砕けた黒い石。


「これは最高級の魅了魔法アイテムと服従魔法アイテムですね」


カインが驚きの声を上げる。


最高級の物だったんだ。


呆れた気持ちが表情に出たのか、ユーノ達が繁々とシルヴィーを見ている。


「これをどちらで?」

「此方はウチに居たおバカさんが使っていた物で、既に効力はありません」


シルヴィーの言葉に3人が唖然とする。


「シルヴィー、ツッコミ所が多過ぎて何処から聞いたらいいのかわからん」


ウィリアムの困りきった顔を見て、シルヴィーはサラリと一昨日のことを話した。


「いくら最高級のアイテムでも発動者の力が弱いと素人が描いた魔法陣でも効力を無効に出来ることが分かりました」


そんな訳無いだろ。


全員が心の中でツッコミを入れていたが、シルヴィーはいたって真面目に頷いている。


「魔法陣を見せて下さい」


シルヴィーの描いた魔法陣を食い入る様にカインが見る中、ウィリアムは小声でユーノに


「発動者の力が弱いと効果も弱いのか?」


と、聞けばユーノは困惑した顔で返事をする。


「発動者の力はアイテムの効果には何の影響もありません」

「そうなると……」

「シルヴィー様の魔力が桁違いなだけです」

「どのくらい?」

「あのアイテムのレベルはおそらく70以上ですから、可能性として80以上と……」

「いいや、あの子供の魔力は既にレベル100を超えて、全属性の魔法も使えているはずだ」


突然、会話に割り込んで来た声にユーノ達が周りを見ると自分達の背後に2人、気配もなく立っている。


「精霊王様、魔獣王様」

「最高級の魅了魔法アイテムが砕かれた、と聞いて見に来たが、これは拾い物だ」


漆黒の髪は無造作に束ねられているが艶やかで、猫の目の様な金色の瞳は獰猛な光を秘めている。


「魔獣王様、まさか」

「我が眷属に苦痛をもたらすアイテムを砕くなどという、小気味良い事をした者の顔を見に来ただけよ」


ユーノが青褪めたが魔獣王は楽しげに笑うだけで殺気など無かった。


「私も眷属にとって負担でしか無いアイテムが割れたと聞いたから礼を言いに来ただけだ」


エメラルドの様な輝く緑の髪に緋色の瞳の中性的な美貌の精霊王はクスクス笑っている。


「ユーノさん……」


用があって振り返ったシルヴィーが固まった。

当然だろう。ゲーム内では全く触れられていないが、この世界には存在し、しかし此処には居るはずがない精霊王と魔獣王がニヤニヤ笑いながら立っているのだから。


「君が魅了魔法のアイテムを砕いた子だな」

「魔獣王様ですか?」

「いかにも」

「お聞きしたい事があります。此方のレシピをご覧ください」


ショックからすぐに立ち直るとシルヴィーは鞄からアイテムのレシピを幾つも取り出し、魔獣達に負担なく、此方の話を聞いてもらえるアイテムを作りたい、と熱く語り始めた。


「服従魔法のアイテムのレシピも持っているのか?」


精霊王が魔獣王が持っているレシピを見ながら聞けば、シルヴィーはすかさずもう何枚かを取り出した。


「あり得ないですから、普通」


ユーノはレシピについて話し合っている4人を見ながら、呆然と呟いた。


「だよなぁ。シルヴィーと居ると規格外の事ばかり起きそうな気がする」


知り合ってまだ2日しか経ってないのに、驚く事に疲れるほど驚かされてばかりだ。

だけどウィリアムはなんだか楽しくなってきた。

初めは小煩い存在だ、と思っていたのにここまで規格外の存在だと逆にワクワクして来るから不思議だ。

1日一本更新!!何処まで初志貫徹出来るかかなり疑問。

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