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怨霊騒ぎはとっとと終わらせます。

精霊、魔獣大図鑑の様な中庭って。

学園に戻ったシルヴィー達は、部屋に入れられなかった子供達の安全の為、特別棟の中庭に大きな結界を張った。


「さすがに、ラトルやフェンルーを部屋に入れるのは難しいから……」


白い豹のようなラトルは雪の精霊。

漆黒の狼のようなフェンルーは嵐の精霊。

部屋に入れたらとんでも無いことになる。


「あたしも外がいい」


クースが嬉しそうに結界の中を飛び回っている。

クースも外に居てくれないと困る精霊だ。

火を司る精霊、フェニックスの子供。特別棟が火事になるのは笑えない。


「オレ、噴水気に入ったもん」


ラピスはこの中では唯一の魔獣だが、ウォータードラゴンの子供。

今は力を失っているから金魚くらいの大きさだが、力が戻ればかなり大きくなるだろうし、成獣になればジャンボジェットより大きくなる。


ついでに言えば、成獣になると水に関する魔法は群を抜いて強く、勝てるのは魔獣王くらいだ、と言われている。


「シルヴィー、結界なんて張ってどうした?」


ウィリアムとイザベルが貴族街の探索から戻ったようで、2人揃ってにこやかに此方にくる。


「少しトラブルがあり、幼い精霊や魔獣を保護したので」


シルヴィーが説明をしようと、視線を結界に向けると結界の中では、ちっちゃいモフモフの子供達が楽しげに遊んでいるのが見えた。


若干の沈黙の後、ウィリアムが吠えた。


「いくら子供だからと言って、こんな上級の精霊が一同に集まるなんて、ありえないからな」

「なんて可愛らしいの。噴水で飛び跳ねている子はウォータードラゴンの子供ですね」


イザベルは楽しげに子供達を見ているから、ウィリアムより肝が座っている様だ。

いや、可愛いから気にしていないだけかもしれない。


「S級クラスかよ。ありえないからな、シルヴィー」

「私に文句を言われても……」

「お姉ちゃんを苛める奴は許さないもん」


ラピスがウィリアムに向かって水を噴いたが、幸い結界に阻まれ濡れることは無かった。



「とにかく、情報の整理をしよう」


中庭が見渡せるサロンで調査から戻ったメンバーや、保護された子供達を引き取りに来た魔獣王と精霊王がお茶を飲みながら話し始めた。


「シルヴィー達の方は予想外の事態があったみたいだが、こっちは予想通りの事があった」


ウィリアムがカップをテーブルに置き、真面目な顔でシルヴィーを見る。


「お花畑さんが旧アイテムを、試しに街の人に使ったのですね」

「間違いない。アイテムの影響が残っている者達は全員解除したから問題はないが……」


人に対して使われたのに何故、怨霊が復活したのか、が疑問として残る。


「4年前に新しいアイテムが普及した事でこの国の勇者や冒険者によって暴走を止められた眷属には被害がないが、隣国ではまだ使われている」


魔獣王が嫌そうに口を開いた。


「精霊や魔獣の子供達は隣国から此方に運ばれたのでしょう」


聖霊王の言葉に皆、頷いた。


「もしかして、拐われて来た子供達の気配と人に対して旧アイテムを使ったから、浄化はされていないが、落ち着いていた怨霊が怒りで目を覚ましたのか?」


パトリックの発言に魔獣王が頷く。


「おそらく、それが今回の原因だと思う」


魔獣王達は拐われた子供達を捜す過程で、旧アイテムで人間を束縛しようとした者が居たため、落ち着いていた怨霊達が動き始めた事を突き止めたようだ。


「ウィリアム殿下。パトリック殿下。陛下にアレキサンド王国全土で旧アイテムの使用禁止だけでなく、解除の魔法陣を発動して頂けるようお口添えをお願いします」

「当然だ。怨霊騒ぎは一度で沢山だ」


ウィリアムとパトリックが同時にソファから立ち上がり、自分達の従者に何かを命じた。


「バロスでも同じ勅令を出しますわ」


シンシアのお陰で新アイテムの普及はバロスを通してかなり広がることになるが、彼らはそれをまだ知らないし、解除魔法のお陰で浄化出来なかった怨霊達も素直に浄化魔法を受け入れ、全て輪廻の河に戻って行ける様になるが、その功績にシルヴィーは気が付いていない。


余談だが、シルヴィー達が助けた精霊や魔獣の子供達は、帰りたくない、此処に居る、と散々駄々を捏ねていたが、魔獣王や精霊王にまとめて連れて行かれ、ユーノがアイテムを掛けっぱなしで逃げた勇者や冒険者をこっ酷く叱り、きつい制裁を加えた事はシルヴィーに知らされなかった。


とにかく、シルヴィー達が旧アイテムを使えなくしたお陰で怨霊騒ぎは瞬く間に終わった。


ちみっ子達が泣きながら連れて帰られるシーンを書いたら話が横道に逸れまくりそう。

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