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裏工作は控えめに

頑張って逆ハー潰しに走ります。

「……って事だ」


ウィリアムが青くなりながら昨日の謁見の間の出来事を話し終わると、シルヴィーは額に手を当て大きくため息を吐いた。


「漸く、お父様の不機嫌な理由が分かりました」

「あの2人、なんて言ってきたんだ?」

「謁見の間の話をそのままって所ですね。多分」


疲れた顔をしているシルヴィーをユーノが物凄く心配そうに見詰めている。


「ロードライト伯爵は断ったんだろ」

「あのお2人の要望をにべもなく断ったら支障がありますので、お父様がとんでもない条件を出していました」


シルヴィーはラリマー宰相とジェイド総騎士団長の突撃に頭を抱えているのではなく、父親が出した条件に困っているらしい。


「とんでもない条件って」


ウィリアムを見てからシルヴィーが教えてくれた条件に、その場にいる3人は唖然とした。


シルヴィー曰く

これから入学する魔術学院では3年間トップ5をキープし、剣の腕前はシルヴィー同様イーリスを扱える様になる事。そして、魔力は最低80以上に成る。


「凄い条件だな」

「本当に。居たら見てみたいくらいです」


シルヴィーの返事に3人は、いや、目の前に居るんですが、と心の中でツッコミを入れているが誰も口にしない。


「ですが、シルヴィー様の能力を考えれば妥当な条件です」


ユーノの言葉にカインも頷いた。


「ラリマー宰相の嫡男様とジェイド総騎士団長の次男様が成れるかは分かりませんが、ロードライト伯爵様はその条件そのままの逸材です」

「お父様って凄い方だったんですね」


シルヴィーがあんぐりと口を開けて驚いていた。

お前もな、とウィリアムが思った事をカインは無言で頷いた。


「私も1人知っています」


ユーノがポツリと小さく呟いた。


「何方?」

「アサシンギルドのファーストと呼ばれていた者です」

「アサシンギルド?確か突然アサシンギルドが解体され、ファーストって呼ばれていた者は行方不明になった筈だ」


ウィリアムの情報の速さは並じゃない。

いまだ知らない者の方が多い事だ。


「はい。ギルド内でもアサシンが何故解体されたのかを疑問に思う者は多いですが、組織自体秘密が多いので調べようがありません」


ユーノはギルドマスターである為、ある程度は知っている可能性はあるが此処で話す必要はない、と判断したのだろう。彼女がそれ以上を話すとは思えなかった。


「行方不明になった人の事はこの際気にしないけど、あの2人の御子息の顔を私、知らないのですが……」


シルヴィーが困った様な顔をしているが、その目は別の事を示唆しているのをウィリアムは気が付いた。


「急いで知らなくても良いと思うけど。どうせ学園に入ったらわかる事だ」


2人ともウィリアムと同じ歳だからシルヴィーが学園に入学すれば顔を合わせるだろうし、あっちは是が非でもシルヴィーと接点を持つ様に動くだろう。


「そうですね。では、本日の報告は以上なので失礼を致します」

「あっ、シルヴィーはイザベルの事で話があるから残って」


カインが退室を申し出るとウィリアムはチラリとシルヴィーを見た。

言われたシルヴィーも渋々、と言った顔でソファに戻りカインとユーノが退室したのを確かめてからウィリアムに頷いた。


「これからの会話は全て他愛無い世間話に聞こえるようにしました」


シルヴィーの魔法が会話を誤魔化すなら突っ込んだ話をしても問題はない、と頷き硬い話し方をやめ、ざっくばらんに聞きたい事を口にした。


「確か、ジェフリーとルーファスって攻略キャラだよな。顔、知らない筈ないだろ」

「その筈なんですが、さっぱり思い出せないんです。イザベルを処刑する断罪に関係が無いからかも」


シルヴィーが首を捻っているが、彼らもゲームではイザベルを処刑はしないが、断罪するのだから全く関係が無いわけでも無い。


「学園で会えば思い出すかもな。で、攻略キャラは全部で何人?」

「ゲームの攻略キャラは全員で5名。殿下とラリマー宰相令息のジェフリー、ジェイド総騎士団長の次男のルーファスが主要キャラで……」

「後2人は?」

「アサシンのファーストと魔術教師のカインだったけど、アサシンギルドが解体された今、ファーストは攻略キャラから外れたし、カインも錬成士長になるので学園の教師に成る事は無いね」

「カインも攻略キャラだったのかよ。良く顔に出さなかったな」

「そこは必死に。初めて会った時なんか叫びそうになったけどね」


シルヴィーが一瞬遠い目をしたが、うーん、と言いながらウィリアムが少し考え込みながら口を開いた。


「カインのストーリーはなんとなく理解できるが、アサシンの方はどうやってヒロインと接点を持つんだ?」


学生が普通に学園に居たらまずアサシンとは接点が無い。


「そこはご都合主義の荒技で、ノーマルの方では悪役令嬢がヒロインを脅すために雇って、となってるけどハードの方は任務で怪我をしたファーストを助ける、になってた」

「どっちもありえないシチュエーションだ」

「非日常さが恋のきっかけの方がプレイヤーは萌えるでしょ」

「ま、それでもカイン達が対象外になったから、これで一応逆ハーは防げたって事か?」

「残念ながらまだよ。主要キャラの殿下達が絡む事でご褒美逆ハーと呼ばれているエンドがあったから」


あのゲームは攻略できたキャラ分のストーリーがあり、全員攻略成功が極上逆ハー、ウィリアムや宰相嫡男、騎士団長の次男を1人以上攻略失敗したものが大逆ハー、主要キャラの3人だけを堕としたものをご褒美逆ハーと呼んでいた。

そして全員の攻略に失敗した物は、ヒロインの断罪ざまぁエンドと呼んでいた。


後、調べたらボツネタがあったけど、これは関係ないかもしれないから頭の隅に追いやった。


「ん?でも俺が堕ちなきゃ大丈夫なんじゃないのか?」

「あっそうね。ジェフリーとルーファスが攻略されてもゲーム上ではイザベルは処刑されないし」

「俺はイザベルが断罪されても守るから、2人が攻略されても気にしないけど」


ウィリアムが楽観的な発言をすると仕事モードになったシルヴィーの口調が途端に硬くなった。


「ゲーム上では問題無いですが、現実では貴方の側近がごっそり削られるし、将来有望な子弟が没落するのは国として有益じゃありませんね」

「うーん、じゃあヒロインの断罪ざまぁエンドってどんな感じ?」


ウィリアムが序でに、という感じで聞くとシルヴィーはなんとも言えない顔でため息を吐いた。


「かなりまずい物です」


ノーマルでは高位貴族の令嬢達への侮辱発言の責任を取ってヒロインが修道院に送られてウィリアム達は婚約者達と結婚すると言う安直なエンドだが、ハードでは国際問題を匂わせる件がある。


「ヒロインは隣国の思惑でこの国の中枢を担う予定の若者達を籠絡しようとしていた事が明るみになり国際問題になりそうだった、と締め括られていたんです」

「俺とイザベルは?」

「無事濃厚なラブシーンを迎えますが、平穏無事な新婚生活を満喫出来るかは、微妙ですね」

「ひっでー」

「ヒロインが幸せになれないから、周りも幸せになるなって言う運営の嫌がらせですかね」


ゲームではそこまで詳しく設定されていないが、現実ではかなりまずい。


「そうなると一旦ゲームを忘れて、現実をどうにかする必要があるな」


ウィリアムが王族らしい発言をするとシルヴィーも頷いた。


「隣国の、としか書かれてませんが、実際この国に対してハニートラップを仕掛けようとする国は無い訳では無さそうですから」


そちらの方面は詳しく無いので王家に諜報部でも作って貰い、暗躍して貰いたいくらいだ。


「隣国の情報収集は影の仕事だから、そっちはどうにかするとして……」

「既に諜報部ってあるんですね」

「侯爵以上じゃなきゃ知らない事だけど、無きゃ国が傾くだろ。序でにヒロインも監視させるか」


サラッと国の機密事項を口にしながらウィリアムはゲームの方も潰しに掛かっている。

シルヴィーのスキル、どこまで盛れるかな?

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