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メールの送り主
電話を済ますと、祖父は深く何かを考え込み、そして口を開いた。
「…浩一くん、明子のこと、詳しくお医者様に聞いてきてはくれないか。」
どうやら父には聞かれたくないらしい。
「えっ、ですが…みんなで聞いた方が良いと思います!とりあえず、義母さんの調子が戻ってから…」
「お願いだ。」
父は祖父母から事情を聞こうとその場を立ち去ることを遠回しに拒否していたが、祖父の強い口調に負け、しぶしぶその場を立ち去った。
「なあじいちゃん、教えてくれよ、誰なんだよ赤羽って。」
「赤羽は…17年前、輝くんを誘拐して殺そうとした殺人犯だ…。」
「…はっ?」
俺はまるでドラマの様な展開にいよいよ理解が追いつかなくなった。
「えっ、誘拐…されたの?俺が?」
俺には全く心当たりが無かった。
「まだ3歳だった。覚えてないのも当たり前だ。」
「いや、えっ…本当なの…?」
「…ああ…。」
「まさか…」
まさか、そんなことある訳ない。
俺は再び乾いた笑みを浮かべた。