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第四章 謎の行方 ―リーナ編―

「エルウインド!」

リーナは風圧で巨大ウサギを吹き飛ばした。森に着いた途端出くわしたのだが、シヴァのような召喚獣ならともかく、そこらの魔物は自分達の敵ではない。さっさと倒してしまおう。

次の呪文の構えに移るリーナ。しかし、視界に入ってきた光とバキバキという音で手が止まる。何だろうと音のする方向に目を向けると、いつの間に起きたのか、寝ていたはずの友美が銃を天に向け引き金を引いていた。天に向かって放たれたレーザーは、友美の真上に飛び出ていた木の枝を折り彼女の頭に落としていた。

「うわーんっ。痛いよぉっ」

友美は泣き出した。彼女は一体何がしたかったのだろう。

「あのー、友美さん?何で空に銃を?」

到が慰めるでもなく聞く。子ども相手に冷たい奴だ。

「だって…徒競走で先生、こうやるもん。だから…」

「………」

返す言葉が見つからない。十一歳とはいえあまりにも子ども過ぎる思考ではないだろうか。

「友美さん、これはここを倒したい敵に向けて撃つんですよ。ほら、こういう風に…」

到が友美の手を取り、一緒に銃口を合わせる。

「へー、そうなんだっ!!うん、わかった。こうでしょ?」

友美がまたも勝手に引き金を引く。レーザーは今度は魔物と戦っている綾子の元へ逸れた。

「!!?」

叫ぶより先に思わず目をつぶってしまった。

ドシュッ。

鈍い音がした。レーザーの命中した音だ。綾子は!?無事!?

恐る恐る目を開けると、綾子は尻餅をついていた。どうやら怪我はないようだ。傷を負っていたのはむしろ魔物の方だった。友美の攻撃を受けたのだろう。綾子の隣でぐったりと横たわり、背中から血を流している。

「び、びっくりさせんなよ友美!!」

綾子は胸に手を当てた。ルシフェルに事の顛末を聞くと、綾子がレーザーに当たる直前絶妙のタイミングで、真由美がその魔物を綾子の方へ蹴り飛ばしたとのことだった。魔物は綾子と激突し、綾子も後方へ飛ばされた。そしてその直後、綾子の立っていた位置に押し出されたその魔物にレーザーが命中したというわけだ。

「ごっめーん、黒崎さん!私ちゃんと周り見てなくて…。次からは気をつけるから!」

どうやら狙ってやったわけではないらしい。

真由美は必死に謝っているが、そのお陰で命拾いをした綾子は怒るに怒れない。生返事をしたあと怒りの矛先を到に向けた。

「やっぱり友美に銃を持たせるのが間違いだったんだよ!!おまえが使った方が役に立つんだし、要は私らが友美を守れば済む話なんだからさ!」

「そうだよね。それに友美ってばピンチになるといきなし強くなるし」

真由美の言葉で皆の空気が変わった。

「そういえば、ノエルさんのやろうとしていることにも関係してるみたいだったよね。これ以上いても無意味とかって」

「ノエルと召喚獣…か。これで終わりって感じじゃねえな。なんかまだありそうな気がするぜ」

ルシフェルの呟きに答えるように、声がした。

「よくわかったわね。次の相手は私。雷獣ライラ。よろしくね」

――上だ。樹の太枝に座っている。紫の髪に黒い瞳の少女。彼女もノエルの手先なのか。

ライラは喜色満面で言った。

「私はシヴァみたいに手加減しないわ。せいぜい死なない程度にがんばってね」

そして地上に降りて呪文を発動させてきた。


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