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第十四回 鍛冶屋のオヤジ

「こんばんは〜、メインパーソナリティの魔王ちーす」


「同じくメインパーソナリティこと側近でーす」






「え、なに? 普通に始まってんですけど」


「どうしたの?」


「どうしたもこうしたもないですよ。いつも何かやらかす人が何にも起こさないで始まるってのはそれは嵐の前の静けさ」


「ふーん、そう。減俸10マンね」


「自覚あんなら治せや!」


「まあね、今日もこんな感じでユルくやっていきたいと思います」


「今日は初! 男性?ゲストです」


「なぜにクエスチョンマーク?」


「男性っつーか、まあ、初老ですね」


「野郎ども飲んでるかー!? 城付き鍛冶屋のドワーフじゃ!」


「すいません仕事中にアルコール飲酒すんのやめてもらえますか」


「すいませんオヤジはいつもこうなんで」







「えー、文字しか見えない皆さんに説明しますと今までヒゲが胸元ぐらいまで蓄えられたおっさんを相手にラジオしてたと思ったらいつの間にか同い年くらいの美少女に変わってました。入れ替わりとかそんなチャチなもんじゃ(ry」


「いえいえチャチなもんですよ。幻覚系でそういう風に見せてただけですから」


(魔界でTOP5に入る側近ちゃんを騙せる時点でナニモンなんだよ…)


「え?え? いつもの鍛冶屋のおじさんどうしたんですか?」


「飲み屋で飲み過ぎて寝てたんで呼ばれました。代行呼んでオカン召喚しました」


「ご愁傷サマ…」


「まーた飲んでたんかオヤジ。まあいいや、取り敢えずラジオ恒例の職業内容の紹介行ってくれる?」


「はい。城付きの鍛冶屋は戦争時代のときと違って今は鍛冶屋ってより研ぎ師です。もちろん鍛冶もしますが、大幅な予算の削減食らって新作はめっぽう減りました。今は城内における刃物やその他工具の手入れがメインです」


「…なんかごめんね? 俺が魔王になったばっかりに」


「いえいえ、戦争だからってホイホイ財布の紐緩めてたほうがおかしかったんですよ」








「え、誰?」


「城下町で金物屋やってるオヤジの娘さんだよ」


「…一般人じゃん?」


「酔い潰れたオヤジの代わりです」


「初の軍人じゃないメイドでもないゲストなのに本人いないとは」


「オヤジは飲兵衛だからしゃーない」


「すいませんなんならもっと暴露していいですから」


「は?」


「アイツ競馬で200マン借金してんぜ」


「…すいませんそれちょっと初耳ですね」


「魔王さまそういうマジで言っちゃいけない系の暴露やめて」


「いや…、そうは言うけど言っちゃいけないことだから暴露するもんじゃないの? 最近のユーチューバーとか皆そんなんじゃん。人のプライバシー暴露してんじゃん。人のプライバシー侵害しないと飯食っていけない系ユーチューバー」


「そりゃまあそうですけどそういうこと言うとめんどくさい人達なんで抑えて」


「じゃあ鍛冶屋のオヤジ限定でな」


「まあそれなら」


「ちょちょちょ待って! 待ってください!」


「どしたどしたァ!」


「ピンク色の道着の人みたいな合いの手いらないですから。何でお二人ともオヤジの秘密知ってるんですか?!」


「真面目にお話しますと、現在魔界では軍隊も城付きも特別職国家公務員なので何か有ればすぐ上に話が来るんです。…借金すると在籍確認の電話くるんで知ってる人にはバレますよ」


「俺は本人から聞いたけどな。誰にも言うなよ?!誰にも言うなよ?!小遣い減らされるからな!って」


「家に帰るのやだなあ…」


「酔い潰れた上に借金200万の顔見ないといけないですからね」


「それもあるんですけどお母さんが恐いから」


「そりゃあ気まずいね」


「魔王さまのせいだって」


「おまけにバツイチでそっちの子どももいて前の奥さんから養育費払ってもらえないんですけどどうしたらいいですかって相談あったな、そういや」


「ちょおおおおおおい!!!」


「ナニソレ」


「城には俺直通の意見箱っつーか半分お悩み相談室みたいになってんのがあるんだけどさ。ある日鍛冶屋のオヤジの前の奥さんって投稿者の名前が入ってたからね?ちょーっと暇を見て調べて突撃隣の晩御飯してみたのよ」


「でマジだったと」


「しゃーないから俺の小遣いで補填してやったけども、今でも払ってないわ秘密にしてるわらしいな」


「…………」


「ハイ次っ! 次行きましょう次っ」


「いやいや待てよ面白いのはこっからで実は」


「次って言ってんだろ!」


「えー?次ー? じゃあ実は鍛冶屋のオヤジ、実は無精シ病なんだよね。どんだけ頑張っても無理っすねって城付きの産業医が言ってたわ」


「えっと、あの、うち兄さんと私とお母さんとオヤジの四人家族でですね、頑張ってオヤジの後継ぎになって腕利きの鍛治師になろうって、そ、それでです、ねっ? だから毎日頑張って…だから…だって…」


「ゲスト泣かしたので魔王さま今日は発言禁止で」


「いやだって暴露って言うから」


「ええい!いいからだまらっしゃい!」


「うぃー」


「うぅっ…ぐすっ」


「(魔王さま黙らしたのはいいけどどうようこれ)」


「だから鍛冶屋のオヤジは断腸の思いって言ってたぜ。自分が至らんばっかりによそから種貰ってこないといけないし、嫁にそれを産ませて育ててもらわなきゃいけない。もちろん子どもは可愛いし自分の子どもだと言えるけど、血のつながりがないってバレたときどうしたらいいのか分からんって酔っ払ったとき泣いてたわ。俺がこんなことにさえならなければ、俺にオヤジの資格あんのかって」


「あのさあ! 魔王さまさあ! そういう大事なことは最初に言おうよ! ねえ!」


「オヤジィィィィィうぇぇぇぇぇぇん!!!」


「だって黙ってろ言うから」


「いやだからもっと前に言えっていう!!!」


「下げてから上げるの大事よ?」


「そうじゃなくって…そうじゃなくって…、はあ、もういいや」


「でも競馬でやらかして200マン借金してるっていう」


「下げんなよ! そこで上げたままにしとけと小一時間!!!!」


「じゃあ真面目な話する? オヤジの人徳の話とか」


「オヤジに人徳…?」


「すいませんそこは娘さんなんで疑うことなく聞いてあげてください」


「これまた側近ちゃんも知らん話でね。城の女性陣がクーデター起こして主権は王族のままでいいから男どもを城から追い出した頃のやつ」


「ああー、私もクーデターの後に来たのでその前のことは噂くらいでしか知らないですね」


「当時鍛冶屋のオヤジもリストラの対象だったんだけどそれストップ掛けたの今のメイド隊なんだよね」


「ひぃ! オヤジがリストラ対象だった…?!」


「あのオヤジ隠し事多すぎません?」


「まあ家族に心配掛けたくなかったんだろ。でな、メイド隊曰く『他に代わりのいない職人は留まってもらうしかない』ってんだけど、食堂で使う刃物やフォークやスプーンからなんでもかんでも面倒みてたのが当時見習いだった鍛冶屋のオヤジなんだっとさ」


「…家の包丁研いでるの、オヤジ…」


「野郎どもばっかだった頃はそんなもん職人がするこっちゃねえから城下町の研ぎ屋にでも持ってけ!ってメイド隊は帰されたらしいんだけど、それをひそかに手入れしててな、メイド連中には道具で困った時の駆け込み寺状態だったのさ。それを見ててオヤジのリストラにストップ掛けたのが当時のメイド隊の隊長で前の奥さんよ」


「はい?!」


「前の奥さんが相談してきたのは養育費の免除だったんだなこれが。払ってもらえてないってことはあの人の負担になってるんじゃないのかっていう。まっ、特別職国家公務員には国民の手本であれって職務規定は一応あるから?一人だけお咎め無しにも出来なくって俺の財布から出したんだけども?」


「最初から全部話さない?魔王さま」


「前の奥さん、オヤジには言ってないけどオヤジの病気のこと知ってたんだよ。どうやったんか知らんけど子ども産まれる前に検体二つ取っDNA鑑定行ったんだと。で結果はそれとして、前の奥さん浮気もしてない、生活態度も品行方正。じゃあどうやって妊娠?ってなってまあ今は検体あればそこから細胞培養でちょちょいのちょいですから?」


「どうやって知ったんですかね…」


「さぁー? そこまで聞かんかった」


「あの…」


「はいはいなんでしょう」


「いやなんでしょうじゃなくてですね、ここのラジオはゲスだけどおちゃらけてて軽いから楽でいいって評判だったんですけど全然違うじゃないですか! なんか別の話!」


「あらすいません。ゲストさんにそこを言われてしまうとは」


「じゃあスリーサイズ教えて!」


ゴキャ!


側近の こうげき !


魔王は くびが ねじれてしまった!

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