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第十二回 食堂のおばちゃん2

「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーん! メインパーソナリティの魔王でーす!」


「うざ…、同じくメインパーソナリティ側近でーす」


「うざって何ようざって」


「いやテンション高すぎてついていけないなと」


「まあー、普段やる気ないからね」


「言い切ったわこの人」


「今まで説明ないけどこのラジオ深夜に生放送だからね?収録じゃないからね」


「これがアニメだったら本編の直後にラジオロケとかあるけどそんなことないですからね。そんな深夜勤にテンションとか上がらないですから」


「いいじゃん側近ちゃんは給料出るんだから。魔王は出ねーのよ?」


「魔王さまお小遣いですもんね、草」


「草生やしてる場合じゃないんだよなあ」


「そんなこんなでもう十一回目ですよ」


「思いつきで始めたにしてはよう続いてるわ」


「前置き長すぎるわ! 今日は先週に引き続き食堂のおばちゃんこと料理長に来てもらってまーす」


「皆さんこんばんは」


「なして二週またぎ?」


「お前だよお前」


「え俺?」


「先週の放送でやった『魔王さまには嫌いなものが極端に少なくてなんでもよく食べる』って話に嘘があると通報が来たんですよ!」


「いや嘘なんかついてねーよ!むしろ好きなものの方が多くて偏食って医者に言われてんだぞ」


「それはそれでどうなの」


「健康診断引っかかって再検査になったわ草」


「それこそ草生やしてる場合じゃないですね」


「通報…ということは魔王さまに嫌いなもの…ということですか?」


「そうなんですよ!」


「あの…失礼ですが魔王さまの嫌いなものは私も把握しておりますので通報されるほどの嫌いなものはないかと…」


「ええ?」


「ぶっちゃけ俺も心当たりないなあ。セロリとか嫌いだけどコンソメスープで柔らかくなってたら食えるし、パセリとかは飾りだからもう食い物でない感じだし」


「えええ? でも手元の葉書には『魔王さまが卵を避けていた。青魚を箸も付けずに残した!』ってあるんですけど」


「ああ、アレルギーな」


「アレルギー? 魔王さまが食物アレルギー? 毒キノコ食べても食あたりにもならない人がアレルギー?」


「物凄いバカにされてる気がする」


「魔王さまは生まれつき食物アレルギーがあります。これは公式プロフィールにも載せていることなので、通報した城仕えは偶然知らなかったのでしょう」


「自分の会社の社長のプロフィールとか絶対見ないよね。ましてや好き嫌いとかアレルギーとか知らんがなっていう」


「食物アレルギーって要はアナフェラキシーショックですよね?」


「いや知らんけど」


「本人が知らんのかーい!!!」


「アナフィラキシーショックですね」


「アナフェラキシー」


「アナフィラキシー」


「言いづら!」


「食物アレルギーによるアナフィラキシーショックは比較的短時間で起こります。これは個人差によりますが、たいていがその場から24時間以内、つまりアレルギー反応を起こす食物を摂取してから完全に消化され体内に巡るまでのことです」


「へぇ〜へぇ〜へぇ〜」


「まーた懐かしいネタを」


「好き嫌いというのは個人の味覚の差ですが、アレルギー食物は体質の差ですね」


「体質の差?」


「はい、個人の味覚が微妙に違うように体質もみな微妙に違うのです」


「で、それを食べるとどうなるんです?」


「最悪死にます」


「あかんやん!」


「まーたいていは間違って食ったって話なんだけどな」


「間違って死んでたまるか!」


「だしょ? だからみんな死ぬほど気をつけるんだよ。俺みたいにたまたまその日嫌な感じがしたってだけでも避けるんだよ」


「人によって一口で致死量になる方、キャパシティが決まっている方、症状も違う方などそれぞれです。好き嫌いと違って食べたら死に到る点が最も大きな点です」


「ちなみに俺はたまご、うずらの卵、青魚ね。キャパ超えない程度には食べてないといけないけどキャパ超えたら下手すっと死ぬっていう。食べない期間がしばらく続いてから突然食べたりしても下手すっと死ぬっていう」


「めんどっ」


「はい、大変めんどうだと思います。キャパシティの容量、症状の状況もその人の体質によってなので一概にどうと言うことが出来ません。なので何も知らない他人から見るとただの好き嫌いに見えるかもしれません」


ちなみに作者も食物アレルギーを持ってます。全身の腫れと蕁麻疹が出ました。病院に行ったら「バカかお前」みたいな呆れたリアクションされました。賞味期限が1週間切れたうずらの卵食べたんです。アレルギー持ちは腹痛にならない代わりに死にかけることがあります。全身が真っ赤っかに腫れて蕁麻疹でした。蕁麻疹が気道塞いでたら死んでましたね。その時キャパ超えてないから1週間くらい大丈夫でしょって思って食べたんですよ。駄目でした草。


「一口で死に至る、もしくは重症に至る方の場合はその場で救急車を呼んでください。1秒でも早く治療しないと救急車が到着する前に心停止を起こしても不思議ではありません」


「ひぇっ…」


「側近ちゃんはアレルギー無いんだっけ? 良かったね」


「良かったですね…。好きな食べ物がアレルギーの人もいるんですよね?そうなると」


「はい、もちろんです。年末年始にありがちなことは『甲殻類アレルギーなのに無理矢理食べさせられた』ということで通報される方がいます。あまり知られていませんがら魔界ではその場合、殺人もしくは殺人未遂、殺人教唆で逮捕起訴されます。現行犯逮捕です。逮捕起訴された場合は懲役20年、もしくは罰金2000万円、悪質な場合は禁固刑50年、殺人が複数に至った場合は死刑です」


「マジ?!」


「マジも大マジ、大真面目だよ。俺が魔王になって初めて作った法律だからな」


「魔王さまが初めて作った法律…? あぁー、なんか覚えてるかも。エラい数の苦情が飛んできててアホくさって苦情スルーしたやつだわ」


「料理長としてはありがたいです。未だにアレルギーを好き嫌いと思い込んで信じている方はいます。目の前で死ぬか逮捕されるかしないと分からない人達です」


「おかげで小さい頃はいい加減バカにされたもんだよ。俺の場合1週間に食える量が決まっているのに無理矢理口に突っ込んでくるバカがいたよ」


「どうなるんです?」


「ボコボコにして磔にした」


「きっつ」


「ったりめーだろ!こっちは殺されかけたんだ! 殺されかけた方からしてみたら同じ目に合わせてやらないと気が済まねえわ!」


「ちなみにこのパターンの魔王さまには正当防衛が適用それます」


「えぇー?」


「やり返して間違って死んでも過剰防衛で懲役10年、模範囚なら半分で刑務所出て来れるぞ」


「結局どうなったんです?それ」


「魔王の息子を殺しかけたってことで一族郎党滅ぼした」


「なんか初めて魔界らしい魔界らしさを聞いた気がしますね」


「魔界=殺伐のようなイメージは昔の話です」


「とまあ、そんな感じだからお葉書の俺に好き嫌いの話は嘘説ってのはこんな感じだな」


「年末年始に通報来るってなんなんです?」


「カニだよカニ。俺は甲殻類アレルギーは持ってないから食えるけど」


「ああー」


「年末にカニを食べ、年始のおせちにエビが入ってたり…。魔界の一年で最もアレルギーによるアナフィラキシーショックの通報が増える瞬間です。私も医師の資格を持っているので毎年年末年始には応援に行っています」


「聖人や…、聖人がここにおる…」


「ちなみに俺も駆り出されることがある。人間の症状と同じ症状でも取り敢えず死んでなきゃ魔力突っ込んでどうにかなることがあるから」


「歩く天然魔力油田」


「キミ料理長のときとリアクション違わない?」

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