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プロローグ:計画前進

三章スタートです!

 

「むぅ……」


 ──グイッ。


 ジト目の雪風が、無言で迫ってくる。

 四つん這いになって──まるでこの街に溶け込むかのような──女豹のポーズになって……。

 こちらを、虎視眈々(こしたんたん)と狙っているようだ。


「…………」


 浴衣の胸元は、そんなポーズをしたせいで大きく開いており、俺はそっと二つの小さな膨らみから目を逸らした。

 すると、雪風はさらに不機嫌そうになって、「うーーー」と唸りながらさらに一歩近づいて来た。


「…………シンは、雪風じゃ駄目なんです?」

「い、いや……そういうわけじゃなくて……」

「じゃあ、なんで目を逸らしたのですか? さっきまで、あんなにチラチラ見てたのに……」

「それは……その…………てかバレたのか……」


 雪風の胸元に意識が行っていたのも、獣人という種族の発育の良さに驚いていたのも、俺に否定することはできない。

 だが、だからと言って、直に見たい訳ではない。ああ、いや、見たいかで言えば見たいからそれともまた違うか。


 この……見たいけど、実際目にすると目を逸らしてしまう感覚……言葉にするのは難しい。


 しかしそんなことよりもだ、気になること……ずばり、雪風は俺を誘っているのだろうか?

 部屋に二人きり、一組の布団の上で、こうして扇情的なポーズを取って俺を上目遣いで見つめる。

 さっきの発言からして、無自覚という訳ではなさそうだし。

 こ、これはもう、そういうことだよな?


「な、なぁ……お前、意味分かってのか?」

「……意味……です?」

「ああ。男と二人っきりで、こうして相手を興奮させて……無理……してるとかじゃないよな?」

「…………」


 ズイッと、さらに近づいてくる雪風。

 もう、俺の上に乗りそうな勢いだ。

 だけど、それでも雪風は止まらない。

 俺が布団の上に寝そべり、その上に雪風が覆い被さるような体勢で、俺たちの視線が交わり合う。

 長い髪が重力に負けてさらりと垂れ、俺の頬をくすぐった。

 そして…………


「…………ニャ、ニャーン…………です」

「……………………はい?」


 突然。

 ピョコッと、雪風の頭に猫耳が生えた。

 呆気に取られる俺。


「エ、エミリアに聞いたのですっ! シンは……その、じ、獣人が好きだと……」

「否定はしないけど、どういうこと?」

「ですから……そ、そのっ……」


 真っ赤になった雪風は、ギュッと堅く口を閉じてしまう。

 だが、それと同時に、俺の足にさわさわとした感覚が……。

 まるで、ふさふさの猫じゃらしで足を撫でられているような……。


「ね、猫に……なってみたのです……!」

「なんで!?」


 精霊だからそれくらいは簡単にできるだろうけど、わざわざ猫になって俺に見せる理由が分からない。


「なんでって……し、シンは本当に鈍いですね……」

「…………まさか、俺は獣人を見ると所構わず尻尾をもふもふすると思われているのか……!?」

「ま、まあ、それもなくはないですが……」


 まじかよ。思われてんのかよ。

 今のは冗談のつもりだったんだぞ。


「ああっ、もういいです! ゆ、雪風の気持ちなんてあなたは知らないんでしょうから!」


 雪風は、そうヤケクソ気味に言って俺の上から降りた。

 部屋の隅で本物の猫のように丸まり、「シンのバカ……」と俺を罵倒しながら、尻尾をブラシで()いている。


「分かんねぇ……」


 正直、何がどうなっているのかはまったく、皆目検討もつかないが……。

 まぁでも、俺が秘密裏に進める世界猫系獣人化計画(白紙になりそう)に、変身という新たな光が見えたのは確かだ。

 精霊……メモっとこ。


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