夜明け
人物紹介と言っていましたが、エピローグになりました。
──これは、夢だ。そう、即座に理解した。
プカプカと浮かぶ私の視線の先に、あの日の光景が。
そう、小さな私が、懐かしい女の人に読み聞かせてもらっていた。
「そして、その小さな精霊は……真っ白だった自分を黒く塗り潰していた可哀想な精霊は……」
「精霊は?」
「ふふ、さて、どうなったのかしらね。ごめんなさい、これ以上は駄目なの、ティー。私に、この先を読むことはできないの」
「? どーして? ここから先が、綺麗なページになってるから?」
「…………そう、ね。綺麗、ね……。ティー、あなたには、これが綺麗に見えるのね。それは……それはとっても幸せなことよ、ティー」
「??」
「いい? 私が今から言うことを、よく覚えておいてちょうだい?」
「……う、うんっ」
「ふふっ、いい子ね。この本は、本当はここにあってはいけない物なの。本当は、世界の果てにある、本がイーッパイある場所にあるはずなの」
「世界の……果て? でも、ここは丸いんだよ? 私知ってるもん!」
「ええ……。その場所は、存在していて存在していない、そんな所にあるの。すぐ隣にもあって、しかもとっても遠い場所に」
「んー? 私のとなりにもあるの?」
「ええ、そうよ。すぐ横にあるのに、誰も気が付かない。とっても遠いから、誰も見つけられない。そんな場所なの」
「??? むずかしくてよくわかんない……」
「今は、それで良いのよ。いずれ、あなたはこの場所に行くことになるわ。そこで、あなたはきっと辛い目に遭う。でも、忘れないでね」
その言葉を聞いた瞬間、私の身体は浮き上がっていく。
下の方では、小さな私と懐かしい女の人が、楽しそうに話していた。
──待って!
そう叫んだ声は、彼女たちに聞こえるはずもない。
伸ばした手は、虚空を掴むのみ。
──待って! 待ってよ!
『私を……雪風を置いてかないでです! おかーさん!』
「あなたは一人じゃない。図書館と同じよ、すぐ隣にいて、気付かないだけ。見えているのに、それが何か分からないだけ」
『────ッ』
────
────────
「────ッ」
ハッと、少女は目を開けた。
まだ重たい瞼を擦って、ゆっくりと身体を起こした。
カーテンを開けて窓の外を見ると、まだ夜は明けていない。
「…………ぁ────」
突然、空が白くなった。
一瞬だけ、緑がかった、綺麗な、なんとも言えない不思議で神秘的な色に世界が色づく。
まるで、空自身がどんな空模様にすれば良いのか迷っているようだ。そんな、不安定で綺麗な色。
「…………夜が、明けたのです」
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これにて二章は完結、三章に入っていきます




