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十一話:完勝

研究論文を書いていて、投稿できませんでした……! すみません!

(ちなみにまだ終わってない模様)

 

「すげぇ……見た目は子供なのに、悪魔の大群に一歩も引いてない……」

「エストロ殿は知っていたけど、なんなんだよ他の三人は……!」

「遠征に行ってる騎士長たちとどっちが強いんだ……?」


 帝国軍は目の前で起きていることが信じられないようで、驚きの言葉が口から漏れ出ていることにも気が付いていないようだ。


 敵を足場にして空を飛び回り、敵を斬り付けるエストロ先輩。

 龍人の姿になり、ブレスで集団を焼き殺し、拳でまとめて吹き飛ばすキラ。

 正確無比な射撃で敵を撃ち落とし、後ろから二人の援護をするメア。

 そして三人に的確な指示を出しながら、回復魔法で支援もするスーピル。


 まぁ確かに、初めてとは思えない四人の連携力の高さだ。


 というか騎士長は遠征に行ってるのか。めちゃくちゃ強いって聞くから一度会いたかったんだが……まぁ、帝国の危機だし、すぐに戻ってくるとは思うけどな。

 あ、アーサーの方針である守りを固めるってのはそういうことか。騎士長とかが戻ってくるまで耐え切れば、あとは帝国の精鋭たちがどうにかしてくれるってことか。


 ……うんやっぱり、この調子なら耐え切ることはできそうだな。


「エストロ先輩とキラ先生の強さは知っていたが、あの二人も同等に強いな。……王国の切り札か?」


 と、アーサーがそんなことを聞いてきた。

 本人に王国の軍事事情を探る気はないのだろうが、一歩間違えれば誤解されそうな言葉だ。


「……いや、切り札じゃないよ。スーピルは引きこもりで体力がないし、メアはそもそも戦闘要員じゃないしね」

「スーピルさんは軍師だろうが、メアさんはあれで戦闘要員じゃないのか……?」


 あれ、と言うのは、的確に頭部を撃ち抜いているメアの射撃技術のことだろう。

 エストロ先輩とキラ先生の援護だけじゃ、さすがに撃ち漏らしがある。それをメアは的確に撃ち抜き、空から落とすのだ。

 有名なガーゴイルや翼を持った下級悪魔たちは、地面に頭から落ちてそのまま死ぬか、気絶している。

 ちなみに先頭を飛んでいたサキュバスは嫌な予感を感じたのか参戦せず、さらに上空に浮かんで、考えなしに突っ込んで返り討ちに遭っているガーゴイルを冷ややかな目で見ている。

 ……やっぱ性格って重要だわ……。見た目可愛かったり美人で、しかもエロい格好をしているのに、少しも好きになれない。


「でもエミリアが真っ先に俺を助けようとするのは、なんだかなぁ……」

「……なんの話だい?」

「エミリアが優しいって話」

「どんな思考でその結論に至ったんだ……。しかしメアさんは一体何者なんだい? 帝国軍にも銃器を専門に扱う者はいるが、同等以上の技術力があるぞ……?」

「本人曰く、試し撃ちしてたら上手くなったんだってさ。実際にそんなことがあり得るのかは知らない。それと…………」


 俺はメアの方を指差した。

 そちらでは、メアが危険だと気が付いた下級悪魔がメアに群がっており、メアが一見危なそうに見える。

 だが心配する人は少なかった。

 それは、囲まれたと知った瞬間にメアが空に向けて発泡するのを止め、腰元に手を当てたからだ。


「メアの強さは、それだけじゃない」


 俺が言うと同時、メアが飛び上がり、下級悪魔を蹴り飛ばしたりしながら、足に付けていたホルダーからいくつかの部品を抜き取る。

 ものの数秒で、メアの手にはサブマシンガンが構えられていた。

 魔法は得意じゃないメアだが、代わりに魔道具の起動が人よりも圧倒的に速い。その力を生かして、メアは戦闘中でも部品から武器を作ることができるのだ。

 普段は空を飛んでいるはずの下級悪魔たちが地面にいて、普段は地面を歩くメアが空でサブマシンガンの銃口を悪魔たちに向けている、少し異様な光景。

 そして…………


「全滅……」


 途中、メアに「おまえたちのせいでぇぇ!!」とか言われながら発泡されたことで逃げたサキュバスを除けば、悪魔の軍は文字通りの全滅だった。

 逃げることができた悪魔は、一人もいない。


「お疲れ、メア、頑張ったな」

「別に……おまえのためじゃないし……。でも、ありがと……」


 悪魔たちの死体に手を合わせていたメアが戻ってきたので労うと、可愛げのないことを言ってくるが、それも照れ隠しだというのがバレバレだ。


「…………」


 黙ったままだが、ちょっとだけ近づいて来た。

 これはあれか? もうちょっと欲しいって意味か? それなら仕方ない。


「偉いぞ、メア。メアは本当になんでもできるな〜」

「こ、子供扱いするな!」


 ありゃ、頭を撫でてみたのだが怒られてしまった。

 メアはブツクサ文句を言っていたが、一通り言い終わると、頭に手を当てて、もう一度頬を赤く染めさせた。

 なんか可愛い。

 と、慣れてないことをされて恥ずかしがっているメアを見てニヤニヤしていると、戻ってきたエストロ先輩が苦笑して、おやすみ


「ふふ、お前たちは隙さえあればイチャつくのだな。妬けてしまうではないか」

「なっ! そ、そんなことしてないだろ!」

「そうかなー、私はコーヒー飲みたくなったけど」

「? 飲みたいなら飲めば良いじゃねえか」

「あれ? 知らない? イチャイチャしてると、それだけで甘いから苦いものが食べたくなるんだよ?」

「そういうものなのか?」

「まあ、そうだな……。惚気が始まると、コーヒーに砂糖入れなかったりするな」

「へー……そういうのが……ん?」


 何かに気が付いたような表情をするメア。

 なんだ?

 誰かがイチャイチャし始めた時の空気の甘さを測定する機械でも思いついたか?


「じゃああの時雪風が砂糖入れなかったのって……! お、おいシン! 雪風に合わせてくれ! 誤解を解く!」

「へっ、いや、そう言われても……今寝てるから……」


 雪風は最近体調が悪いことが多いらしく、よく俺の中で眠っている。

 とても心配だが、スーピル曰く身体の問題はないらしい。

 だから雪風を起こすことはできないと思ったのだが、


「いや、起きているのです」

「雪風!? 寝なくて大丈夫なのか?」


 なんと雪風の方から、俺の身体から出てきた。

 俺が慌てて雪風に聞くと、


「正直言うと、大丈夫じゃないのです。でも、感じるのですよ……正神教徒の気配を」


 厳しい表情をして、虚空を睨む雪風。

 次の瞬間、


「へー、さすがは殺戮兵器。いや、殺戮マシーンだっけか? ま、どっちでも良いか。中々の感度だな。空間を繋げる前から、気が付くとは」


 突如として空間に裂け目が現れ、中から一人の男と一人の女が出てきた。


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