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血を啜り咲き誇る華  作者: ロッカー
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初めからハードモード

拝啓

前世の家族の皆様いかがお過ごしでしょうか。

こちらは戦国乱世のようで、とうとう初陣を迎えることになりました。

敵国の電撃侵攻に対抗するため援軍を率いて参戦するためにです。

お願いです、助けてください。

敬具


目の前には行軍する兵士たち、すぐそばには副官となる男。

徐々に下がっていくテンション。


なぜこんなことになってしまったのかと思う



今より太古の昔、大陸はセルモント皇国という一つの巨大国家によって統治さえていた。

しかし、その国家も必衰の理に勝てずとうとう滅びを迎えた。

巨大国家の滅びは世に戦乱を呼び、多くの国が興り、多くの国が滅ぼされていった。


5000年という長い時を経ても未だに大陸には平和は訪れていない。いくつもあった国の多くは滅び、今は複数の大国に分かれて治められることによってある程度は落ち着いた。

国境が大河や山脈といった自然のものが多くなり、国境が少し動くことがあってもすぐ元に戻るという泥沼の状態であった。



そんな時代に前世の記憶を持って生まれたのが俺ことトリスタン・カランコエである。

このカランコエ家は昔、王家であったようで、戦乱のなかでつぶされ、併合された過去をもつ特に珍しくもない家系である。

元王家ということもあり、ある程度の敬意は払われてはいるようで、今服属している国では辺境伯の爵位を認められている。



カランコエ家が属しているこの国カラミア国といい、大陸の東部にあり、国土面積は中から小の間といった具合である。

カラミア国は大陸でも三指に入るであろう大国である帝国と領地を接しているため、国力を上げること、支配範囲の拡大が急務であった。

支配地域の拡大事態は近隣の弱小国を複数の国を取り込むことで成功を収めた。


しかし、国土の拡大を優先しすぎたあまり、帝国の侵攻を撃退するときは必ず兵を出すということ以外には強い命令を下すことができないという領主の連合国家に近い国になってしまった。

歴代王は王の力を強化し、中央集権化をたくらみ続けたが、未だに成果は上がっていない。



で、今の状況に戻ると、簡単にいうとよくある隣国からの侵攻である。

しかし、過去にないほどの勢いで侵攻されてしまったため、完全に後手に回ってしまっている。

不幸中の幸いといっていいのか、最終防衛拠点であるアルタイ要塞は抜かれずに保持できている。

ここでの俺の役割は侵攻を食い止めている父のもとに援軍を届け、後詰の軍が来るまで要塞を持たせることである。







要塞まであと二日というところまで来た。

伝令によると度重なる攻勢にさらされているが、そのたびに撃退できているらしい。


「ふぅ」


このまま要塞に入れれば、万全の態勢で後詰を向かい入れることができるだろう。



「若、まだ戦場に辿りついてもいないのにそれでは困りますな。」


「バーナード、そうはいっても初陣がこんな形になったんだ。

緊張してしまうのはしかたのないことだろう。」


副官の男、バーナードはそんなことをいいながら笑っていた。

そんな彼に返事をしながら俺は苦笑するしかなかった。



バーナードは俺にとって傅役といってもいい男だ。

正直言って彼が隣にいるというだけでありがたい。

本人に言うと調子に乗るから絶対に言わないが。



「都より伝令!ガジュマル帝国、挙兵したとのこと!」


「なに!?なってこった...

 これでは後詰が来ないではないか!」

 

思わず伝令を運んできた者をつかんでしまった。


ガジュマル帝国とは国境を接する大国のことであり、この国では帝国に抵抗するための軍事行動があらゆることより優先される。

そんなわけで今侵攻を受けている辺境伯の指揮下にいない軍はすべて帝国に対抗するために動き出すことになる。


後詰ができない詫びのつもりか、逆侵攻ができた場合は得た領地は切り取り次第勝手となっており、たまに急成長する家が存在する。

逆に目がくらんで逆侵攻時に逆襲にあい没落する家も存在する。



「バーナード、初陣で詰みかけだな。

 さて、このまま要塞に籠城したところで後詰がなければ、そう遠くないうちに落とされ

 るだろう。

 何かよき策はないか?」


「あまり勧めたくはありませんが、少数が多数に勝つ方法などそう多くありません。

 奇襲くらいしかありますまい」


「だよなぁ」

(前世の記憶を活用するなら、桶狭間、川越夜戦か一乗谷だが...

 とんでもない崖なんてないし、そもそもそんなことできる馬術なんぞない。

 となると夜襲か朝駆けだな)



「バーナード、この援軍は敵の偵察にすでに見つかっていると思うか?」


「おそらく見つかっているでしょう。

 籠城が勝つには援軍が来ることが前提です。

 その援軍がいつ来るかは敵にとっても重大なことですから。」


「そうかぁ 

 よし決めたぞ。

 今日はこのまま進軍する。」


「若!?これからいかがするつもりで!?」


「まぁ、任せろ。

 俺にいい考えがある。」

(正直もうどしようもないだろうから、当たって砕けるか)

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