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人間様のお仕事帳~冷たい恋心~

作者: 藤色

 好き。好き。好き。

 あんなに素敵な人、初めて会ったわ。

 ほしい、ほしいな、あの人。私のものにしちゃいたい。

 ああ、私にはあの人だけなのに、あの人には私以外もいるのね。

 だめよ。私だけを見て。

 そして、私たちだけの世界でずーっと一緒にいましょうね。




「じゃあね、まさとくん! また明日!」

「ああ、朱美も気をつけて帰れよ」

「ふふ。心配性だね。大丈夫だよ」


 改札前で手を振る朱美に手を振り返して、ホームへと降りる。丁度よくやってきた電車に乗ってスマホを起動すると、朱美からLINEが来ていた。なんてことない文だったけど、俺は思わず頬が緩んだ。


 気持ち悪いと言うことなかれ。なにせ俺と朱美は付き合い始めてまだ一週間なのだ。

 しかも朱美は学校でも美少女と名高い。平々凡々な俺が告白された一週間前は学校が軽くパニックになったくらいだ。

 さすがに嘘だと思った俺は「罰ゲーム?」などと聞いてしまったのだ。今思えば、精一杯告白してきた相手に最低だな、俺。

 だが朱美はそんな俺の発言を許し、「じゃあまさとくんが信じられるまで何回も言うよ。これと決めたら熱心にやり遂げる姿を素敵だと思っていました。私と付き合ってください」と二度目の告白までしてくれたのだ。

 ここで受けねば男じゃない! と覚悟を決めた俺がそれを受けて、晴れて俺たちは恋人になった。

 今までの人生で一番幸せな日だった。


 が、幸せと同時に不幸にも見舞われた。

 幸せの絶頂で家に帰ったその日、父親が凍った路面でスリップし、事故を起こしたのだ。幸い大きな怪我はなかったが、心臓が凍るかと思った。

 さらに二日後、今度は母親が雪かきの最中に屋根から雪が落ちてきて、危うく死ぬところだった。

 たまたま通りかかった人が母親が雪に埋もれるシーンを見ていたため、助かった。

 そしてその三日後は、修学旅行に行っている姉がスキーの最中に雪崩に巻き込まれたと電話があった。天気は良好だったから、すぐにレスキュー隊が捜索し、事無きことを得た。


 俺が朱美と付き合ったから、神が罰を下してるのか?


 本気でそう考えるくらいには家族が立て続けに事故に遭ったことにショックを受けていた。


 今日は入院していた父さんが帰ってくる日だ。こんなに家に帰るのが楽しみなのは久々かもしれない。


「ただいま! 父さん、おかえり!」

「おう、おかえり。んで、ただいま」


 父さんがいることがなんだか嬉しくて小さく笑う。


「ああ、そうだ。今母さんと話し合ってたんだが、お祓いに行かないか」

「お祓い?」

「最近、立て続けに不幸があっただろ? 母さんもあゆみも危ない目にあった。なんだか呪われているみたいで不気味でな。お祓いを受けようと思うんだ」

「そうだな。いいんじゃないか」

 気休めでもなにか縋るものがあると安心するしな。

 俺の同意によっしゃ、と笑った父さんは明日は八時には出発するぞ、と言い残してリビングから出ていった。

 ……えっ。明日?

 ちらっと母さんを見ると、困ったように笑った。

「あゆみが明日、帰ってくるでしょう? 空港へあゆみを迎えに行った後に行くんですって。もう、予約済みみたいよ」

 俺は父さんの行動力を甘く見ていたようだ。



 母さんが運転して、父さんが助手席。俺が後部座席に乗る。また事故が起こるかもと不安になったが、何事もなく空港に着いた。

 中に入ると、明らかに学生の団体がいる。制服からして間違いなく姉貴の高校だ。黒いズボンとグレーのシャツを着た女性(多分姉貴の担任だ)がこちらに気づいて、姉貴を連れてきてくれた。

「お父さん、お母さん、まさと!」

「姉貴、おかえり!」

「ただいま! 先生、ありがとうございました。失礼します」

「ええ。気をつけてね、藤山さん」

「お世話になりました」

「いえ、どうぞお気をつけて」

 先生に会釈をして空港から出る。姉貴に大きな外傷は見当たらなくてほっとした。

「迎えに来てくれてありがとう。今から帰るの?」

「いや、お祓いに行く予定さ。最近不幸なことばっかりあったからなぁ」

 姉貴はきょとんとして、苦笑した。もともと霊的存在を信じていない姉貴からしたらおふざけの一種に聞こえるのかもしれない。

 いつも通り快活に笑う姉貴だが、さり気なく話題をずらしても彼女が修学旅行での話をすることはなかった。それに気づいて、なるべく修学旅行の話題は避けるように気をつけた。

 事故はその人にトラウマという後遺症を与えると、昔知り合いの医者が言っていた。当時は適当に相槌を打っただけだったけど、今なら分かる。だって父さんは今日運転を母さんに代わってもらったし、母さんは雪が積もったらあまり外に出なくなった。姉貴はこの通りだ。

 ……お祓いに力があるとは俺も正直思ってない。けど三人の心の拠り所になればいいと思う。姉貴は無理かもしれないけど父さんと母さんだけでも安心感を与えられればいい。

 表面上だけ穏やかな雰囲気のまま辿り着いたのは物凄い山の奥……ではなく住宅街の近くの神社。間違ってるのかと思ったが、父さんが意気揚々と歩いているのであってるんだと思う。

 砂利道を進んで、鳥居をくぐる。狛犬に出迎えられ、さらに奥へ進む。父さんが目の前の建物に向かって声を上げた。

「すみません、今日予約していた藤山ですが。どなたかいらっしゃいませんか!」

 襖が滑るような音がして扉が開く。出てきたのはこの道何十年と言うようなベテランの坊さん……ではなく若い男の人。その人を見た瞬間、俺たちは息を飲んだ。

 美しい人だ。女性と見間違いそうな中性的な顔立ち、肩上くらいの艶やかな黒髪。一般的に言うおかっぱに近い髪型だが着ている和服とマッチしてより人間離れした美しさを生み出している。

「ああ、ご予約されてた方ですね。どうぞこちらへ」

 手招きされ、ようやく我に返る。靴を脱いで部屋に上がり、座布団がちょうど四つ敷かれている場所に座るよう促されておとなしくそれに従う。

 対面する形で座った男性が軽く頭を下げる。

「はじめまして。ここの神社で神主をしております神代咲也かみしろさくやと申します。若輩者ではありますが祈祷には自信があります。どうぞおまかせください」

「よろしくお願いします。ここのところ不幸が続きまして、なにやら取り憑いてるのではないかと思いましてな」

「それはそれは。どのような不幸に?」

 お祓いの準備(だと思う)をしている神代さんに父さんが今までの災厄を語る。相槌を打ちながらもテキパキと作業を進める神代さんはやっぱり美人だった。

「お待たせ致しました。さっそく祓わせていただきます」

 父、母、姉の順に何かを唱えながら何か(棒に和紙がついてる)を振る神代さん。最後に俺のところへ来た瞬間、バチッと静電気が流れたときのような音がした。神代さんは目を見開いて、それからまた棒を振る。けど、唱える言葉が若干違うような気がした。


 ぼぉっと眺めていたが、神代さんの「これで終わりです。もう大丈夫だと思いますよ」という言葉にハッとする。ずっと起きているのに、今夢から目覚めたような気分だ。

(変な感覚だ……)

「あの、置いていかれてますが」

「へっ? まじかよ! すみません、失礼します!」

 ぱっと横を見ると、隣にいたはずの三人がいない。慌てて追いかける。

「ふん……勘違い一家かと思ったが、まさか【本物】だとは。早急に対処するか」

 だから神代さんのその言葉は俺の耳に入ることはなかったんだ。



 帰りの車は、父さんが運転をした。大丈夫かと聞く母さんに任せろ、と笑う。ちょっとだけ元に戻ったみたいで安心した。後部座席で姉貴に文句を言う。

「酷いじゃん。帰るなら声かけてよ」

「一応声はかけたよ。あんたが反応しなかっただけ」

「はぁ?」

「神代さんに見とれて聞いてなかったんでしょ、どうせ」

 ぐっ。ちょっと反論出来ない。

「ま、気持ちはわかるわ。私、今ならお祓いも霊的存在も信じれるわ」

「面食いめ」

「あら。私より美紀子のほうが面食いよ。修学旅行のときなんかね」

 自分から修学旅行の話を始めた姉貴に少しだけ嬉しくなった。胡散臭いと思ってたけど、やっぱり行ってよかった。みんなのトラウマがちょっと軽減されてるのかも。

 そのまま何事もなく家に帰り着いた。結構な時間車に乗っていたので疲れていたのか、夕飯と風呂が終わると全員すぐにベッドへ向かった。ぱっと見えた時計の時刻は午後九時だった。まじかよ。



 夢を見た。多分、小さい頃の記憶。

 今住んでるところは俺が小学校低学年の頃に引っ越してきた場所で、その前は隣の県に住んでいた。家の近くに小さな公園があって、そこでよく遊んでた。

(なんか、はっきりした夢)

 まれに夢とわかる夢を見る人がいると聞いたことがあるが、それを自分が体験するとは思わなかった。

 夢というより、記憶を客観的に見ている。そんな感じ。

「お母さん、みどり公園行ってくるね!」

「わかったわ。短い針が六を指したら帰ってきなさいね」

「うん!」

 コートを着て、マフラーと手袋を着けた保育園児くらいの俺は玄関のドアを開ける。外は銀世界。真っ白だった。

 スコップを持って、みどり公園へと走る俺。



 次の日、起きた時間は午前六時。就寝時間といい起床時間といい、年寄りか。自分に呆れつつリビングへ降りると姉貴も母さんも父さんも既に朝食を食べていた。

「うわ、早くね? まだ六時だぜ?」

「目が覚めちゃったのよ」

「昨日寝た時間が早かったからなぁ」

「ていうか、あんただってこんな時間に起きてきてるじゃない」

 姉貴の言葉に肩を竦めて、食パンとマーガリンを持って席に着く。ジャージのポケットに入れておいた携帯を開くと、朱美からLINE。慌てて開くと昨日の夜十時に送られていた。やべ、寝てたな。

 すぐに寝ていたことの謝罪を送る。こんな早朝からLINEを送っても帰ってくるのはせいぜい八時くらいだろ。


 ピコン


 ん? 通知が来た音がしてLINEを見ると朱美から返事が来ていた。うわ、もう起きてんのかよ。さすが優等生だなぁ。

 多分顔が緩んでいたんだと思う。姉貴から「顔、気持ち悪いよ」とかなり引いた顔で言われた。ちょっとショック。



 久々に家族が揃った記念にと、夜は外食に行くことにした。いつものファミレスじゃなくて、大規模なショッピングモールにあるバイキング形式の店。洋食和食、中華にデザートも全て三時間食べ放題だ。姉貴と母さんは目を光らせて、真っ先にデザートへと歩いていった。

「ははは。母さんもあゆみも仕方がないな 」

「仕方がないなじゃないだろ。あれ……」

 二人に呆れつつ父さんと話していると見知った顔が見えた。父さんに先に席に行っててもらい、俺は彼女に声をかけた。

「よ、朝山。お前も来てたのか」

 彼女――朝山美希あさやまみきはこちらを振り返ってふわっと笑う。

「藤山くん。奇遇だね」

「なんだ、お前もデザート目当てか。その量すげぇな」

「え、お前もって、藤山くんもこれ目当て?」

「違う違う。俺じゃなくて姉貴と母親だよ!」

「なぁんだ。そうだったら面白かったのに」

 くすくすと笑う朝山は文句無しに美人だ。彼女は俺のクラスの委員長。朱美と並んで二大美人と言われている。まぁ俺は朱美一筋だが。因みに朱美は隣のクラスだ。

「ふふ。じゃあ私席に戻るね、また明日」

「おう……あ、おい朝山。ハンカチ落としたぞ」

 ひらりと目の前を落ちていったそれを拾う。朝山はケーキを乗せた皿を近くのテーブルに置いて「ありがとう」と笑った。

 俺がその手にハンカチを置こうとしたとき。


 ばちっ!!


 僅かに触れた手と手の間から静電気が流れた。

「きゃっ」

「いてっ!」

 ばっと手が離れる。二人でポカンとした後で苦笑した。

「びっくりしたな」

「ほんと。もー痛かったぁ」

「はは。じゃあ今度こそまた明日」

「うん、ばいばい。……ねぇ、藤山くん」

 俺は未だヒリヒリする手を擦りながら朝山に背を向けた。が、呼び止められて振り返る。

「ん、なに?」

「藤山くんって、岡崎さんと付き合ってるんだよね」

「ん、そうだよ。俺と釣り合ってないとかは分かってるけど……」

「別れたほうがいいよ、すぐに」

「は?」

 突然の言葉に理解が追いつかなかった。男から別れろコールは多少受けたことがあるが、それを朝山に言われるとは思わなかった。

「なんで?」

「……最近、周りで大変なことあったでしょう? それ岡崎さんのせいだよ、絶対」

 身内の不幸を朱美のせいだと言われ、一瞬理解が追いつかない。が、追いついた瞬間ふつふつと怒りが沸き上がる。

「ふざけんなよ。そんなめちゃくちゃなことで朱美を悪くいうんじゃねぇ!」

 朝山を睨みつけ、今度こそ背を向ける。後ろから朝山の声がしたが、今は冷静に話せる気がしなかった。

 席に行くと既に姉貴も母さんも座っていた。

「おっそーい、何してたの」

「クラスメイトを見つけたから喋ってたんだよ」

「ふーん。奇遇だね」

 自分から聞いてきたくせに興味がなさそうな姉貴にイラッとしつつ、取ってきた料理を頬張る。朝山に対する苛立ちを解消したくて吐くまで食べようと決めた。あ、うめぇ。

「あら、あれ神代さんじゃないかしら?」

 えっ。母さんの視線を辿ると周りの人の視線を一身に浴びる美人。つまり神代さんがいた。

 こちらに気づいた神代さんが会釈をする。反射的にそれを返して、彼を見つめる。……ここでも和服なんですね、神代さん。

「にしても、ここはそんなに人気だったのか。神代さんが住んでいる地域からは遠いだろうに」

 確かに、昨日行った神社は二つ先の街だ。車でも三十分はかかるだろう。

「まぁかかって三十分くらいだし。好きなら来るでしょ」

 姉貴は言葉はドライだが、視線は熱く神代さんに向けられている。面食いめ。

 軽く呆れて、食事を再開する。突然姉貴の短い悲鳴がして振り向くと、姉貴のすぐそばに神代さんが立っていた。

「こんばんは。皆様お揃いで、何かの祝い事ですか?」

「あ、いや、久々に家族揃ったんで、記念にって」

 神代さんの雰囲気に圧倒されて文章が若干おかしくなった。それが面白かったのかふっと軽く笑われる。

 相変わらずの美しさにぼーっとしてしまい、持っていたフォークをテーブルの下に落としてしまった。

「あっ……」

「ああ、拾いますよ」

 彼がすっとしゃがみ込んで、フォークを拾う。隣の姉貴からの刺すような視線が痛い。なに神代さんに拾わせてんだって声が聞こえるようだ。

 冷や汗を流しながら神代さんに謝る。

「いえ、構いませんよ。どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 神代さんからフォークを受け取ろうとしたとき。


 ばちっ!!


「いって!!」

「うっ」

 手の間を電気が走り、ばっと手を引っ込める。俺も相当に痛かったが、神代もそれなりだったのだろう。綺麗な顔をしかめて片手を摩っている。

「はー、また静電気か……」

「また?」

「あ、はい。さっきも同級生の子と手が当たったときにすげぇ静電気が流れたんすよ」

「へぇ……それは災難でしたね」

 そうなんですよ、と返そうと神代さんを見上げて言葉が詰まる。目が紅い……?

 神代さんの目が赤く光っていた。神代さんが一度瞬きをすると、瞳は元の色に戻った。

(あれ、黒くなった……)

 見間違いだったのだろうか。でもあんなに鮮やかな赤色を見間違うか?

 一人で悶々としていたが、姉貴から蹴られて意識が戻った。(もちろんテーブルの下で、神代さんに見えないように)

「いってぇ! ちょ、姉貴!」

「なにぼーっと神代さんに見とれてんのよ。返事もしないまま顔だけ見られてちゃ神代さんも困るでしょ!」

 ご尤も。慌てて謝罪すると笑いながら気にしてないと言ってくれた。笑い方も上品ですね。

「ではここでお暇させていただきます。また御用がありましたらいつでもいらしてください」

 すっと丁寧に頭を下げ去っていった。姉貴はもう乙女の顔して彼を見ている。……そういえば姉貴も俺と同じように神代さんの顔を見ていたのに瞳の色を見てなかったのだろうか。

「なぁ、姉貴。神代さんの目、赤色だった?」

「は? あの人はずっと黒でしょ。カラコンも職業的に入れなさそうだし。偏見とイメージだけど」

「そう、だよな」

 やっぱり、見間違いか。俺より真剣に見てる姉貴が分からなかったんだから光の加減とかで一瞬そう見えたのかも。

 自己完結して満足した俺はまた料理に舌鼓を打つ。やっぱうめぇ。



「同級生、か。それだな」

 ちらりと後ろのレストランを振り返る。珍しく本物が出てくるとは。

 和服の男は口角を上げ、静かに歩いていった。男はとても美しい見た目をしていたが、なぜか彼に視線を向ける人はいなかった。



 翌日、朝七時。俺は急いでいた。いや、急いでいる。なぜなら……。

「くっそおおおおお! 部活の朝練なんて聞いてねぇ!」

 いつもならこの時間はまだ寝ている時間だ。が、嫌な予感がして六時半に目が覚めた。充電していたスマホを開くと、一件のメッセージ。恐る恐る開くと部活の部長から。

「お前にだけ送り忘れてたっぽいから今連絡する。今日の七時二十分から朝練するってコーチが言ってた。遅刻すんなよ」

 送られた時刻は午前五時半。ありえない。

 こういうわけで慌てて準備をして出てきたのだ。チャリを漕ぎながら部長に悪態をつく。

「なーにがお前にだけ送り忘れてたっぽいだ。態とだろうが」

 最近、こういうことが頻繁にあった。俺にだけ、連絡が来なかったり。俺にだけ、プリントが回されなかったり。小さな嫌がらせみたいなのが毎日、何回も。始まったのは一週間前、つまり、朱美と付き合い始めてから。

 幸い、彼女持ちの男子と女子は普通に接してくれてる。だからまだ耐えられている。

 部活は最悪なことに部長が朱美のことが好きだった上に、俺と朱美が付き合う一週間にフラれていたらしくあたりが強い。部活の他の奴らも部長に右へ倣えしている状態。

 そりゃ俺がモテ男で、部長が振られたのを知ってて朱美と恋人になったなら俺が全面的に悪だけど。そんなことは一切ないんだから八つ当たりもいいとこだ。


 全力で自転車を飛ばして学校に着いた時刻は七時十七分。よし! ぎりぎり間に合う!


 だけど、そこで違和感。俺はサッカー部だから雨の日以外は当然グラウンドで練習する。だけど、すでに時刻ギリギリなのに誰の声もしない。まだ練習はしてないとしても話し声くらいはしてもいいはずだ。

 まさか。彼女持ちの友人にLINEを送る。この時間、返事が来ることはありえない。が、来た。

「え、朝練? なんの話しだよ。そんな連絡来てねぇぞ」

 ちくしょう。騙された。

 理解が及んだ瞬間、もう嫌になった。俺に嫌がらせをしてくる部長も、それに続く部員達も。こんな嫌がらせをされてまで部に残るほどサッカーに愛着もない。部や仲間への愛着は消えた。

 俺はゆっくりと自転車を停めて、教室へと歩く。

 部を辞めるには部顧問のサインがいる。顧問は確か今日は出張だって言ってたから今日中には辞められない。でも明日必ず辞めよう。

 怒りと失望感がごちゃ混ぜになったまま教室のドアを開ける。

「藤山くん……」

 最悪だ。よりによってこの状況で朝山と会うなんて。朝早いせいか教室は二人だけ。昨日の怒りも追加されて、頭が働きそうにない。

「あの……」

「悪いけど、今すげぇ苛立ってんだ。話しかけられてもまともな対応できる気がしない。だからほっといてくれ」

 一瞬、躊躇うような仕草を見せた朝山だったが、それでも俺に話しかけてきた。

「ねぇ、昨日のことだけど……」

 よりによって昨日の話題。俺はイライラしたまま机を叩いた。

「俺の彼女を悪く言うなって、昨日も言っただろ! あんたと朱美に接点なんかないはずだ! 何がそんなに気に入らねぇんだよ!」

 俺が机を叩いたことで怯んだ朝山はあの、とか、それは、とかばかりを口にしてまともな会話をしてこない。それにすら苛立った俺は最後の理性で朝山に八つ当たりしないよう教室を出ようとした。だが、朝山の言葉に振り向かざるを得なかった。

「私、藤山くんが好きなの!」

「は?」

「ずっと、好きだったの。だから、心配で……」

 そのとき朝山に朱美と別れろと言われたことを思い出した。あー、そういうことね。

「ふーん。俺を心配してるから朱美と別れろって? 俺に起きてる不幸は朱美のせいだから? 馬鹿じゃねえのか。たとえ別れてもお前とは付き合わねーよ」

「ちが、そんなつもりで言ったんじゃないの」

 俺は今度こそ朝山を無視して教室を出た。

 あー、はやく朱美に会いたい。



 空き教室に入って、ラインを開く。朱美に三階の空き教室にいる旨を伝える。すぐに返信が来た。

「わかった。もうすぐ着くから待っててね!」

 たったそれだけのラインに心が落ち着く。優しくて可愛い朱美。家族以外では俺の唯一の味方。所詮女子も彼女持ち男子も日和見だ。状況次第では敵になりうる。

 なんで俺、こんな目に遭ってんだろ。もういっそ、朱美と二人でどこかへ……。

 そのとき、空き教室のドアが開かれて朱美が入ってきた。

「おはよう、まさとくん! ……どうしたの。何かあった?」

 その優しい声に思わず涙が溢れた。朱美は驚いたように俺を見て抱きしめてくれた。今まで外にいたせいか朱美の体は冷たかったけど、そんなの関係ない。今はこうしてないと俺の心が壊れてしまいそうだった。

「朱美……。好きだ。大好きだ」

「私もだよ。まさとくん、大丈夫。ずっと一緒にいるから」

 ああ、と返した声は震えていた。ねぇ、と朱美が頭を撫でながら俺に話しかける。

「ねぇまさとくん。学校、サボっちゃおうか」

 俺は驚いて朱美を見る。俺は椅子に座っていて、朱美は立ってるから、見上げる形になった。

「朱美……」

「いいんだよ。学校なんかより、まさとくんの方が大事だもん」

 優等生の朱美から出た言葉が信じられなくて、でも嬉しくて。気づけば首を縦に振っていた。

「うん、じゃあいこう、まさとくん」

 俺は未だ冷たい朱美の手を握って、学校の外へと歩いていった。



 外は雪が降っていた。俺は朱美と手を繋いで気ままに歩き続けた。何気ない会話をして、コンビニでお昼を買って、公園で食べて。子供みたいにはしゃいだ。心が癒されていくのを感じながら朱美と歩いた。

 そして気づけば夕方、時刻は四時半。そろそろ学校では夕礼が始まるころだろうか。いつの間にか止んでいた雪。雲間から見える太陽はだいぶ傾いていた。

 そろそろ帰り始めないと親が心配するだろうか。少し遠くまで来てしまったから今から帰らないといつもの時間には帰りつけない。朱美に帰ろうか、と伝えようとすると、ぎゅっと手を握られた。

「まさとくん、私、帰りたくないよ」

 俺もだと感じた。ここ最近で一番楽しかった。帰りたくないんだ。このまま、朱美と二人でいたい。

 そう伝えようとしたとき。

「そろそろ学校が終わる頃だと思っていたのに。なぜこんなところにいるんですか。藤山さん宅の息子さん」

 聞き覚えのある声に驚いて振り向くと、思った通り神代さんが立っていた。

「こんにちは。それにしても学校が終わる時刻は今ぐらいでしょう。なぜこんな場所にいるんです? 通っていると伺った高校からはかなり離れていますよ」

 そ、それは……。と口篭るが、神代さんはくすりと笑った。

「いえ、いいんですよ。そういう日もあります。ただ、連れている相手が悪い」

 神代さんのセリフと鋭い視線に怯んでいると、神代さんは理解し難い言葉を吐いた。

「なんのつもりですか。雪女」

 え? 唖然とした。この人は何を言ってるのだろうか。今この人は間違いなく朱美を雪女と呼んだ。神主とはいえ、今どき妖怪を信じている人なんているのか。

「何言ってるんですか? 今どき妖怪とか信じてるんですか? まさとくん、この人危ないよ、逃げよう」

 朱美の意見に賛成だった。彼女の手を引いて逃げようと背を向ける。

「まさとさん、でしたね。彼女と手を繋いで、静電気は起きましたか」

 突然何の話だと思ったが、素直にいいえと答える。神代さんはきょとんとした顔をして首を傾げた。改めて見ると神代さんはやっぱり美人で、思わず見とれて動きが止まる。

「……ああ、そうか。私としたことが、昨日私が弾かれたのが二回目だと聞いていたのに結界を張るのを忘れていましたね。仕方ありません。ここに御札があります。妖怪ではない、雪女ではないというのならこちらを持っていただけませんか。何も反応がなければ私の誤認として謝りますので」

 すっと取り出された御札。俺はそれくらいならいいやと朱美に持つように勧めた。

「持ってやれよ。それであちらは満足するみたいだし。紙だから大げさな細工なんか出来ないだろうし」

 朱美もそうだね、と言って動くと思っていた。だが、俯いたまま一向に御札に近づく気配がない。心配になり、声をかけようとしたそのときだった。

「ふふ、ははは。あははははっ! あと少しだったのに! あーあー。最悪だよ。ばれるなんて」

 狂ったように笑いだしたかとおもうと、いつの間にか離れていた右手で髪をかきあげた。

 誰だ。この隣にいる人は。いや、それより、今、認めるような発言をしなかったか。

 俺は無意識に三歩ほど彼女から距離を取る。ちらりと俺を見た朱美はため息をつく。

「あともーちょっとで二人きりの世界で生きられたのに。残念だね、まさとくん」

 その言葉を言い終わった瞬間、止んでいたはずの雪が吹き荒れる。そして目の前で、彼女の姿が変化した。黒髪は真っ白に、元々白かった肌ももはや白人の域を超えて白くなる。黒かった瞳は凍えそうな青色。着ていた制服は薄い青色の浴衣に。

 夢を、見ているのではないかと思った。そうならばどれだけ良かったことか。起きてから、想像力豊かだなって笑って、朱美に話して、ちょっと怒られて。でも二人で最後には笑って。夢なら、可能だったのに。

「自ら正体を現してくれるとは、手間が省けました。観念したんですか」

「お前を殺してまさとくんを連れてくだけ。それにしてもまだ人間が生き残っていたとは驚いたよ」

「その言葉、そっくりそのままお返ししますね。しかも人に化けることが出来て、人を操ることが出来る。記憶までいじれるほど強い妖力を持っているとは」

 神代さんがゆっくりと歩いて俺の前に立つ。一連の流れがテレビの向こうみたいに遠く感じた。

「彼のご家族が立て続けに事故にあったのもあなたのせいですね」

 その言葉に意識が一気にそちらへ向かった。事故が、朱美のせい?

「つくづく勘の鋭いやつだな。そうさ。私が雪と氷を操り起こした。まさとくんから大切な人を奪うために」

 がん、と頭をハンマーで殴られたみたいな衝撃だった。確かに朱美と付き合い始めてから家族は事故にあった。それを心配して慰めてくれていた朱美は一体なんだのだろうか。

 呆然としている俺に気づいたのか、朱美は笑顔で神代さんに、いや、その後ろにいる俺に向かって話を続ける。

「教えてあげる。まさとくんが学校で孤立し始めてたのも私のせいだよ」

 息が止まった。朱美と付き合い始めてから嫌がらせは始まった。でも、それは美人で有名な朱美が俺と付き合ったから嫉妬だろう? 狙ってやったのか? どうやって。、

「いくら美人でも、学校全体から恨まれることなんてそうそうないでしょう。雪女の特性は凍らせることです。まず、記憶を凍らせ、今年の入学式からの学校に関する記憶、特にクラスメイトなどについてを思い出せなくする」

 神代さんのセリフに入学式の記憶を思い出そうとするが、隣の席が誰かすら思い出せなかった。

「そして、心の一部分、まさとさんに関する友情や愛情を凍らせる。そうすることで、学校は美人を奪った嫌いなやつをいじめるという方向になる。……家族は結びつきが強くて凍らせることが出来なかったんですね。仕上げはまさとさんの友達や家族に関する情を凍らせ、自分しか見えないようにする。こんなとこですか」

 言われて考えると、部の仲間たちをあっさり切り捨てた。さっきも家族の元へ帰ろうという思いが、朱美の帰りたくないの一言で霧散した。

 ぞっとした。家族が、仲間が、友達が大事だったはずなのに。

「でも、部から嫌がらせを受けてたのは確かで……」

「もう、まさとくんて鈍いなぁ。でもそういうとこも好きだよ。私、妖怪だよ。人に化けることも出来るし、記憶だっていじれる。……部長さんに化けて、みんなに嫌がらせをさせて、みんなの記憶も部長の記憶も凍らせてしまえばいいでしょう? もちろん、心も凍らせてるからまさとくんのことは嫌いになってるから躊躇はないしね」

 そうだ。確かに。そんなことも出来るなら、全てが朱美の手のひらの上だったってことか。俺は、全ての元凶に縋っていたのか。

「いくら雪女でも携帯などはどうしようもないはずですが」

「それこそ簡単よ。岡崎朱美の存在を奪ってしまえばいいんだもの」

「……へぇ」

 神代さんの声が鋭くなる。後ろ姿しか見えないが心底冷めた声をしている。

 理解が追いつかず白黒させている俺を見て、楽しそうに説明をしてくれる。

「まさとくん、理解出来てないね。教えてあげる。岡崎朱美は実在したんだよ。1週間前までね」

 理解、した。つまり、岡崎朱美さんは、もう……。

 泣きたくなった。全てに。信じたくなかった、全てを。

「ああ、もういいですよ。話を聞いたのはどこまで容赦してあげようかと思っての事でしたが、そんなもの、いらないようだ」

 神代さんが御札を人差し指と中指で挟み、朱美……いや、雪女に向かって飛ばす。

「こんなもので何とかできると思ってるの? 馬鹿ね!」

 雪女が手を振ると、氷のつぶてが札に直撃し、札は燃えながら消滅した。

「さすがに妖力は強いようですね。ですが、慢心し過ぎではないですか? それとも、その程度の実力だと思っていたんですか? 馬鹿ですね」

「な、に……!?」

 いつの間にか雪女の周りには赤く発光する御札が浮いている。慌てて氷の礫をぶつけるも、消滅したのは礫のほうだった。

「凍らせるあなたは溶かすものに弱いですよね」

「あ、あ、ぎゃああああ!」

 神代さんが手を振りかざしたタイミングで沢山の赤い御札が雪女に直撃する。その瞬間絶叫を響かせた雪女。御札がなくなると、ゆっくりと雪の上に倒れた。

「ぐ、こ、こんな力を持った人間がまだいたのか。せめて、せめてまさとくんだけでも……!」

 展開についていけてなかった俺は氷の礫が俺に向いているとわかっても、動けなかった。

 死ぬ、のか。死ぬ? 嫌だ。どうすればいい。

(ちっ。動けないのか。間に合うか……?)

 その瞬間、雪女の体を氷の鎖が締め付ける。

「うぐ! これは……! どこまでも私の邪魔をする気だな! 美希ぃぃぃぃぃ!」

「さっさと消えてください。目障りだ」

 一瞬、俺からも神代さんからも意識が逸れた雪女に向かって、神代さんが光の弓矢を放つ。雪女は悲鳴をあげることもなく、雪に混ざって霧散した。

 そっと神代さんを見ると、彼もまた、別のところを見ていた。そちらに目を向けると朝山が片手を雪女が居た場所へ伸ばしていた。

 確かに雪女は最後に朝山の名前を呼んだ。そして、氷の鎖。俺は血の気が引いた。朝山が俺の方を見る。それに対して1歩下がった。悲しそうに笑った彼女はそっと姿を変える。髪も肌も服も真っ白に。だけど、瞳は優しい緑。

「その力、その姿。お前も雪女か」

「はい。人間さん。まだ、そのような強い力を持っている方がいらっしゃったのですね」

「お前にもそのまま返す。奴より強そうだな。存在すら捏造できるほどに」

「ええ。妖力ばかり強くなってしまいました」

「あいつの家族を助けたのもお前だな」

「はい」

 その会話に俺は驚いて彼女を見つめた。朝山は俺に朱美のせいだと、わかれた方がいいと再三言ってくれた。なのに、俺は……!

「お願いがあります」

「言ってみろ」

「私も封印してください」

 この言葉に思わず息を飲んだ。だって、それって。

「別にそのままでもいいが。特になにかしたわけでもない上、人を助けてるしな」

「いいえ、私は存在するだけで迷惑です」

 言葉の最中に彼女は俺を少しだけ見た。俺が、怖がってるから……? そう思うと口を挟まずにはいられなかった。

「ま、待てよ! 助けてくれてたんだろ? それに、俺、酷いこと言ったよな、本当にごめん!」

「いいの。仕方ないもの、あのね、好きって言ったのは本当だから。人じゃなくて、ごめんね」

 心が痛い。俺は何を言わせてるんだ。そうだ、人じゃなくても心はちゃんとあるじゃないか。それを、俺は、見た目だけで判断して、雪女だと怯えた。人の差別と何ら変わらないじゃないか!

「お願いします、決心が鈍らない内に」

「……わかった」

 封印の呪文を唱えてるであろう神代さんを見ながら、俺はひたすら謝った。

「ごめんな、ごめんな」

「いいんだよ、ありがとう。謝ってくれて」

 ふと既視感を覚えた。この会話、どこかでした気がする。


「ごめんね、ごめんね、雪のお城壊しちゃった」

「いいよ、謝ってくれてありがとう!」


 みどり公園で遊んだ、白い髪の、緑色の目をした女の子。


「みーちゃん……?」

 驚いたように目を見開き、彼女は優しく微笑んだ。

「思い出してくれて、ありがとう!」


 涙が溢れた。止まらない。嗚咽を漏らす。かろうじて見えた視界には何かを神代さんに囁いて、そして消えたみーちゃんだった。


 俺は一日で大切だった人を二人も失った。


 神代さん曰く、雪女の能力は消えたから昔のような生活に戻るらしい。

「一つ、教えてやる。雪女の心は凍りついている。本来恋なんてする奴らじゃないが、お前の何かに触れてあいつらは少しとはいえ、心を溶かすことが出来た。それは誇りに思っとけ」

 泣く俺にそう教えてくれた神代さん。敬語が取れていたけど、それに関して突っ込む気にはなれなかった。

 次の日、学校に行けば、いつもの日常だった。ただ、岡崎朱美と朝山美希を誰も知らないだけの、日常。

 午後の授業、雪を見ながら思った。俺はきっと生涯人を愛することはできないだろうと。



 神代咲也は窓の外の雪を眺めながら先日の雪女たちについて考える。一体は多少心が溶けていたとはいえ、完全に雪女。もう一体はほとんど人に「戻って」いたかと思ったが。

「あいつも雪女だな」



「私、優しくなんかないんですよ。優しかったらわざわざ彼の前でトラウマになるように封印されたりしません。でもこうすれば彼、私のこと一生忘れないし、どんな女の人と付き合ってもきっと私を思い出すわ」



 やれやれ。と最後の言葉を思い出し肩をすくめる。

「雪女なんて今どき一体でも珍しいのに。二体、しかも恋をさせるなんて普通じゃねぇよな」

 先日払ってやった青年は変な能力を持っていたようだ。

 そっと美希と呼ばれた雪女を封じた札を触る。

「あいつ以外に愛を向けれるくらい心が溶けたら今度は天に送ってやるよ」

 咲也は小さく笑って、部屋を出ていった。残された札が反応するように小さく震えた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人と人外の恋、雪女の恋、いいものですよねぇ。 [一言]  私も同じタイミングで短編を投稿したので、偶々見ましたが、とても面白かったです!  私も陰陽師モノを書いているので、超常的存在の書き…
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