魔導
マレフィキア。
ラテン語で「悪行」、「魔女による災厄」を意味する語が当てられているのは、術者以外の者にとって正しく天災のごとき奇蹟を行使する事に由来する。これを扱える者を総じて“魔導師”と呼ぶ。
魔術の上位に位置付けられる『魔法』。魔術が適性さえあれば誰にでも扱える普遍的な神秘であるのに対し、これは術者固有の性質──思想、渇望、起源、才能など──を奇蹟の領域に昇華したものである。そのため発現のカタチは魔導師によって様々であり、同じ術は基本的に存在しない個人特有の神秘。一族の中で魔導を継承している場合、子孫達は遺伝子の繋がりからある程度同じ系統の魔導を発現させられるが、やはり術者の性質によって細部は異なってくる。
魔術の上位に位置付けられる通り、大まかな特徴としては魔術の域から逸脱した現象を引き起こすもの。魔術が世界に存在する法則に従って奇蹟を起こすものなら、魔導とは術者が創造した概念によって世界の法則を塗り潰す奇蹟とされる。そのためカテゴライズが難しく、そのすべてが規格外として扱われている。
魔術を究めて魔導に到る者もいれば、稀少な例だが最初から魔導に目覚めている者もいる。如何に己の本質に近いかどうか、が覚醒に関わるポイントらしい。
魔術とは異なり、術式構築において詠唱は必須となる。これは己の本質を見つめるためのもので、自己暗示としての役割がとても色濃い。そのため詠唱の呪文は自然と術者の本質を言い表したものとなり、術者は自分好みに改変することが出来ない。