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スカイアドベンチャーの楽しい学園生活  作者: 紅藤
スカイアドベンチャーとスキル ~三年生~
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探偵トキワ・リック3

 

 その日の夜。

 スカイアドベンチャーのお家では、斧戦士の分体が集まっていた。

 にこにこと笑う斧トキワが、本体こと斧戦士に報告する。


「いろいろ聞いてきたぜ。あの人おもしろいな」

「……害になるか?」

「ならないだろ。自分の立場、ちゃんと分かってるみたいだし」

「警戒する必要はなさそうだな」

「彼女への詮索もなかった」

「なるほど」


 分体たちにこれだけ言われても、ケヴィンを疑う警戒心の高い斧戦士である。

 彼女を守るためならなんでもする。

 あの日にそう誓ったのだから。あの男が来た日に。


「それで、情報は」


 斧戦士に求められて、斧トキワは視線をずらす。

 視線の先にいたのは黒トキワ。

 斧戦士の視線も横にずれて、黒トキワに移った。


「出身国はスイバラ。現住所もここにある」

「なに、スイバラだと? 隣国じゃないか。毎日国境を越えて来ているのか」

「暇なヤツだな」

「暇ではないだろうが……まあ、変わった奴であることは間違いなさそうだ」


 このトキワブラザーズには言われたくないだろうに。

 あ、兄弟じゃないからブラザーズとは呼べんか。


「現在の仕事は、諜報員と学園教師の兼業。理由は詳細不明」

「どうも上司の命令らしいぜ。仕事以外の趣味を見つけてこいって、どやされたんだってさ」

「仕事が趣味、か。うむ、寂しい男だな」

「彼女を見守るのが趣味なのは、オッケーなのか」

「崇高な趣味だぞ?」

「ですよねー」


 愛がなければストーカーと言われる行為を、気高き趣味だと言い切った男は、そのままケヴィンの情報を書き留めていく。

 この様子なら、明日には舟長に成果を見せられるだろう。

 斧戦士は、話していた斧トキワから、頭身の低い黒トキワに目を移す。


「配達は、分かっているな?」

「めんどくさい」

「紙、ぺッてすればいいから」

「ペッ」

「今せんでもよろしい」


 のっぺらぼうな顔を歪めて、吐き出すしぐさをした黒トキワ。

 器用である。

 非常にめんどくさそうなオーラを出しているが、行ってくれるようだ。


 驚異の一頭身は、どこにでも潜り込める。

 スライムのように変幻自在の身体は、隠れるのに最適だ。

 さらに気配を消したり、追加のアームで人を殴れたり。

 黒トキワは、最高の配達人だった。


「できた」

「ペッ」

「それ気に入ったのか?」

「ペッ」

「……」


 意味が分からない。


 斧戦士は、黒トキワをひっつかむと、床に叩きつけた。

 スライムみたいな身体が一瞬ぺちゃんこになる。

 それから、ゆっくりとかたちを戻していくさまは高反発枕。


 黒トキワが本体の男をにらみつける。

 斧戦士も、真っ向からそれに対応する。

 戦いが始まった。


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