オチという負け惜しみ
ウラメン、ウラメンにぃが前提にありますが、解体ショーみたいなものなので、なぞなぞの答えだけ知りたい方はどうぞよろしくお願いいたします。
男はくたびれたスーツをひるがえし、
ぼさぼさの髪を整えることすらせず、
ため息をつきながらぽてぽてと歩いている。
まさに負け犬である。
「もぅ、先輩!ちゃんとしましょうよ!」
その後ろを跳ねるようについてくるのは、
似合わないリクルートスーツを着た女である。
この女、スーツから出ている部分には全て包帯を巻き付けている。顔も半分は包帯に覆い隠されて見えていない。
だが、怪我人と言うわけではないようで、足取りだけでいえば負け犬よりも、軽やかである。
「うるさい、わめくな新人」
先輩と呼ばれた負け犬は、振り返りもせず吐き捨てる。
「新人じゃなくて、出来損ないです!」
出来損ないは肩にかけたタスキを示す。そこには「ウラメン未満」と赤々と書かれている。
じゃーんといいながらポーズをとる出来損ないを無視して、負け犬は進み続ける。
かき分け、踏みつけ、押し退けて、黙々と進む。
「先輩、ノリ悪いですよぉ!」
出来損ないは負け犬がつくった道をちょこちょことついていく。言いながらもどこか楽しそうでさえある。
その様子に負け犬は舌打ちした。
「いいから、お前も手伝え。
早いところ追い付かないと余計に面倒なことになるぞ」
手近な看板を引き抜き、目の前に積み上がる『それ』を薙ぐ。
バラバラとおもちゃが箱からこぼれるようにそれの形が崩れる。
もとより中身がないものも多いため、見た目よりも軽い。
出来損ないは少し嫌そうな顔をするが、負け犬ににらまれ、仕方がなく足元に転がった『それ』をつかみあげる。
「まぁ、よくもまぁ、こんなにたくさん。うんざりしますね」
「おぃおい、うんざりじゃないだろ。わくわくする、だろ」
やっと負け犬が笑う。
くたびれたスーツに、緩めたネクタイ、いままでの『彼ら』とはかけはなれた姿であった。
「いいか、俺たちは……」
解体し、晒し、醜悪に負け惜しみを喚くのだ。
負け犬は、卑屈に、皮肉に、不気味に、諦めを含みながら顔を歪めた。
「俺はウラメンと名乗ってみせるぞ」
それは宣言であり、宣告であり、宣誓である。
拾った『それ』の千切れた手と自分の手で、出来損ないが拍手を送る。
「よっ、先輩!負け犬役がぴったり!」
そして、ぽいっと、『それ』を捨てるように投げた。
そう、これは負け惜しみの話。
『それ』は、ウラメン、死屍累々とはこの事か。
負け犬と出来損ないは、ウラメンが積み上がる道をひたすらに進む。
創造さえ、できもせず。
想像さえも、挟まずに。
最短距離で、終わる物語。




