第一話
クリスマス・・・それは人々に夢と希望をあたえる聖なる日である。
そして、その日に子供たちに夢とプレゼントを与える存在こそ、サンタクロースその人である。
そしてここに、サンタ業を生業とするサンタの会社がある。
「バッカモーン!!プレゼントを落としただと!?これからの配達をどうするつもりだ!?なあ、おい、聞いてるのか!!アラン!!」
お頭は役立たずの見習いに怒鳴りつけた。
しかし、アランと呼ばれたその見習いは、よほど反省しているのか、頭を上げようとせず、うつむいたまま返事をしない。
お頭はだんだんかわいそうになって優しくいった。
「まあ、なってしまったことは仕方がない。プレゼントを捜索しなければならない。ほら、頭を上げろ。探しにいくぞ。」
そういってお頭は彼の肩を叩いた。
すると彼はその場にばたっと倒れた。
病気なのか。いや、違う。何やらブツブツと何か言っている。
「もう食べられないよ〜・・・。」
なんとこの期におよんで寝言を言っている。
「このっ・・・お・前・と・い・う・奴・はぁ〜・・・。許さ〜ん!!」
お頭は居眠り見習いをたたき起こすと、見習いが置いてきてしまった世界中の子供たちのプレゼントの捜索をしに、夜の闇に消えていった。
「エミリーさん、この記事の編集お願いします。」
「は〜い。そこおいといて。」
「エミリー次はこの件の記事書いてくれ。」
「わかりました。」
この編集社では、深夜なのにも関わらず、何やら忙しそうな雰囲気が漂っている。
その中でもエミリーという女性は特に忙しそうである。
文句が出てしまうのも当然である。
「あ〜、もう。今日も徹夜だ〜。クリスマスなのに〜・・・。」
「あの〜、先輩。じゃあお先に失礼しま〜す。頑張ってくださいね。」
「は〜い。ありがと。彼氏と仲良くね。」
「あ、ありがとうございます!!ではさよなら〜。」
「くそ〜。いいな〜、彼氏もちは。早く帰れるしクリスマスの楽しみはあるし・・・。」
「エミリー、負け犬の遠吠えはやめろ。みじめすぎる。あとこれもだ。」
「はいはい。わかりましたよ、バツイチさん。」
「28で結婚どころか彼氏もいないやつに言われたくないな。」
恋も仕事も時間がない焦りと苛立ちのせいか、2人の間で喧嘩がおこっている。
結局喧嘩が終わる翌朝まで仕事は続いた。