性欲愛と理性愛ってなにか違いあるの?
「子どもがそろそろ産まれる!」
とまあ近況で一番叫びたいのはそれだ。
ちょっと俺の半生の話に付き合ってくれ。
そしたらたぶん題名のところまで行き着いてなんでいきなり叫びだしたかわかるから。
――匿名の質問者からの記載より転載
俺は今は22なんだがとりあえず産まれたころの話から。
もちろん産まれたさいに何もわかる訳がないが、この時既に俺たちは変わった事をしてたんだな。
いや、今じゃあこの国では一般だけどさ。
産まれる前に魔胎器に移して特別な処置を施して性器というものを取り除く。
そして魔胎器から産まれる。
そりゃあ先進国じゃあ当たり前だけど知ってたか?
まだ俺らみたいな先進国ぐらいしかやれてないって事。
俺はまあ順調に育って物心ついたころかな。
親にさ、よくお腹の中の卵を大事にしなさいって言われてたんだよな。
意識するとわかるでしょって。
だからよく思いなさいって。
まあ当時はなんのこっちゃと思ったけれど精霊卵のことだわな。
性器を取り除いたさいに逆に入れておくもの。
本来は性器が司るホルモンバランスを補ったり安定させる力があるらしいな。
そして、アレもな。
そんでまあ14ぐらいのころはよく図書館に行くようになったな。
魔法も色々覚えたかったしな。
みんなよりはやく風の魔法を使いたかったんだ。
そしてわからんことはよくよく調べたよ。
それでじいちゃんがよく俺を見て言うことが何となくわかってきた。
「男にも女にもなれんだなんてかわいそうじゃなあ……」
そんな感じのね。
昔の本にも良くでてくる男と女ってやつ。
調べたら人間にももともとはオスとメスがいて、オスが男、メスが女と呼ばれていたらしいな。
服がメンズとレディースと言われるのはその時代の名残りらしいよ。
メンズが男物、レディースが女物と決まっていたらしい。
なんとも変な風習だよなあとしか俺は思えなかったがな。
まあ当時の人にとっては非常に重要視されていたらしいね。
ちなみに俺はレディースの方がよく着るかな。
もちろんそこからさかのぼって処置の事も知ったしそこに至るまでの経緯も分かった。
昔1国の王が魔女にたぶらかされたあげく性病という恐ろしい病に侵されたらしい。
さらに王は国中に性的な事を多く自由……いや、無法化させて国中多荒れ。
さらにその疫病のような性に関することにそれぞれ無法化していく。
魔女と王が魔法を使って世界を変えようとしたらしい。
しかし彼等の理想郷は国そのものが壊れることにより崩壊した。
多くの死者や蔓延する病だけを残して。
そして世界の多くが立ち上がって繰り返さぬように、性の魔法に対抗するように、本格的な研究を押し進め先進国を中心に今の技術の原型ができた。
俺の親世代が第一世代で全員ではないもののかなりの数が適用されたらしいな。
そして俺が第二世代……義務化された世代だ。
このときは当たり前だと思っていた事がそこそこちょい前だと知ってワクワクしたなー。
俺はまあ凄く興味わいたよ、男とか女とか何なのかってよく調べたりしてワクワクした。
そんなかには人の交尾している様子の絵とかもあって……めっちゃ猿みたいだな! ってなったよ。
あと、『二度と我々は別れてはならない!』とか『ボス猿争いの時代は終わらせなくては。我々は理性の生物だ』の力説もよく目にしたね。
昔は先進国でもレイプというのが良くあったとか……かなり酷かったらしい。
男女差別とか度重なる問題が常々蔓延していたのだとか。
犯罪の温床になっていたらしい。
そんで俺が15の頃だったかな。
これも比較的数十年の間に出来た魔法技術らしいが、変化魔法な。
媒体を通して人の姿から変えられる魔法。
あんまり早いと身体に影響があるからってやっと使えた頃だな。
人が人の姿にとらわれるなんてバカみたいだけれど、昔は以上にこだわってたらしいな。
今じゃあ町中いろんな奴がうろついてるのにな。
俺が良く好きでなったのは青い鳥な。
あ、なんの鳥かは匿名のために秘密だ!
小さい鳥ではあるけれど、変化魔法使ったさいのぐぐっと身体が縮んでいく感覚も好きだな。
骨格もだいぶ変わるし、何より飛べるのが良い。
まあ悩みはあったね。
野生の大きな鳥がこっちを食おうとしてくるから対抗するのが大変でね。
最悪変化魔法解けば逃げていくけどさ。
そんで自由に屋根の上に止まっていたら、地上が騒ぎになってたんだよ。
そこにいったら全裸のやつらが捕まってたんだよなー。
性的犯罪者ってやつだな。
裏ルートで性器を入手して自身につけて交尾を楽しもうとするやつら。
すぐに周りが布をかけたが初めて人間のオスやメスのナマの性器を見たよ。
結構グロいのな!
それに連れ行かれる間こんなこと叫んでいた。
「私達は本来に戻るだけだ!
自然になることがそんなに悪いのか!!
性欲も無いなんて愛はないだろ!!」
よく感情がこもってて覚えているなあ。
だから余計に興味はあるが、バカだなあとも思った。
いつまで猿のつもりなんだよって。
さらに大人になるにつれてわかったのは、本来この時期はやたら心乱れたりイライラしたり身体が痛みつつ成長するんだってな。
それにやたらと性的に相手を見るようになり好きになりだすとか。
ホルモンバランスが乱れるらしい。
まあ俺らの世代はすでに精霊卵が働いてくれてそんな事ないけれど。
意識するとそっと熱を返してくれるのがわかったなあ。
それと身体つきがオスとメスで変わるらしい。
オスはゴツくなるとか。
それと声が低くなるとか。
今でも声を低くする人はいるけれど、まあ俺はそこまで低くはしていないかな。
相変わらず鳥の時食おうとしてくるやつには困ったがその頃出会いがあった。
大きな鳥に立ち向かって追い払ってくれた鳥だ。
俺と同じぐらいのサイズのやつだったのに勇敢だったよ。
その後はどんどんと仲良くなっていって相手のことが気になりだした。
友達にもなってくれたし、凄く楽しかったよ。
それで数年、俺が21の時に知ったんだ。
その鳥も人だったってことを。
凄く好きになっていた自覚はあったからわかって嬉しかった!
こっちも人だと明かしたら、知ってると笑われたよ!
「え、むしろ気づいてなかったんですか?」
そう言われたが本当に知らなかったんだよなあ……
鳥の頃からずっと好きだなとは思えたんだけれどね。
ただ、鳥相手だと友達にはなれてもそれ以上踏み込むのは危険だしな、法律的にも。
だから実は人だってわかって、思いを打ち明けたんだよ。
まあ相手も俺の事好きになってくれて、より互いのことを気になりだしたんだ。
寝たきりのじいちゃんに話したら驚いてたなあ。
「なぜ、男でも女でもが無いのに、異性ではないのに、好きになれる!?
わしにはわからん……もう、わしにはついていけないな……だがお前が良いと思うなら大事にしなさい」
そんな感じのこと言ってくれたなあ。
俺からしたら、なんで好きにのに性が必要なんだ? って感じなんだけど。
感覚の違いか?
知識上ではある程度わかってるんだがな。
頼りになって話すと楽しくて、いつまめでも一緒にいたい相手がいるのはそこまで特殊なのだろうか。
あの時性犯罪者が言っていた性欲の愛。
それがないからって言いたいんだろう。
でもなあ、人間そこまで実際にわかれてないと思うんだよ。
誰かを好きになるのに性器通さなきゃ考えられないほどじゃないだろうって。
理性的に相手に愛を捧げて求めたいってなるのが、『おかしい』って今でも一部の人は訴えてるよな。
毎年2月に行われるデモ。
まあ慣例みたいなものになってるみたいだけれ、毎回性を取り戻せ! って叫んでるやつね。
あれも異常だよなーとは思う。
歴史学んでないの? ってなるけれど、まあ知識上大事なんだろうなとはわかるよ。
でもまあ、きっとなくともなんとかなるってのが持論。
まあ付き合った彼女とついに子どもをつくろうってことになって。
魔法技術で子を宿す儀式やったんだけれど。
これはまあ互いの身を溶かし合って混ぜあった後に再び別れて宿す儀式で交尾時のエロスという感情をその時得れるそうだけど。
凄いね、字ではエロスという感情は身も焦がすほどのもの快感とか生への満足感と聞いたけれど。
昔の人や犯罪者はこれを多く得ようと性器に手を出してたんだね。
ただまあ脳がやられるほどの麻薬感もあるから、やはり理性で管理して正解だよ。
こんなの壊れるやつがいるだろってなった。
それに一番好きで愛している相手との交わり子を宿すのは、凄く嬉しい。
それが精霊卵の最大の機能だよな。
子どもを宿せるのもこれ様々だ。
もちろん俺と相手2人で宿し、数ヶ月たってから魔胎器への移す作業をした。
そしてさらに数ヶ月、もうじき生まれようとしている。
とても今俺は嬉しいんだ!
だからこそ昔調べていた事と良い経験した事と良い思うんだよ。
性欲での愛と理性から来る愛って何か違う?
無償の愛とかじゃないぞ、相手を好きになって愛することに性器があるとそんなに違うのか? ってさ。
俺は生まれつき性器は精霊卵に置き換えられてたからさ。
余計に変に思うんだよね。
俺たちはまだ年中発情期の猿でしかないのか、それとも理性的に人を愛せているのか。
ここらへん魔法技術的に詳しい解明とかされてたら教えてよ!
――『結局のろけたいだけじゃないか!』と返信のあった質問用魔法通信交換網より転載