episode1-5
ぶ・・・・・無事か?
体を起こして落ちてきた穴を見る。
結構な高さだというのに、なんで怪我ひとつないんだ?
「お嬢、大丈夫か?」
隣で倒れているお嬢の肩を叩く。
「うぅ・・・ここは?」
「多分地下か何かじゃないか?」
よく見ると、灯りがちらほら見える。人がいるのは確かだろう。
「ねえ、なんか変な臭いしない?地面もやわらか......ってこれっ!?」
立ち上がろうとしていたお嬢が、異様に驚いていた。
「一体どうしたんだ?見てはいけないものを見てしまった、みたいな顔をして」
「え......だってこれ......」
お嬢は地面の方を指差した。
すると、何処かで臭ったことあるような臭いが鼻をさす。
「な・・・死体・・・・か?」
まさかと思い、他の地面を見る。
「俺たちが落ちてきた場所は・・・死体処理場か・・・・?」
「うぅ・・・・お化けが出そう・・・・」
お嬢が頭を抱えてしゃがみこんだ。さすがに怖かったのだろう。
とりあえずココから出るとするか。あっちの明るい方は死体はなさそうだ。
「お嬢、さっさといくぞ」
「足が震えて動かない・・・連れてって・・・」
涙目で、俺の服の袖を引っ張る。しょうがない.......
「・・・・・・・」
「え、ちょ、おいてかないでよっ」
勿論置いて行く。
何で俺が苦労してまでお嬢に手を貸さないとだめなんだ・・・・
「もぅ・・酷い・・・・・」
よっぽどあそこで一人にされるのはきつかったんだろう。自分で歩けるなら最初から言わないで欲しい。
「貴方って時々私の執事じゃないわよね・・」
「そーだね」
「酷い・・・」
ワガママお嬢はほっといて、先に進もう。
しばらく進むと、人のざわつき声が聞こえてきた。
なんだ?かなりの人数の声が・・・・
岩の陰から顔を出して様子を見る。
「すごい人・・・・。なんでこんなに・・・?」
声の正体は、商人らしき人たちの声だった。顔を布で隠し、誰だか分からないように。
だが、もう一つ分かったことがある。
「見ろ、答えはあれだ。」
「あれって・・・・えっ!?」
奥の方を見ると、首輪で繋がれた人達が牢獄に閉じ込められていた。
そう、人身売買だろう。
「おかしい・・・奴隷化は禁止されているはず・・・・」
6年前、この国全域で奴隷化制度が禁止された。それなのにまだ続いている。
「み、皆に伝えないとっ」
お嬢は岩陰から飛び出し、銃を取り出した。
「って、バカかっっ!?」
急いでお嬢の手をつかんで岩陰に避難。
「ちょ、なにするのよっ!」
「お前は馬鹿か!?発砲なんてしたら確実に殺されてたぞ!?」
お嬢の顔を自分の視線の方向に合わせる。
「奴隷の牢獄の近くには銃を持った警備員、四十八方には監視カメラ!見つかったら最後だぞっ」
「うっ・・・・・」
悔しそうに俯く。自分の話を聞いてもらうためにアピールしようとおもったのだろう。
「とにかく俺たちにはどうすることもできない。わかったな?」
「助けたい・・・・」
「は?」
「助けたい!奴隷にされている人々を救いたいっ!」
コイツ・・・・俺たちにはそんな力ないのに、なんてことを言うんだっ・・・・
「無理だろ!分からないのかこの状況!囲まれて終わりだ!」
「それでも助けたい!」
こんの・・・っ!バカにもほどがある・・・・
俺でも助けられるのなら助けたい・・・・だが、力不足だ。
一体どうすれば。そう思った時、後ろから声が聞こえてきた。
「お主達に力を与えよう・・・」
一瞬その言葉に驚く。ゆっくりと後ろを見ると、他の商人同様布で顔を隠した老人(?)が座っていた。
「ね、ねぇ、力を貸してくれるの・・・・?」
商人はコクリと頷くと、後ろの復路からカバンを出した。
「このカバンにはとても役に立つものが入っている。もっていきなさい。」
「ホ、ホント!?・・・えっとお金・・・」
「お金は結構だよ、持って行きなさい。」
なんだこの商人・・・なんでこんなに協力的なんだ?
「ありがとうおじいさん!ほら、カバン!」
お嬢からカバンを渡される。結構な重さだが、何が入っているんだ・・・?
「なんで俺たちにココまでしてくれるんですか?貴方には阻止するべきでは?」
「ちょっと、なんで阻止する必要があるのよっ」
「俺たちがココを潰したら商人の貴方は困るはず。そうでしょう?」
商人は少し顔を下げ、体を震わせた。
「え、どうして泣いて・・・・」
泣いている?何故なくんだ?
「一人、娘がいてな・・・。2年前から家に帰ってきていないのだ」
その言葉で、察した。
「まさか・・・・その子がこの中に・・・?」
「うむ・・・」
涙をポロポロおとし、お嬢の腕をとる。
「なるほどな、その子を助けて欲しいと。」
「あぁ、頼めぬか・・・?」
少し考える。この話は本当だろうが、俺たちに頼む必要はあるのだろうか。
すると、俺が何かをいう前にお嬢は口を開いた。
「任せて!絶対に助けるから!」
「お嬢・・・・」
何も策がないというのに、この意味不明な自信。
昔から・・・こんなやつだったな。
「しょうがない、俺も手伝うとするか。」
「あ、ありがとう!」
キラキラと目を輝かせる。これだからワガママお嬢は。
「では、よろしく頼みましたぞ。」
俺とお嬢は手をふり、檻の方へ向かって行った。




