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アンサー小説を頂きましたDX

ヘヴンズアンダーコンストラクションの真の神であるLizreelさんからアンサーを頂きました

なんて恐れ多いことでしょう

どうでもいいですがぱっと見たときLizreelさんの日本語読みがでてこないのは渡しだけでしょうか

国民の皆様おはようございます、私アガルタの構築士 赤井ですけど、いかがお過ごしですか。

 さてこちらは今日も元気です。寝癖チェックよし! 顔に何もついてないし白衣の汚れもないし。

 布団も干したし神殿の掃除もトイレ掃除もしたし祭壇の生花も生けたし……意外とマメだな私。……従業員いない状態の神殿運営は大変なんですよ皆さん、神様が掃除ってシュールだと思うけど仕方がない。


 さ、今日も張り切って仕事しますかー。今日はグランダを中心に回ろうかな、うん。

『おうふ!』

 神殿の正面扉を開けようとしたところで、背後から急襲されました。そのぽふっとした感触から、誰に襲われたのか丸わかり。振り返れば奴がいました。

『えー赤井さん今日も出かけるの~? たまには神殿おうちでまったりしようよ~』

 モフコ先輩は毛を膨らませて全身で抗議の様子。先輩……そろそろ毛玉に顔描いてもらえませんかね。正面向いてるのか背をそむけられてるのかすら分からないです。


『仕方ないじゃないですか、エトワール先輩が有給で祝福二倍しないといけないんですから。私が出張しないとネストの民はそうそう来れませんし。先輩はここでお留守番して接客するかモンジャとグランダのパトロール手伝ってくださいよ』

 てか仕事してくださいよ毛玉さん。ぐーたら主婦みたいですよ。

『主婦て失礼なっ! これでも花も恥らう独身女性@婚活中だよ! ひどいよ赤井さんー。赤井さんがモフモフ好きだって話だからこんな姿でけなげに頑張ってるのに! なんでモフってくれないの! 民にはあんなに気軽に祝福するのに差別はノンノンノンだよ。ガチムチなムサメンもぽっちゃりオバチャンもいい笑顔で祝福するのに~何で私だけ~』


 先輩、ぴょんと跳ねて私の顔面にぽふんぽふんと八つ当たり。毛玉なりにバックドロップキックしてるんです、ふわふわですが、重さはあるので地味にききます。


『や、痛い痛い! 先輩太りました? 前よりキックが重くなってます! 鼻が潰れます』

『サマーソルトキックだよ。太ってないよむしろ痩せたよ! ダイエットしたの~! 軽量化したから気安くモフってくれてもいいのよ! なのに私に見向きもせずシツジばっかりモフって。モフってくれるまで断固抗議するっ!』


 痩せたんだ……。

 毛玉のダイエットってどうやるの? 毛の量を毟って減らすとか、シャギー入れるとか。先輩、どこから取り出したか「必勝」ハチマキ巻いて私の白衣の裾に文鎮みたいに座り込んで動きゃしない。


『先輩~……。先輩をモフるより各地を回って祝福するのが私の仕事ですし』

 祝福は甲種構築士にしかできない仕事なので、私が祝福拒否したら大変なことになると思うんですが。それに私、毛が好きなわけじゃなくて猫的なモフい動物が好きなわけであって、それは先輩に何度もお話したことです。

『よーしそこまで言うなら目かっぽじって見てなさいっ!』


 先輩の周りに奇妙なピンク色の煙がぽふんと上がると、煙が去った後には……


『にゃーん?』

『ちょ、にゃーんは禁止――!』

 私は気が抜けて膝からくずれた。駄目だこの人……モフモフしい純白の子猫に変身しちゃった。あなた銀の精霊のネーミングはどこへ。つぶらな瞳で誘ってくる。私の好みど真ん中です。ピンクの肉球をちらつかせて招き猫やってる! くいくいっとかわいらしく手首に招かれるその様子を見ていると……。


 ふ っ き れ た!


『にゃにゃ~』

 思わせぶりに後ろを振り返り、ゆっくりと尻尾を動かしじらす先輩。今度は尻尾で釣る作戦だ。その動き見てたら催眠術にかかってしまう。

『卑怯ですよ先輩……現実世界のパクリまでやらかして。ってああっ、体が勝手に!』

 む、無念。言うことをきかず一歩、一歩とモフコ先輩に吸い寄せられる私の足。必死にこらえる私。先輩誘惑の構え。そして数十秒後。

『にゃーん』

『にゃーん』

 抵抗むなしく……というか最初から勝敗は決まってたよ。あっと言う間に陥落しました。撫でたりじゃれついたり転がったり先輩をひとしきりモフった後、先輩を私の膝に載せて悦に入る私。もう昇天してもいい、幸せなひと時……かと思いきや


 (焼)


 聖堂内に現れたマルに焼の文字! 略して丸焼き。焼人の転送陣出た―! 

 ひー! 強羅大文字焼▲さんと信楽焼▲▲▲さんが来ちゃったー! 何であの版権切り込み区画こと第二区画で反応しなかったのにそんな神速で反応するの! 猫姿で逃げようとするモフコ先輩は強羅大文字さんに一瞬で拿捕された。目つきの悪いソフトモヒカンさん怖いよ~!

 

『内規違反者は信楽印のモデルロケットで打ち上げですの!』

『に’’ゃっ!?』

 フル武装の強羅大文字さんにわっしと鷲掴みにされる猫姿のモフコ先輩。そして神殿の裏庭に怒涛の勢いで連れて行かれ、信楽焼▲▲▲さんの自作ロケットのノーズコーン(先端部)に搭載された。モデルロケット作成は信楽焼さんの趣味だって聞いたことがある。モデルロケット大会優勝の腕前らしい。小型人工衛星打ち上げたこともあるって言ってたよこの人。ライセンス持ってるんだって。よく見ればロケットには信楽印(信楽焼タヌキの絵)がっ!

『うっし任せとけ姉御~! 大気圏まで逝ってQ!』

『ファイヤーですの!』

 くねっ、と腰を曲げ指差しでポーズを決める信楽さん。

 語尾にですの! を付けるのが信楽さんのマイブームなのかな。もうこの人たち怖いから何もツッコむまい。強羅さんは何でいつも舎弟キャラなの、とか。

『発射10秒前、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射! 1、2、3、4……』

 ボオオオオ。ロケットエンジンに点火すりゃ宇宙マニアな私の胸が熱くなる。これサターンV型ロケットのミニチュアじゃん。現実世界で創ったら結構お金かかりますよこれ。


『やなかんじ~!』


 猫になったモフコ先輩が聞き覚えのある捨て台詞を残し、ロケット花火に縛り付けられてどこかへ打ち上げられていきました。

『第一段ロケット、リフトオフですの! 第二弾点火成功!』

 多段式かよ。宇宙まで飛ばす気満々かよ。こうやって仮想世界でロケット発射実験してたらそりゃモデルロケット大会優勝するわ。

 きらーん……先輩が星になってしまいました。

 モフコ先輩~、秒速7.8kmぐらいで飛べば人工衛星になれますよ。そして空から見守っていてくださいね。

 そっと地上から哀悼の意と敬礼を送ったら、十分後。パラシュートを背負った毛玉だけがどこかに落ちてゆくのが見えました。骨は拾いませんよ先輩。

『発射実験成功ですの!』

『さすがだぜ姉御、しびれるぜ姉御』

 通算112本目の打ち上げに成功し、強羅さんとハイタッチで喜ぶ信楽さん。先輩、グランダあたりに落ちたなありゃ。あ、でもモデルロケット打ち上げ楽しそうだなー。現実世界出たら教えてもらおうかな。

『信楽さん。私が退職したらモデルロケット打ち上げ教えてくれません?』

『赤井さんは億万長者なのでモデルロケットといわず実機ロケットを作ればいいと思いますの』

 それもそうか。私の口座、振込額がでかすぎてパンクしてないかな。帰ったら慰安旅行に太陽系一周ツアーでも行こうか。でもその前に。


『グランダの祝福に行きましょうか』

 とりあえず仕事する。

 キララの城に寄って、まずは女王の彼女から祝福だ。天空神信仰が失われた今、グランダでは王権依存が強くて、祝福の順番を間違えるとえらいことになる。民や兵士から、王を蔑ろにしては困ります、と不満の声が上がる。その後、気を遣うのは兵士たちに祝福するとき。彼ら、以前私と戦ったことあるからね。長年私を邪神だと思ってきた彼らだし、気持ちの整理がつかなくて未だに祝福させてくれない人もいる。グランダ兵の副隊長さんとか。


 よく考えてみれば、「抱擁での祝福」の上位スキルである「大気を介しての祝福」っていうのは、主神へのアンチ対策なんだよね。アンチの人も強制的に祝福を授けることができるようにっていう。私も祝福するだけで時間とられるし重労働だし、たまに骨折られるし早く習得しないとな。


 王の間に入ると早速キララがとびついてきたのでそのまま祝福。侍女たちに嫉妬の入り混じった瞳でガン見されている、この居心地の悪さ。

 キララは人より何十倍も信頼の力を私に授けてくれるから、私も彼女を抱くのが心地よくて人よりついつい長めになっちゃう。

 このときばかりは彼女も借りてきた猫のように大人しくなるんだ。おっと猫の話題は今禁止か。私の腰の辺りに両腕回してコアラみたいにきゅっとしがみついて、離す気配なし。ほわーっと緩みきった顔して、幸せそうなんですけどね。私も幸せ。侍女の皆様からの刺すような視線がなければ。


「おほほ、お二人とも、まあまあ。もうそのくらいになされてはいかがです?」

 キララの幼馴染の侍女長のパティさんにキレられました。この人ヤンデレだから気を付けないとな。

『そうですね。では他の方々の祝福にうつります』

「むう……、まだよいではないか」

 ああっ、キララさん火に油そそがないで! 私はさりげなくキララを引きはがす。


 私は素民たちに祝福しないと神通力が使えないけど、じゃあ素民たちが長期間祝福を受けないとどうなるかっていうと、死亡率がぐんと上がるんだって。死なない人もいるけど、ありえないぐらい運が悪くなるらしい。エトワール先輩の話によると、2年間祝福を受けなかった民は全滅するって。

 事実、私が一年間不在にしたモンジャでは、病気になる確率が20倍、事故発生率も高まり、死亡率もぐんと跳ね上がってた。もう一年留守にしてたらと思うとぞっとするよ。メグの薬花が皆の命を救ってたんだけど。


 まあ、嫌ですよね。逆の立場なら、何の為に私にハグされないといけないのかってなる。意味わからん。別に祝福していらんし……って言われると、強制的に抱きつかないといけなくなる。で、更に嫌がられるという負のループ。

 モンジャ民は最初から私と一緒にいたし、老若男女問わず祝福を受けたがる。

 ネスト民なんて昔から赤い神を待ち焦がれてた民族だから、ネスト訪問して祝福しますよ~って言うと歓喜のあまり喜びの舞を踊りだすから私も気分よく祝福するんだけど……グランダ民は大体二分されてるな。


 というわけで、早く美人女使徒さんに来てもらって祝福手伝ってもらおう。

 それならガチムチ兵士さんたちも嫌がる人はいないだろうね。


 時々兵士さんたちに心の中でディスられる。表面上ではニコニコしてても腹の中で文句言われると結構傷つくしへこむ。そしてへとへとになりながら祝福終了。

 あー……今日も祝福の行列に副隊長さんいなかったなー。嫌われてるっぽいなー、ということでキララさんの王様執務室に挨拶に戻る。キララさんは執務机についてちゃんと仕事していました。以前は祭祀の道具が所せましと並んでいたキララのお部屋から怪しいグッズは撤去され、シンプルな石製の調度品の置かれた部屋になっていました。ネストの巨大なタペストリーが飾ってあったり、モンジャの民芸品のカラフルな壺に花がいけて置かれていたりする。


 机の上に図面がいろいろ拡げてあるな。侍従の人たちにきくと、キララは朝から晩までグランダの復興関連の工事の指揮に忙しいみたい。視察に行ったり、謁見に応じたり。パウル王と会談したり手紙のやり取りをしたり。未成年なのに頑張ってる。


『いつも忙しそうですねあなたは。王政補佐官を置かないのですか』

「うむ、以前は置いていたのだが、今はアカイの守りのおかで外患に気を取られることはなくなったし、内政にだけ集中していればよいのだし楽なものだ」

『邪神対策があなたの仕事だったということですね』

「祭祀もな。王族そのものが邪神を退けるという責務を負っていた。ところで全員祝福してくれたのか?」

『いえ、一人だけ……キララさん、副隊長さんはどこに……』

「さっきはここにいたのに、出て行ってしまったな。呼び付けようか?」

 女王様は呼びつけようとしてたからやめてもらいました。てかそういう意味じゃなくてですね、そんな呼びつけたりしたらますます嫌われるだけですから私。できれば和解したいわけです。


『あ、自分でさがします』

「捜してどうする。彼は祝福を望んでないようだ。全員への祝福は義務ではあるまい。信仰の押し売りは感心せんぞ」

 キララは執務室の机に脚を乗せ、渋い顔をしている。お行儀悪いですよキララさん。てかこの構図、完璧に職員室の先生に呼び出されて机の前に立たされてる生徒だ私……そして祝福ですが、困ったことにこれが義務でして。


『長期間祝福を受けなければ命にかかわります』

「そういうものなのか……それは困ったな」

『そうなんです。では直接お話ししてみます』

「待て、アカイ」 

 抜き足差し足、出て行こうとすると呼びとどめられた。


「接触するのはよせ。知っての通り我々グランダの民は長い間、赤い神を邪神だと信じていた。王は兵を集め、武芸を磨き、命がけで邪神の降臨に備えてきたんだよ。それに、我々は前世のエトワールには恩がある。グランダに文明が芽生えたのは彼の導きのおかげでもある。今でも、私でさえ。アカイの見てくれ、その姿に本能的な恐怖を覚えるのを理性で何とか抑えているんだ」

『ええ、それは理解できます』

 わだかまりはあるよ。それはお互いに。グランダ民は特にだけど、子供はともかく大人は私の顔をなかなか見ようとしない。怖いんだ……昔語りに赤き邪神の話を伝え聞いてきた彼らは、その身に恐怖が染みついてる。


「兵たちは目標を見失い、心の空白を穴埋めする事ができないでいる。街の復興にも目処がついた。そこで何をすべきか、何もする事がない。彼等は各々の鍛え上げた武芸の腕を持てあましているんだ」


うーん、キララの言う事ももっともだ。そっか目標か、だからといって実戦にしても訓練ばかりやっても士気あがらないし、プライドもあるだろうし。他の管区とかどうやって解放した区画の敵陣営の不満解消してるんだろう?


 私が戦ってやられてあげれば気が済むのか? 

 でもそれだと一時的で何か違う気がするし、多分そんなの望んでない。考えてみれば、昔から兵士は戦争をしたがるものだし、軍部が暴走なんてしょっちゅう起こる話。封建制っぽいネストの御家人と違って、彼らは職業軍人だからなー。


「折角きたえても、それをふるう場がなければ士気もなくなってしまうだろう」

 武芸を鍛えた人が競い合って活躍できる場……。戦争起こすってわけにもいかないし。

 あ。

『キララさん、ではこうしましょう。モンジャ、グランダ、ネストから選手を集めて競技祭典をやりましょう』

「競技祭典?」

 やっぱこれでしょ、オリンピック。実戦がいいと言われるとどうしようもないけど、剣技も種目に入れれば参加してくれるかな。気に入ってもらえるか分からないけど、参加したそうな面々はいる。うちの集落にも腕力を持て余している輩はたくさんいるし、競技大会をすれば各国の交流も盛んになるでしょ。


「面白そうだ」

 

 キララさんの同意を得て、こうしてアガルタ27管区全土から選手を集め、

 第一回 世界競技大会が開催されることになりました。

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