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Lizreel さまからのアンサーSSをいただいたぞ inサマー

 国民の皆様今日も納税してますか? 余計なお世話ですねすみません。

 私も素民たちも元気です、正直言うとちょっぴり怯えてます。

 どうしてこうなった……というわけで最近の近況をお話しします。


 あ、私とエトワール先輩、最近は冠婚葬祭で大忙しです。

 素民の結婚式を執り行うのも私らの仕事。最近は多い日で一日三組も結婚式してる、めでたいかぎり。んで私ら、結婚式のときは少しおめかししてる。先輩がローブを創ってくれたので、儀式のときはそれ羽織ることにした。


 第一区画が解放になって、私の神殿ができてまた祝福を再開してからというもの、私は毎日のように結婚式に出ずっぱり。何でかってと、この一年間、モンジャの民たちが私がいないからって結婚式をしなかったから。第二の理由としては、モンジャとグランダ、二区画分の結婚式をやってるから。

 結婚式は私の神殿でやることになった。前は屋外で手作り感満載な雰囲気でやってたけど、神殿だと天気関係なく挙式できるからね。


 新郎新婦はこの日のために仕立てた手作りの白い衣装を着て、祭壇の前で新しい家族どうし杯をかわし、杯を飲み干すと二人でお祈りと宣誓。私が夫婦となることを認めますと言えば、花輪を首にかけ、お祝いの言葉を送り(毎回祝辞考えるの疲れるよ)、二人を抱擁して祝福し、終了。あとは各自で宴会。ってな式次第。トータル一時間弱ぐらいかな。


 私が付き合うのは儀式のところだけ、祝宴は家族友人でやるみたいだ。


 式次第書くと割とちゃんとしてるな……気が付けば、いつのまにか本格的な儀式と化しちゃってる。更に現実世界でのブーケトスを覚えていた患者さん(メグかもしんない)によって、神殿でブーケトスもどきが始まっちゃった。新郎新婦、小さな花輪を一個ずつ(男性は赤で女性は白の)、参列してくれた素民たちに放り投げる。


 例によって、それを受け取った人が次に結婚できるとかいうジンクスがウケにウケ、独身男女が集まる集まる。花輪トスは最初はモンジャだけの習慣だったんだけど、最近はグランダの婚活中の男女も紛れ込んでる。


 そんな風潮の中、その日も無事に二組の式を終え、楽屋裏、いえ神殿の至聖所(自室)で先輩と駄弁る私。寝そべったり足組みしたり、やれやれとリラックスモードです。誰も見てないから大目に見てよ、結界張ってるからいいんだ。私は結婚記録をインフォメーションボードにつけながら、ここ最近気になってたことをポロリと溢す。


『あの子、また来ていましたね。これで連続何日目でしたっけ。どうしてあんなに花輪をゲットしたいんでしょう』

『んー、まあ100人近くも独身男女が集まってるんだから、キャッチできる確率は相当低いよな。だから頑張るんだろうけど。シュールな光景だよな』


 先輩、また誰かとメールしてら。ちょっとはさー、こっちの会話に集中してくれてもさー。先輩は現実世界のが大事なんでしょうけど、私は職場とプライベートが一緒なんですから……四方山話にも付き合ってくださいよ~。私も実はリア友や家族とメールしたいんですよ、あと西園さんにも連絡取りたいし。とか思ってたら、先輩がチラリとこちらに顔を向け……ものほしそうな私の顔を一瞥した後、メールを再開しました。マイペースっすね先輩。

 先輩って、頼りになるときは鬼のように頼りになるけど、オフモードだととことんグダるからなー。


『私の翼の色、次は何色がいいと思う? 春に向けて、花柄にしろと妻に言われるんだが……ピンクの桜吹雪とか』

 とか聞いてきた。奥さんあなた面白がって適当なコメントを……先輩が真に受けちゃってるじゃないですか。本当に羽根にペイントしちゃったらどうするんですか。

『……先輩は白がお似合いですよ』

『そ、そう?』

 まんざらでもないご様子。

『でもお願いですから変な色にしないでくださいね。例えば花柄とか』

 返事がない。

 ギメノさんときに百年以上も真っ黒なコスチュームだった反動、今頃きちゃったみたい。

『星柄は?』

 どうしようこのセンスのなさ。

『例えばですね、私がこの白ワンピの長い裾を切って超ミニスカにしたらどうします?』

『それはやめてくれ。神様のイメージってもんが見事に瓦解する』

『そのお言葉、そっくりそのままお返しします』

『そんなにひどくはないだろ』

『互角だと思いますよ』

 先輩が何か今日は様子がおかしいので、私は腕まくりをし、箒を持って結界を出て、神殿内の掃除にとりかかる。今日は赤青黄色のフラワーシャワーが大散乱してたからな。花びらの散らかり具合ときたらもう、嫌がらせかと思うほど。つくづく思うね、家が広いと掃除が大変だ。皆さんも広い家を買えばいいってもんじゃありませんよ、気を付けてくださいね。

 ん? 神殿の掃除? 私の仕事ですが何か。

 自分ちですから、自分できれいにしないと皆が来てくれないもんね。てなわけで散らかった花びらなんかを掃き集めていると。


 あの子が辺りを必要以上に見渡しながら神殿に入ってきた。私の中でのホットトピックス。今日のあの子は白黒のしましま長袖ワンピに白いケープ着ています。多分だけど、モンジャとグランダの文化が折衷しちゃったっぽい。

『リネカさん、こんにちは』

 私、逃がさないよう背後に回り込みつつ速攻声かけます。至聖所で休息していると思ってた私が出てきてたもんだから、彼女は不自然な動きで慌てます。見る角度によっては、私がすごく張り切って掃除してるように見えたかもしれない。


『今日は結婚式があったので、集落では盛大に宴をしている頃でしょう。宴にはいかないのですか?』

「逆に今なら、だれもいないかなと思ってきたんです。かみさまに聞いてみたいことがあって」

 たしかに。皆さん酒池肉林の宴の最中ですもの、飲食できない私は気を遣われて呼ばれないけど。ホントは呼んでくれよ、と思ってるのは内緒だ。


『よいですよ、何なりと訊いてください』

 掃除を終え、談話室として使っている神殿の祭壇横の小部屋に案内する。プライベートな話はここでするようにしてる。人目があると話しにくいだろうからね。でも彼女は入らない、私と二人きりは嫌か―


「あ、長引く話じゃないんでここでいいです。ヒノさんから、かみさまが好きな相手のこと、わかるんだって聞いて。今誰もいないし」

 あー、ヒノがロイのこと好きだって、私以前当てたことあるからな。ヒノ、それ公言しないでよ。恋占いとか求められても困るんだからさ……。

 なに、銀座の母とか大泉の母ばりに、「カルーアの父」とかで占いの館開くべき? 勘弁してよ。


『あなたは毎日のように神殿に来て、花輪を取ろうと必至に奮闘しているのは見ていましたが……もしかして恋の悩みですか?』

「わ、見られてたんですか! というか、別に必死じゃないです!」

 そりゃ見てますよ参列者の顔ぐらい。てか君、いつも最前列にいたよね。いつもはおとなしい子なのにそこだけ積極的だったから、どうしたのかと思ってたよ。


『最初の数回は偶然かと思いました。どうやら偶然ではなかったようですね』

 リネカがはにかんだ表情をしながら、手持無沙汰に掃除を手伝ってくれる。

 二人で掃除しながら話を聞いてみたら、彼女、ソミオのことが好きみたいだ。ソミオ(兄)とソミタ(弟)の兄弟。……ぶっちゃけ、素民をもじった名前なんだと思う。彼らは相変わらず元気にやってる。そして私は相変わらず狙われる。二人ともA.I.なんだけど、好奇心旺盛で何でもやってみる気概が凄い。

 だからって私やエトワール先輩を的にしないでほしい。別に私、親の仇とかじゃない。何かしましたっけ?


 12歳のソミタは、夫婦やカップルが夜間に如何わしい雰囲気になってるのが気になるお年頃。子供には刺激的過ぎるかな。つっても17歳の兄の方はそろそろ結婚適齢期だったりする。この時代の人は自立が早いし、結婚も早い。

で、リネカはソミタの結婚相手にはうってつけなんじゃないかと思うわけだけども。


「で、どう思います?」

 どうって……話に脈絡がないな。ソミオとうまくいきそうかってこと?

『彼はまだ、そういうのに興味がないみたいですね。好きな人もいないようですし……』

 苦笑しながら伝えると、彼女が悩んで黙り込んでしまった。そこで具体的にどんなアプローチをしているのかと聞くと……遠くから見ているだけなんだとさ。そりゃだめだよー、テレパシー送ったって伝わらないでしょ。まずは声かけて話して共通の話題見つけて仲良くならないと。


『まずは友達から、ですね。そうだ、漁についていってはどうですか? そうだ、二人で舟を出して湖で釣りをしてお弁当なんかを食べたり~』

 とか、あの子らが好きそうなシチュエーション考えたりして誠心誠意アドバイスをしていると


「あ、もうソミオさんに好きな人がまだいないってわかったので大丈夫です。あかいかみさま、忙しそうですし」

 と、話のこしをぱっきり折られました。

『今日は暇なので相談に乗りますよ』

 と、若干むきになりつつも、顔面ではにこやかに応じると

「……ところでかみさまって、男女の恋愛のことわかります? えーと、なんていうか。その、あまり参考にならないかな? っていうか。いえごめんなさい、そんなことはないんですけど……」

 と一刀両断されてしまったよ。要するに、あてにしてないってことでしょ?

 はい私撃沈。恋愛相談においては戦力外通告を出されてしまったよ。人生相談でも戦力外通告出されたことあったな。人生とはですね~と語ってたら、人生分からないでしょ! とか怒られたことがあった。ごもっともだよ、でも私人間なんですけどね。しがない22歳の、どこにでもいるような好青年なんですけどね、いや違うな。もう既に精神年齢は30歳以上いっちゃってる。


 あんだよ私だって多少の恋愛のアドバイスぐらいできるよ、こう見えて現実世界では何人か付き合ったことあるわけだし、別にDTでもなければ魔法使いでもない。でも


『そうですね、男女の心の機微はよくわかりませんね。でも、うまくいくよう祈っておきますよ』


 と、いつものように営業スマイルで答えるしかなかった。うーん何か悔しい。


 なんやかんやで数日経ち、ソミオとソミタに銛で射られたりしたこともあったけど、私は元気です。

 んで、気づいたらリネカがソミオと一緒に並んで談笑しつつ、漁具を持って集落とグランダにかかる橋の上を歩いてた。何か二人とも微妙な距離感で初々しい感じで、傍から見ると付き合い始めって感じ。ソミオはまだよく分かってないみたいだけど、仲睦まじい雰囲気だった。


 うん。私のアドバイス、必要なかったんですね、本当にありがとうございました。

 でも何でか、私がソミタに射られたからそれが切欠で上手くいったんだって。ありがとうって後日リネカに言われたんですけど、どういうこと? 射られて縁結びとかどんな仲人だよ。


 これに味を占めて今後、三人で私を狙うようになるのかと思うと、恐ろしすぎて夜も眠れません。

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