すたっふだってがんばってます?
おはようございます。
佐藤 浩です。
突然名前だけ名乗っても誰だかわからないと思うので、自己紹介をします。
第二十七管区のアシスタントデザイナー、「凄腕揃いの27管区で一番目立たない人」佐藤 浩です。
なぜ、僕がこんな風に話をしているかといえば、先日こんなことがあったからです。
佐藤くんデザインのグラフィックによる再現映像
チーフデザイナー(以下・モフコ)「この間猫のグラフィックを中(アガルタの中)で使った罰で、伊藤のおじちゃんから内部向け二十七巻区内の動植物のアピール映像作れっていわれたんだよ伊藤くん!」
佐藤(以下・ぼく)「佐藤です。 たいへんそうですね。 がんばってください」
モフコ「なにいってるのさ吉田くんがつくるんだよ! 私は中で赤い神様ともっふるもっふるしなくちゃいけないんだよっ! そんなことしてる暇なんてないもん!」
ぼく「佐藤です。 ええ? でもそれ、チーフ(モフコ)の罰なんじゃ」
モフコ「いいかい加藤くん! 中にいる患者さんが復活してきてるのは、何も赤い神様だけのおかげじゃないんだよ! 君たちみたいながんばってる子達がきちんとした下地を作ってるからこそなんだよ!」
ぼく「佐藤です。 そうなんでしょうか。 でもそれとこれとは関係ないんじゃ」
モフコ「だからこそみんなに私たちグラフィックデザイナーがいかにきちんと細かい動物の設定とかをがんばってるか知らしめてやるんだよ内藤くん!」
ぼく「佐藤です。 ていうか、チーフはいっつもいかにして版権ぎりぎりを攻めるかばっかり考えてるから生態デザインとかぼくらに押し付けてるから知らないだけなんじゃ」
モフコ「あ! もうこんな時間だ! もっふるに間に合わなくなっちゃう! じゃあ、これ命令書ねあとよろしく勅使河原くん!」
ぼく「佐藤です。 ああ、待って下さいっていうか何でスキップなんですか!」
そんなわけで、ぼくが二十七管区内の動物のプロモーションをすることになりました。
チーフから押し付けられた書類を見たんですが、要するにどんな動物がいて、どんな風にすごしているかをまとめればいいようです。
アガルタ内の動物を扱った動物ドキュメンタリーっぽいのをつくればいいんでしょうか。
なんだか書類に書いてある言葉が難しすぎてよく分かりませんでした。
とりあえずチーフがデザインをして、ぼくが行動や生態を設定した動物を紹介して行こうと思います。
1・ミツナメ
真社会を作り蜜や花粉をえさに生きる「ミツナメ」の朝は早い
日が出たのと同時に開く花の蜜を求めて、巣から這い出していく
土と草、巣を作るときにしか出さない特別な唾液、そして蜜蝋で固められた高さ2mほどの塚は非常に頑強で、夜にはほとんど活動しない彼らを守ってくれる
現実世界のシロアリの塚に似たそれは、鉄の剣でも破壊するのは難しい
巣から出ると、働きミツナメたちは花を求めて歩き回り始める
鋭い爪のついた足は木や岩などを容易に踏破し、高いジャンプ力をも駆使してさまざまな場所へと広がっていく
一匹のミツナメが草の花を見つけた
体長10cm弱のこの種は体重が非常に軽く、草に登ってもそれが折れることはない
器用に花の上まで上ると、長く発達した舌と口を使って蜜をなめ取る
顔にだけ生えた毛に、たっぷりと花粉がつく
巣に戻るとこの花粉も集めて餌にするのだが、それまでは花の間をめぐり受粉を手伝う
虫のいない27管区の植物にとっては、非常に重要なパートナーだ
蜜をほほ袋いっぱいに集めると、急いで巣に戻る
歩き回る間に口内で特殊な酵素を分泌させ、花の蜜を加工する
通常花の蜜の糖分はさほど高くないのだが、こうすることで成分を分解し、成分を糖へと変換するのだ
糖度のあがったこの蜜は、さらに巣の中で貯蔵されることにより水分が飛ばされ濃縮されていく
最終的に糖度が約80パーセントほどになったところで、「ミツナメの蜜」として完成、食料として消費される
さして甘くないはずの花の蜜も、ミツナメが集めると甘く美味しくなるのはこのためだ
これは実際の世界における「ミツバチ」などもおこなっていることであり、「甘いものは大切でしょ! そーでしょ!」というモフコ(チーフデザイナー)の意向によりこのような機能を持たされることとなった
彼女曰く、「スイーツのない世界なんて滅びればいいのにっ!」とのことだ
さて、いま画面に映っているのは、ご存知のようにモンジャ集落に試験的につれてこられた「ミツナメ」の巣の働きミツナメである
どうやらこのミツナメは、まるっこい獣牧場に迷い込んでしまったようだ
警戒心が異様に強いまるっこい獣は、みなれないミツナメを見つけ心底びびっているようだ
ミツナメはもともとネストの森にいた動物であるため、比較的気性は激しい
力の強い前足を振りかざし、仁王立ちになってまるっこい獣を威嚇する
リズミカルに体を左右に揺らしているのは、少しでも体を大きく見せるための工夫だ
まるっこい獣は鳴き声も足音すら立てずに回れ右をして走り出した
あらかじめつくってあった草網籠のような巣に飛び込むと、丸まって気配を消す
徹底的に逃げに回ることが、まるっこい獣の生存戦略なのだ
戦い(?)に勝ったミツナメは悠々と巣に戻っていく
巣にいる留守番のミツナメがつくった蜜をためるための穴に蜜を吐き出し、顔についた花粉を前足で器用に集め穴に入れる
別の穴に貯蔵してある完成した蜜をなめしばらく体を休めると、働きミツナメは再び巣の外へと出て行く
こうして日の上っている間は、ずっと花と巣の間を往復する
彼らの受粉に頼る植物は多く、素民たちにとっても貴重な糖分の生産者であるミツナメ
今後さまざまな土地で増やされ、改良されていくだろう彼らは、27管区においては繁栄を約束された種といえるだろう
ただ
この世界における神、赤い神には
『なんかクリーチャーっぽくて怖いんですよ! この間なんてぼーっとしてたら服の中に忍び込んで股間のところをむぎゅーっと! なくてよかったってはじめて思いましたよあれが!』
と、すこぶる不評だった
そんな彼に、最初の使徒であるエトワールは冷静にこういったそうだ
『赤井君、そろそろ五時だから帰りたいんだが。 オムツを買ってくるようにたのまれているんだよ』
というわけで、今回はミツナメを紹介しました。
ネストの動物は基本的にすべてのろわれている状態を基本に、そこから呪われていない状態を逆進化させる形でデザインされています。
動物の外観デザインはチーフがほとんどやっているのでよく分かりませんが、なんでも「ポケモ○っぽいくていいでしょ!」とのことでした。
捕まえた動物に敵を倒させると、その倒された動物の思いが呪いになって積み重なり、ある程度に達すると呪われた状態になるとかいっていましたが、ぼくに真偽を確かめる勇気はありません。
ぜひ、ほかのチームの方に確かめてもらいたいと思います。
次回はモンジャ集落でよく食べられているまるっこい獣こと、「マル」を紹介したいと思います。
ずっと居たのに「あれ? 何時きたの?」といわれる方、佐藤 浩 でした。