表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【万物鑑定】で追放から成り上がり!Sランク勇者パーティが崩壊しても、最強仲間とスローライフ中  作者: 黒崎隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/23

第五話「規格外の新人冒険者」

 ルナという頼もしい仲間を得たアッシュは、薬草採取の依頼を報告するため、ギルドへと戻った。

「あら、アッシュさん、お早いお戻りで。依頼のセリナ草は……」

 カウンターでアナスタシアが言いかけたが、アッシュが差し出した採取袋の中を見て言葉を失った。中には、依頼の倍以上である二十数本のセリナ草が、完璧な状態で詰められていたからだ。

「……これを、すべてお一人で?」

「ええ、まあ。運が良かったみたいです」

 アッシュがはぐらかすと、アナスタシアは何かを探るようにじっと彼を見つめたが、すぐににこやかな表情に戻った。

「素晴らしい成果です。依頼達成ですね。こちらが報酬になります」

 報酬を受け取り、アッシュはギルドの依頼ボードを眺める。次に受ける依頼を探すためだ。

「アッシュ様、次は私が役に立てるものがいいです」

 隣に立つルナが、背負っている弓に手をかけながら言った。彼女を仲間にした以上、戦闘系の依頼もこなせるはずだ。

 アッシュは「ゴブリンの討伐(Eランク)」という依頼書を手に取った。

「これなら、今の俺たちでも大丈夫だろう」

「ゴブリン……承知しました」

 二人は再びギルドを出て、ゴブリンが出没するという森の東側へと向かった。

 森に入ってしばらくすると、前方の茂みがガサガサと揺れた。複数の気配がする。

「来たな」

 アッシュは即座に【万物鑑定】を発動。茂みの奥にいる敵の情報を読み取る。


【名称】ゴブリン・リーダー

【弱点】左膝(過去の戦闘で負った古傷)

【次の行動予測】

 ▶三秒後、雄叫びを上げて部下三体と共に突撃。リーダーは棍棒を右から大振りでアッシュを狙う。


(三秒後、右からの大振り!)

 未来予知にも等しい情報。アッシュは即座に指示を出す。

「ルナ!三秒後、リーダー格が飛び出してくる!そいつの左膝を狙ってくれ!」

「えっ、ひ、左膝ですか?はい、承知しました!」

 ルナは一瞬戸惑いながらも、アッシュの言葉を信じて弓を構えた。

 一、二、三。

 アッシュが心の中で数え終わると同時に、ギャア、と汚い雄叫びを上げて、一際体の大きいゴブリンが棍棒を振りかぶりながら飛び出してきた。その動きは、鑑定結果と寸分違わない。

 しかし、そのゴブリンが棍棒を振り下ろすよりも速く、ルナが放った矢が風を切り裂いた。

 ヒュンッ!

 矢は見事にゴブリン・リーダーの左膝の古傷を正確に射抜く。

「ギッ!?」

 体勢を崩して無様に転がるリーダー。部下のゴブリンたちが混乱している隙を、アッシュは見逃さなかった。

「ルナ、残りの雑魚を!俺はリーダーをやる!」

 アッシュは懐から購入しておいた短剣を抜き、転がっているリーダーに駆け寄ると、鑑定で見抜いていた首筋の急所に刃を突き立てた。その間、ルナは流れるような動きで矢を三度放ち、残りのゴブリンを完璧に仕留めていた。

 戦闘は、わずか数十秒で終わった。アッシュもルナも、服に汚れ一つついていない。

「……すごい。アッシュ様の指示通りに動いたら、本当に……」

 ルナが驚きと賞賛の入り混じった瞳でアッシュを見つめる。

「ルナの腕が良かったからだよ」

 謙遜するアッシュだったが、彼は自分のスキルの本当の恐ろしさを実感していた。敵の弱点、次の行動までわかる。これは、どんな強敵が相手でも、無傷で勝利できることを意味していた。

 彼らはその後も、鑑定と弓の連携で、森にいたゴブリンの群れを次々と掃討。ついには、この森の主とされていた格上のホブゴブリンまで、同じ戦法で無傷で討伐してしまった。

 ギルドに戻り、討伐の証である耳を大量にカウンターに置くと、ギルド内が静まり返った。

「……こ、これは……」

 報告を受けたアナスタシアはもちろん、周りで酒を飲んでいたベテラン冒険者たちも、信じられないという顔でアッシュたちを見ている。

「Eランクのゴブリン討伐依頼で、森の主のホブゴブリンまで……?しかも、新人二人で、無傷だと?」

 ギルドマスターらしき屈強な男が、奥から出てきて唸った。

「君たち、一体何者だ……?」

 アッシュは「運が良かっただけです」と再び繰り返したが、その言葉を信じる者は、もはや誰もいなかった。

 規格外の新人冒険者の噂は、この日、リンドウの町を駆け巡ることになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ