表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【万物鑑定】で追放から成り上がり!Sランク勇者パーティが崩壊しても、最強仲間とスローライフ中  作者: 黒崎隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/23

第四話「森で出会ったエルフ」

 リンドウの町を取り巻く「ささやきの森」は、穏やかな名前とは裏腹に、道に迷いやすいことで知られていた。しかし、アッシュにとっては何の問題もない。

「【鑑定】」

 足元の土を鑑定すれば、【情報:多くの冒険者が踏み固めた跡。ギルド推奨ルートはこちら】と表示される。木々を鑑定すれば、【隠された情報:この木の洞には眠り茸が群生。胞子を吸うと三時間は眠り込む】といった危険予知まで可能だ。

 目的のセリナ草も、鑑定を使えば一目瞭然だった。

「あ、あった。これで五本目か」

 他の冒険者が一日がかりで見つける量を、アッシュはわずか三十分ほどで集めてしまった。このスキルがあれば、薬草採取だけで大儲けできるかもしれないな、と彼は呑気に考える。

 依頼分はすぐに集め終え、ついでに高く売れそうな薬草も採取していた、その時だった。

 森の奥、木漏れ日が差し込む開けた場所で、誰かが倒れているのが見えた。

「誰かいるのか?」

 警戒しながら近づくと、そこにいたのは、長く尖った耳を持つ、美しいエルフの少女だった。銀糸のような髪は乱れ、額には脂汗が浮かんでいる。浅く速い呼吸を繰り返し、ひどく苦しそうだ。

 アッシュはすぐに駆け寄り、彼女の状態を【万物鑑定】した。


【名称】ルナリエル

【種族】エルフ

【状態】呪い(衰弱・中度)

【情報】

 ▶森の深奥で暮らすハイエルフの生き残り。

 ▶身に着けている首飾りの呪いにより、生命力が継続的に吸収されている。このままではあと半日も持たない。


「呪い……!?」

 アッシュは彼女の首元に目をやった。そこには、黒ずんだ銀細工の美しい首飾りがかけられている。一見するとただの装飾品だが、鑑定してみると恐ろしい情報が浮かび上がった。


【名称】嘆きの首飾り

【等級】呪物アーティファクト

【効果】装備者の生命力を徐々に奪い、魔力に変換して内部に蓄積する。

【隠された情報】

 ▶物理的に外すことは不可能。

 ▶【解除方法】:呪いを中和する『月光草の露』を三滴、首飾りの宝石部分に垂らす。


 解除方法までわかるのか!

 アッシュは息をのんだ。もはやこのスキルは、ただの情報閲覧ツールではない。万物の理を解き明かし、解決策まで提示する「世界の攻略本」そのものだ。

「待ってて、すぐに助けるから!」

 アッシュは苦しむエルフの少女に声をかけると、すぐさま周囲の探索を再開した。「月光草」を探すためだ。

【万物鑑定】を最大範囲で発動させると、脳内に森の植物の情報がマッピングされていく。

(あった!ここから北に二百メートル、大きな岩の影だ!)

 アッシュは全力で走り、目的の植物を見つけ出した。月の光を浴びて淡く輝くという月光草は、その名の通り、葉先に宝石のような露を溜めていた。慎重に三滴分の露を小さな葉で受け止めると、彼は急いで少女のもとへと引き返した。

「大丈夫、もう苦しまなくていい」

 アッシュは優しく語りかけながら、月光草の露を呪いの首飾りにそっと垂らした。

 一滴、二滴……そして、三滴目が宝石に触れた瞬間。

「カチャリ」

 小さな音と共に、今まで少女の肌に食い込むように巻き付いていた首飾りが、あっけなく地面に落下した。同時に、首飾りから黒い瘴気が霧のように立ち上り、消えていく。

「ん……ぅ……」

 少女の瞼が、かすかに震えた。ゆっくりと開かれた翠色の瞳が、心配そうに自分を覗き込むアッシュの顔を映す。

「……あなたは……?」

「気がついた?よかった。俺はアッシュ。森で倒れている君を見つけて……」

 状況を説明すると、少女は自分の首元に触れ、呪いの首飾りがなくなっていることに気づいた。そして、自分の身体に力が戻ってきていることを実感する。

「あなたが……私を助けてくださったのですね……」

 少女はゆっくりと身体を起こすと、アッシュに向かって深々と頭を下げた。

「私の名前はルナリエル。森の民エルフです。このご恩は、決して忘れません」

「気にしないで。困ってる人を助けるのは当然だろ」

 アッシュが照れ臭そうに言うと、ルナリエル――ルナは、じっと彼の顔を見つめた。

「いいえ、これは当然のことではありません。奇跡です。……アッシュ様、一つ、お願いがあります」

「お願い?」

「はい。命の恩人であるあなたのそばで、この身を捧げさせてください。私を、あなたの旅に同行させてはいただけませんか?」

 真剣な瞳で懇願され、アッシュは少し戸惑ったが、断る理由もなかった。何より、彼女の澄んだ瞳を見ていると、放っておけない気持ちになる。

「わかった。俺でよければ。これからよろしく、ルナ」

 アッシュが短く愛称で呼ぶと、ルナは花が咲くように微笑んだ。

「はい、アッシュ様!」

 こうして、追放された鑑定士の元に、一人目の心強い仲間が加わったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ