番外編「シロのいちにち」
ボクはシロ。ご主人であるアッシュに拾われた、世界一すごくて、もふもふなフェンリルだ。
ご主人は、世界一すごい!
ナデナデがすごく上手だし、くれるご飯はいつも【万物鑑定】済みの最高級品だ。他の奴らが食べてるカリカリとは、輝きが違う。
今日も、ご主人の周りには女がいっぱいいる。
いつも弓を持っているエルフの女。こいつは夜になると、ご主人にこっそり寄り添おうとするから要注意だ。
いつも金槌を持っている獣人の女。こいつは隙あらばボクの毛を毟って、何か新しい武具の素材にしようと狙っている。油断できない。
いつも剣を持っている剣士の女。こいつはご主人に忠実すぎて、たまにボクの定位置であるご主人の膝の上を奪おうとするライバルだ。
そして、たまに来る一番偉そうな女。こいつが来ると、ご主人はちょっとだけいつもと違う顔をする。……怪しい。
みんな、ご主人を狙っている。ボクの、一番大好きなご主人を。
でも、まあいいか。ご主人が、みんなといる時にすごく幸せそうに笑うから。ご主人が幸せなのが、ボクの一番の幸せだ。
だから今日のところは、この一番いい場所――ご主人の膝の上で昼寝をしてやろう。ご主人の匂いは、世界で一番安心する匂いだ。
……すぴー。
……むにゃむにゃ。
…む!
なんだか、すごく美味しそうな匂いがするぞ!
目を開けると、あの獣人の女が、ご主人が「後でシロと半分こしような」と言ってとっておいた、『甘露の実のパイ』を狙っている!その手を伸ばしている!
【威嚇】!グルルルルルルッ!
「ひゃっ!?なんだよシロ、ケチだなあ!一口くらい……」
【氷結ブレス(超弱)】!
「つめてっ!わかった、わかったよ!食わねえよ!」
ふん。それは、ご主人の優しさと、ボクの食欲が詰まった大切なパイなんだぞ。誰にも渡さない。
ああ、平和だなぁ。
ご主人のナデナデと、美味しいごはんと、あったかい日差し。そして、ご主人の膝の上。
やっぱり、もふもふは正義なのだ!
わふっ!




