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【万物鑑定】で追放から成り上がり!Sランク勇者パーティが崩壊しても、最強仲間とスローライフ中  作者: 黒崎隼人


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第十九話「最後の戦いの始まり」

 黒い瘴気が渦巻く魔王城。その威容は、見る者の心を絶望で染め上げるかのようだ。

 アッシュ率いる「暁の翼」と、彼らを支援する王国騎士団、そして正気を取り戻したゲオルグは、ついに魔王が待つ玉座の間へとたどり着いた。

 玉座に座っていたのは、禍々しい漆黒の鎧に身を包んだ、魔王。その手には、ゲオルグが言っていた通り、黒く染まった聖剣が握られている。その姿からは、言葉では言い表せないほどの深い悲しみと絶望が滲み出ていた。

「……また来たか。新たな勇者よ」

 魔王が、虚ろな声でつぶやく。

「お前も、私と同じ運命を辿るがいい」

 その時、玉座の間の扉が乱暴に開け放たれた。

「魔王!覚悟しろ!」

 そこに立っていたのは、ぼろぼろの姿の勇者レオと、彼を心配そうに支える聖女セラだった。彼は、勇者としての最後の意地とプライドをかけて、この場所に駆けつけたのだ。

「レオ!」

 ソフィアが驚きの声を上げる。

「どけ、ソフィア!魔王は、この勇者である俺が倒す!」

 レオは、残ったすべての力を振り絞り、聖剣を輝かせた。

「これがお前の最後だ!【ゴッド・ブレイカー】!」

 勇者の最強奥義。神をも砕くと言われる一撃が、魔王へと放たれる。

 しかし、魔王は微動だにしない。彼はただ、黒い聖剣を軽く振るっただけ。それだけで、レオの放った光の斬撃は、いともたやすくかき消されてしまった。

「な……に……?」

「無駄だ。その程度の光では、私の絶望の闇は晴らせぬ」

 魔王が手をかざすと、レオの体は目に見えない力で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

「がはっ……!」

「レオ様!」

 セラが悲鳴を上げる。

 自分の最強の技が、全く通用しない。Sランク勇者としての、最後の拠り所だった力が、赤子の手をひねるようにあしらわれた。

 その絶対的な力の差を前にして、レオの心は、ついに折れた。

「ああ……あああ……。力が、もっと力があれば……!こんな奴、倒せるのに……!」

 絶望したレオが、力を渇望した、その瞬間。

 彼が持つ聖剣が、禍々しい黒いオーラを放ち始めた。

「――力を、与えよう」

 聖剣が、レオの精神に直接語りかける。

「ぐ……あ……あああああああああああああっ!!」

 レオの絶叫が玉座の間に響き渡る。彼の体は黒い稲妻に包まれ、その瞳は憎悪と狂気に満ちた赤い光を放ち始めた。聖剣の呪いが、彼の魂を喰らい、暴走を始めたのだ。

「これだ……!この力だ!この力さえあれば……!」

 新たな魔王が、今、生まれようとしていた。

 魔王は、その光景を悲しげな目で見つめている。まるで、かつての自分を見ているかのように。

「また一人、私と同じ犠牲者が生まれるのか……」

 アッシュは、静かにレオを見据えていた。彼は知っていた。こうなる可能性が高いことを。

「させるか……!」

 アッシュが前に出ようとした、その時だった。

 一人の人物が、暴走するレオの前に立ちはだかった。

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